西洋人の見た16~18世紀の中国官僚
矢沢利彦 著
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出版社:東方書店 |
出版年:1993年07月 |
コード:00368 216p ISBN/ISSN 4-497-93395-4 |
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アメとムチ、皇帝と官僚の確執 16~18世紀の中国事情を、当時の中国を訪れた西洋人宣教師の視角から研究してきた著者による、“西洋人の見た中国”をテーマとするシリーズ第三弾。宣教師たちにとって、異国中国の皇帝と官僚の関係は一種独特のものに映ったようだ。著者は、中国の文献をも参考にしながら、主として宣教師たちが残した記録に拠って、皇帝が官僚を自己の手足として動かすべく、どのような手段・措置をとったのかと問題提起し、皇帝の官僚に対する政策が“飴と笞”をからめたものであったことを検証していく。実際には笞を逃れ飴だけを得る、現代中国にもつながる、したたかな官僚像、官僚機構が浮かび上がるのである。●編著者のことば 一方では官僚が汚職をしたり、不公正な行政をしないように厳重な防衛処置を講じ、こういった弊害が発覚したときには厳しい処分を加え(これらをわたしは笞と呼ぶ)、他方では官僚たちが感謝、感激して働くようにするための多種多様の報償制度(これらをわたしは飴と呼ぶ)を編み出した。……皇帝と官僚の攻防戦は皇帝のほうに明らかに分がなくて、皇帝は相手に飴だけを食べられてしまい、笞のほうは官僚の性根を徹底的に叩きなおすまでにはいたらなかったのが実情である。(「まえがき」より)
●構成 まえがき 第一部 飴と笞とのからみ合い 一 封王と封爵 官僚汚職天国/中国には真の貴族はいない/明の封王/南昌にいた明の宗室/明の宗室の末路/駙馬/明代の封爵/有爵者の使い道/爵位の特色/清代の封爵/康煕四輔臣の封爵/乾隆の最初の寵臣溥恆/溥恆の人物評/兆恵と和珅/封号と諡 二 品級 称号/殿閣大学士の実体/清代の殿閣大学士/明代の勲級/西洋人の見た中国の品級制度/清代の品級と年俸の関係/俸給の品級と冠帯の品級/品とはなにか/明清時代の職品・散階品・冠帯品 三 記録と加降級 紀録/減俸/加降級制度/コンタンサンの加降級についての記事/加降級の実例/加級と紀録の効果 第二部 きつい笞 一 京察と大計 京察/顧八代/大計/西洋人の見た清の勤務評定/誤った抜擢を行なった督撫への処置/免・貶官僚は上告を認められる/廻避/西洋人の見た廻避制度/明代の文官考察/西洋人の見た朝覲考察/リッチの記述/セメードの記した朝覲の実情 二 監察 セメードのチャユエンについての伝え/チャユエンとは何か/都察院と監察御史/タウリとコリ/六科給事中/清代の給事中/老鼠見猫 三 出る杭は打たれる 樹大招風/官大有険/年羮堯/隆科多/和珅 第三部 あまい飴 一 御衣の下賜 皇帝からの拝領品/康煕、宣教師に御衣を賜う 二 宴茶の賜与 料理を賜う/康煕、茶・酒を賜う/外国使節への賜宴/在廷宣教師への扱い/乾隆の食事/皇帝が飲む茶/凱旋将軍に茶を賜う 三 供回りをもつことを許す リッチ、官員の供ぞろいに驚く/セメードの官員供ぞろいについての描写/傘と扇/清の官員の供ぞろいと輿 四 官印を貸し与える 金印紫綬を仮す/皇帝の印璽=宝/明清時代の官印/印と関防 五 葬を賜い、医薬を贈る 葬を賜う/シャール、生前に墓地を下賜される/康煕、フェルビーストのもとに侍医を派遣/フェルビーストの葬儀/康煕、トーマへ医を遣わし薬を贈る 六 賢良祠、郷賢祠に入祠させる 賢良祠に入祀させる/雍正、郷土の無名の賢良者の表彰を命じる/賢良祀に入祀されたジャコーモ徐/マガリャンイスとクプレ 七 子弟に優遇を与える 恩廕制度/廕監生の行方/マガリャンイスの伝える八種の国子監生/明初の官員採用法 八 両親・妻に恩遇を与える 家廟の設置を許す/宣教師の見た家廟/封を受けた妻たち/淑人の封を受けたカンディダ夫人/清代の封贈/官員本人対する封典=散階/妻および父祖に対する封典授与/シャールの場合/助成に対する贈与 参考資料 あとがきに代えて―試験官を買収する
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■編著者紹介
矢沢 利彦(やざわ としひこ):1914年生まれ。1936年東京大学文学部東洋史学科卒業。1950年埼玉大学助教授、1957年同大学教授、1976年同大学を定年退職、名誉教授となる。著書に『北京四天主堂物語』(平河出版社、1987年)、『東西お茶交流考』(東方書店、1989年)、『西洋人の見た16~18世紀の中国女性』(東方書店、1990年)、『西洋人の見た中国皇帝』(東方書店、1992年)、訳書に『イエズス会士中国書簡集』(平凡社、1970~80年)、『チナ帝国史』(岩波書店、1983年)などがある。
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