現代に甦る日本漢詩文学の伝統 NHKラジオ講座「漢詩への誘い」で広く知られる著者は、漢詩普及に尽力する傍ら、自ら筆を執って漢詩人としても精力的な活動を続けてきた。本書は、日本漢詩の伝統を今に伝える随一の人である著者が、華甲記念自選漢詩集として、これまで詠んだ作品より200余首を収録したものである。テーマ別に収録された各作品には、そのときどきの著者の感慨を示したコメントと語釈、書き下し文が付され、初心者にも容易に理解でき、漢詩鑑賞・漢詩作成の手引きとして最適である。さらに、本書を通じて、漢詩が現代においても充分に人間の気持ちを詠うことのできる表現形式であり、楽しいと同時に奥深い世界であることを理解できるであろう。●編著者のことば 漢詩をやっていて、本場の中国の風土に接することは悲願であったが、昭和52年より往来が可能になって渇きは癒された。それからは平均年二回訪中し、福建・貴州を除いてほぼ全中国の主な詩跡に足跡を印し得た。北京・上海・西安・洛陽などの都市には、何回も訪れている。かくして、あちこちで作り散らした詩も多く、この詩集にも勢い数を占めた。まことに「江山の助け」を得たものである。この先まだまだ訪中の回数を重ね、作品を積み上げていきたいと思っている。(「わが漢詩の日々」より)
●構成 序言(袁行霈) わが漢詩の日々 山居閑詠/扶桑南北/禹域遊吟/送/贈/慶/弔 『長安好日』に寄せて(井出孫六) 石川忠久略年譜 後記
|