中国思想の核心に迫る! 先行き不透明な現代にあって、人間はいかに生きるべきか、世界をどのように観、どのように解釈するかという永遠の課題はますます切実なものとなっている。こうした問いかけに対し、中国の思想は、西洋のそれとは異なる独自の趣をもって我々に語りかけてくる。価値観が多様化し、東アジアにおける漢字文化が見直されつつあるなかで、広大な土地と悠久の歴史に育まれてきた中国文化の人生観・世界観を改めて考え直してみることは、大きな意義を持つことであろう。本書は、第一線で活躍する中国哲学の研究者たちが、各々のもっとも得意とする分野から統一テーマである「中国的人生観・世界観」に迫った論文28篇を収録。日本文化の形成にも多大な影響を与えた中国思想についての近年の研究動向と成果を理解する上でも最適の論文集である。●編著者のことば 中国大陸という広大な土地と、そこに生きた人々の悠久な歴史の堆積の中で、生み出され育まれて来た思想の人生観・世界観は、西洋のそれと異なった独自な趣を以て、現代の私たちに語りかける。人間は如何に生きるべきか、世界をどのように観じ、どのように解釈するかという問題は、永遠に尽きないテーマである。先行き不透明な時代と言われ、価値観の多様化している現代、東アジアにおける漢字文化圏が今や見直されつつあるとき、中国的人生観・世界観というテーマは、確かに再考に値し、再認識すべきものを多く内包していると思われる。(「前言」より)
●構成 序文(金谷治)/前言(編集委員会) 孔子の人生觀と世界觀について(栗原圭介) 孔子の人間観(沼尻正隆) 『論語』憶解(金谷治) 儒家的死生観(内藤幹治) 「兵は詭道」をめぐって(町田三郎) 孟子と老子―大国・小国の論をめぐって(楠山春樹) 『尹文子』の形名思想(浅野裕一) 太陽と王権―太陽神話を中心として(矢野光治) 史記貨殖管蠡(新田幸治) 壁中古文小考(伊東倫厚) 桓寛『鹽鐵論』と『論語』―前漢における『論語』活用の一斑([弓巾]和順) 王充の「発憤著書」説(大久保隆郎) 『老子河上公注』の身体観(坂出祥伸) 自得の思想(中嶋隆藏) 陶淵明の「飲酒 其五」について(増野弘幸) 「設論」ジャンルの展開と衰退―漢代から東晋までの人生観管見(佐竹保子) 道教的身体論における尸蟲と魂魄(宮川尚志) 玄宗皇帝と国際性(今枝二郎) 白居易と「紀年」詩考(塩見邦彦) 杜佑の三敎觀について(島一) 唐代小説の人生観(小川陽一) 朱熹理気論の再検討(土田健次郎) 朱子学と現代社会(岡田武彦) 『道藏闕経目録』管見(尾崎正治) 元明清医家の元気論(石田秀実) 告子について(吉田公平) 戴震の考拠の立場(濱口富士雄) 特別寄稿 宣長学の形成と中国思想(石田一良) あとがき(内藤幹治)
|