萬葉と郷歌―日韓上代歌謡表記法の比較研究
上製
李鍾徹 著/藤井茂利 訳
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出版社:東方書店 |
出版年:1991年09月 |
コード:00305 272p ISBN/ISSN 4-497-91328-7 |
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韓国の郷歌と萬葉集の同質性を検証 萬葉集と郷歌(6~10世紀の新羅の歌謡)は日韓両国古代文学を代表するもっとも重要な作品である。両者を研究する手始めとして、正しい解読がなされなければならないが、正しく解読するためには表記法を正確に把握することが不可欠であろう。本書では、萬葉集の成立に韓国古代歌謡が多大な影響を及ぼしていることを前提に、音韻・文法・語彙・統辞構造など言語学的な面から、郷歌と萬葉集歌の表記に用いられている借字体系とその運用上の同質性を検証。万葉集歌の表記を通じて、解読が困難な郷歌の正しい表記法に迫り、郷歌・萬葉集歌解読への新たな可能性を示す。上代文学研究者にとって有用かつ刺激的な一冊。●編著者のことば 日本最古の歌集である萬葉集の中に、韓国の文化的素材が見えている、萬葉歌人の中に三国系渡倭人が相当数いる、韓国の動植物名が歌材に用いられている、韓国の民間信仰と習俗が反映されている、歌の形式が韓国の郷歌・歌詞・時調などの形式に似ている、と言えば驚く人も多いと思われる。……三国系渡倭人は自国の文化の伝授と共に、漢字借用による表記の方法をも伝授したと考えられる。なぜなら両国の文章表記法―漢字を借用し、土着化していく過程―が相互一致し、その同質性を発見出来るからである。(「序文」より)
●構成 序文/翻訳に際して ハングル子音字・母音字一覧表 第1章 総説 第1節 序論 第2節 韓・日両国表記法の歴史的関係と背景 第2章 郷歌と萬葉集歌の表記法 第1節 借字体系 I.漢字の正用:1.訓読字と正訓字/2.音読字と正音字 II.漢字の仮用:1.訓借字と訓仮名/2.音借字と音仮名 第2節 漢字の運用法 I.訓読字と正訓字の運用:1.「訓読字+無添記」及び「正訓字+無添記」の構造/2.「訓読字+末音添記」及び「正訓字+具書」の構造 II.音読字と正音字の運用:1.「音読字+無添記」及び「正音字+無添記」の構造/2.「音読字+末音添記」及び「正音字+末音添記」の構造 III.訓借字と訓仮名の運用:1.概念語(lexical form)の表記/2.文法形態素(grammatical morpheme)の表記 IV.音借字と音仮名の運用:1.概念語(lexical form)の表記/2.文法形態素(grammatical morpheme)の表記 第3章 萬葉集歌表記から見た郷歌解読 第1節 誤字・欠字及び字間の空白に対する補読 I.誤字 II.欠字及び字間の空白に対する補読 第2節 義訓借と解読 I.一字一単位の概念語の表記 II.一字二単位の概念語の表記 III.二字一単位の概念語の表記 第3節 漢語的用法の援用 第4節 頭音添記が指示する訓読 第4章 結論 註/参考文献/訳者あとがき/索引
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■編著者紹介
李 鍾徹(り しょうてつ イ ジョンチョル):1935年韓国京畿道利川生まれ。ソウル大学校国語国文科卒業。同大学院修了。ソウル大学校人文大学教授、翰林大学校人文大学教授を歴任。文学博士。韓国・日本の上代文学に関する論著多数。 藤井 茂利(ふじい しげとし):1931年中国大連生まれ。九州大学国語国文学科卒業。同大学院修了。東海大学文学部助教授、鹿児島大学大学院人文科学研究科教授を経て、現在、福岡大学人文学部教授。『新しい国語学』(共著)など論著多数。
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