燃える水―中国古代の石油と天然ガス
申力生 主編/猪間明俊 訳
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出版社:東方書店 |
出版年:1993年11月 |
コード:00380 192p ISBN/ISSN 4-497-93405-5 |
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世界に先駆けた科学技術を再現! 石油はエネルギー資源としてばかりでなく、化学工業原料として今日の人類にとって欠かせぬものとなっているが、この石油が文献上に表れるのは西洋では『聖書』、東洋では『漢書』が最初である。当初は、灯火用、防水用、薬用などにわずかに利用されていたにすぎず、石油産業が成立する発端は1859年の“ドレーク井”の登場によるとされる。ところが、中国では、それを遡ること800年前の宋代に同様の技術で、しかもより高い水準で掘削が行われていた。さらに油田ガスが製塩業に利用されるにおよび、19世紀には総延長100キロ以上のパイプラインが走り、30~40万人の人がガス井と製塩に従事する一大産業になっていたという。中国科学史家として著名なジョセフ・ニーダムもその著で「今日、油田の探鉱に用いられている各種の掘削技術は中国人の発明によるといってもよい」と述べているが、本書は史書、また杜甫の詩など大量の古典文献に断片的に表れる事象を調査・分析することにより、かつての中国における石油と油田ガスの掘削法、加工・応用などの科学技術を見事に再現している。●編著者のことば その探査技術、削井技術、輸送技術のレベルの高さとその歴史の古さはまさに驚嘆に値する。……石油工業史を語る際、近代石油掘削技術の出発点として常に引き合いに出されるのが、一八五九年アメリカのペンシルバニア州で掘られた「ドレーク井」である。……本書を読めば、そのような技術は中国ではそれより八百年前、宋の時代にすでに発明され、実用に供されていたことがわかる。(「訳者あとがき」より)
●構成 序/日本語版序 1 石油についての古い記述と井戸 “高奴に洧水あり、燃ゆる”/沈括“石油”と命名/中国史上最も古い採油井 2 ガス井のふるさと “沢の中に火あり”/“火の井戸”/“火井は巴濮に奇をほしいままにす”/漢代の絵瓦 3 石油の最初の応用 灯りとして燃すと極めて明るく、松脂をしのぐ/潤滑、防腐、製墨/殺虫とできものの治療/“火球”と“猛火油”の製造/火攻め 4 削井工業技術の先駆 手掘井から“卓筒井”へ/世界の先端をゆく“つき井戸堀削”/ビットと掘削機具/うまくできた“採揚”工具/改修井 5 石油地質学の萌芽 “石油は至って多くあり、地中に生じて尽きることなし”/“竜脈”を見て井戸の位置を決める/“扇泥”ログ/“黄姜”“緑豆”鍵層/“立縫は火を見、横縫は水を見る”/“通腔” 6 最も早く開発された自流井ガス田 豊富な天然ガス資源/井火で塩を煮る/ガス田の動脈―筧/生産組織と労働分業 付録:中国古代の石油・天然ガス発達史 訳者あとがき 関連地図:中国全省・四川省・河北省・陝西省北部
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■編著者紹介
申 力生(しん りきせい、シェン リーション):1919年生。1955年より石油開発事業に従事、中国石油科学研究院の創設にも関わる。中国石油勘探開発科学研究院院長、中国石油学会副理事長を歴任。1989年没。 猪間 明俊(いのま あきとし):1937年生。東京教育大学理学部卒業。地質学・古生物学専攻。理学博士。大学卒業後、石油資源開発株式会社に入社。著書に『石油開発の技術』(石油文化社、1982年)、『やぶにらみ石油探鉱論』(同上、1985年)、ほかに学術論文多数。
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