中華乞丐社会―どん底社会のシンフォニー
劉漢太 著/辻康吾 監修/ISS翻訳グループ 訳
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出版社:東方書店 |
出版年:1991年09月 |
コード:00304 233p ISBN/ISSN 4-497-91333-3 |
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自由の民、放浪の民の世界 中国における「乞食」の実態はいかなるものであろうか? 著者が複雑な歴史的現象であるとする「乞食」問題を最終的に克服する道はいかに? 著者はまず、かつては社会主義の名の下に存在を否定されていた「乞食」の存在という事実を直視しようとする。第一部「不思議なジプシー部落」では、グループへの入会式、隠語、伝統的“幇”(民間結社)の因習を引き継ぐ組織の実態、その統治方法、首領(ドン)の素顔、グループ間抗争、物乞いの手段などを通して、乞食たちのさまざまな日常を詳述。第二部「流浪の女たち」では、深い同情の目で、悲惨な過去をもちつつも逞しく生きる「女乞食」たちをルポ。第三部「乞食文化探索」では、文化現象としての「乞食」をテーマに、彼ら世界の歌謡・伝説・奇癖・祝祭日・娯楽を渉猟。第四部「新生活へ」では、乞食たちの再生の物語と中国における「乞食」の歴史、生態、思想が丹念に調査・報告される。監修者による解説「乞食賛歌」は、中国における“乞食文化”の伝統に触れつつ、歓迎と差別、畏敬と軽蔑といったアンヴィバレンツな存在としての「乞食」を考察する。乞食社会を通して、中国人のもつ果てしない生命力を感じる読者も多かろう。●編著者のことば 疑うべくもないのだが、中国にも乞食は存在する。だが、四十年代、五十年代、あるいは六十年代と違うのは、今日の乞食のすべてがホームレスというわけではなく、しかも貧困がすべての原因ではないということだ。……一九八二年、国連は一九八七年を「ホームレスのための国際居住年」と定めることを全会一致で決議した。この「国際年」において筆者も中国の大地での乞食現象について読者とともに探ってみたいと思うのである。(「プロローグ」より)
●構成 中国の乞食(辻康吾) プロローグ 第一部 不思議なジプシー部落 一.ラージの出会い/二.王国の中核/三.束縛なき旅/四.物乞いの秘訣/五.野蛮な生活 第二部 流浪の女たち 一.女乞食、その謎/二.大海の小舟/三.天使か悪魔か/四.零落/五.傷痕/六.良知の光/七.目覚めよ、女性 第三部 乞食文化探求 一.歌謡/二.伝説/三.奇癖/四.祝祭日/五.娯楽 第四部 新生活へ―十の物語 エピローグ 乞食賛歌(辻康吾)
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■編著者紹介
辻 康吾(つじ こうご):1934年東京生。東京外国語大学中国科および立教大学法学部卒業。毎日新聞社香港特派員、北京特派員、東海大学教授を経て、現在、獨協大学外国語学部教授。著書に『転換期の中国』『文化大革命と現代中国』(ともに岩波新書)、訳書に『キビとゴマ』(研文出版)、『河殤』(弘文堂)などがある。
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