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東アジアの死生学・応用倫理へ【最新刊】 上製
池澤優
出版社:東方書店
出版年:2024年06月
コード:22414   520p   ISBN/ISSN 9784497224149
 
価格 7,700円
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新しい学問領域の構築に向けて

1960年代に欧米で成立した新しい学問分野である「死生学」(東アジアでは「生死学」ということが多い)、「生命倫理学」の中国・台湾での展開をキーパーソンとその著作の分析からたどる。現代社会における宗教、医療のあり方を考える最良の1冊。

死を考えるというのは古くから宗教が担ってきたことであり、往々にして特定の宗教(儒教を含む)が理論構築の大元となっている。しかし、宗教ではなく、学術としたことで不特定多数の人に受け入れられる素地ができ、公的領域での活動も可能になった。現代的な宗教の様相を論じるというのがテーマのひとつとなっている。また、現代において死を考えることは、医療とも密接に関係している。そこから健康保健制度、インフォームド・コンセント、ホスピスなどについての社会学的な考察もテーマとなってくる。

著者の言葉
本書の元ネタになった論文は最も古いものは二〇〇七年に発表したものなので、既に時代遅れである可能性はあると思う。また、先行研究や題材とした資料は、あくまでも筆者が読んだ範囲ではということで、網羅的な調査は全くできていない。そもそも、筆者がこの分野の研究に着手した当時、何を読むべきであるかもわかっていなかった。新たな研究分野を立ち上げた研究者なら大抵は同じ経験をしていると思うのだが、当初の段階では、北京や台湾に出張に行くたびに書店で大量の図書を購入し、それを片っ端から読破することで、次第に状況を把握していったというのが正直なところである。東アジアにおける死生学・応用倫理という領域は、まだ確立していない、もしくは未来においてのみ成立が期待できる分野なのであって、通常の学問領域のように、先行研究のリサーチをいう方法論は成立しない。だから、本書は、その未確定の分野について、とりあえず筆者はここまでやったという記録に過ぎない。後は続く世代の研究者に委ねるしかない。(「はじめに」より)

構成

はじめに

第Ⅰ部 中国の医療倫理・生命倫理
第一章 生命倫理と文化
(1)伝統的医療倫理の基本構造
(2)生命倫理の成立
(3)標準的生命倫理の言説
(4)パーソン論の文化的・歴史的背景
(5)ドイツの生命倫理における「規範的人間像」
(6)日本の生命倫理における「かかわりあいとしての人間」
(7)小結
第二章 中華人民共和国の医療倫理・生命倫理
(1)現代中国の医療倫理
(2)邱仁宗『生命倫理学』(1987)
(3)計画生育――聶精保『沈黙の裏側に――中絶に関する中国人の声』(2005)
(4)李本富・李曦『医学倫理学十五講』(2007)
(5)周海春『中国医徳』(2002)
(6)張大慶『医学人文学導論』(2013)
(7)小結
第三章 中国伝統医学の医療倫理とその近代的変容
(1)職業としての「医」(醫)の成立と病因論
(2)儒教と医療(儒医と庸医)
(3)中国の生命倫理言説の起源――清末・民国期の優生思想
(4)小結
【資料】『史記』扁鵲伝「六不治」/孫思邈『備急千金要方』巻一「論大医精誠」、『千金翼方』禁経上/張杲『医説』江疇跋、巻十「医工報応」/韓懋『韓氏医通』緒論第一/愈弁『続医説』自序/龔信『古今医鑑』巻十六・附箴三首/龔廷賢『萬病回春』/陳実功『外科正宗』「医家五戒十要」/繆希雍『神農本草経疏』巻一・祝医五則/張璐『張氏医通』「石頑老人医門十戒」(1695)
第四章 エンゲルハートのキリスト教生命倫理
(1)『生命倫理の基礎づけ』(初版1986、第二版1996)
(2)『キリスト教生命倫理の基礎づけ』(2000)
(3)エンゲルハートは「回心」したのか?
(4)コメント
第五章 儒教的生命倫理という戦略――健康保健政策との関係
(1)『儒教的生命倫理』(1999)の諸論理
(2)儒教は家族をベースとする自由放任主義なのか?
第六章 インフォームド・コンセントに関する議論と文化的差異
(1)儒教的生命倫理によるインフォームド・コンセントの否定
(2)「儒教的生命倫理」の論理とその欠点
(3)中国伝統医学における告知
(4)家族同意と保護性医療に関する法的規定
(5)医学的慣行としての家族告知と患者の希望
(6)二〇〇七年の妊婦死亡事件
(7)妊婦死亡事件を受けたインフォームド・コンセントに関する論争
(8)二元対立的に文化的差異を論じる議論
(9)二元対立的文化観を否定する議論
(10)文化的差異とは何なのか

第Ⅱ部 台湾の生死学
第七章 死生学とは何か――死の認知運動
(1)ヴィクトール・フランクル
(2)アーネスト・ベッカー
(3)ロバート・カステンバウム
(4)エリザベス・キューブラー=ロスの「死の受容」
(5)日本の死生学
(6)小結ならびに死生学応用倫理センターの死生学構想
第八章 傅偉勲――台湾生死学の創始者
第九章 岸本英夫――宗教学者が死に面したとき
第一〇章 台湾生死学――臨床と喪葬
(1)南華大学生死学系
(2)林綺雲編『生死学』(2000)
第一一章 台湾ホスピスケアの生死学――趙可式のあきらめるという積極的な生き方
(1)生死学におけるターミナルケアの位置づけ
(2)善き生(善生)と善き死(善終)
(3)ターミナルケア
(4)ホスピスケア
(5)ケア提供者にして患者であること
(6)まとめ
第一二章 殯葬礼儀師の生死学――陳継成『殯葬礼儀――理論と実務』
(1)中国の喪葬儀礼の構造
(2)『殯葬礼儀』の構成・内容およびその背景
(3)現代台湾における葬儀の一般的手順と礼儀師の役割
(4)考察――職業としての礼儀師の性格とターミナルケア
第一三章 宗教運動としての生死学――鄭志明
(1)死生学と宗教
(2)『道教生死学』(2006)――宗教研究としての生死学
(3)『民俗生死学』(2008)――現代社会批判としての生死学
(4)天地人鬼神五位一体
(5)安寧療護(ホスピスケア)
(6)生と死の儀礼
(7)結論――宗教思想としての生死学
第一四章 中国大陸の生死学――鄭暁江『善死与善終――中国人的死亡観』
(1)生死哲学の基本構想
(2)死生観の類型的検討
(3)死の超克と自殺

おわりに


参照文献一覧 
■編著者紹介
池澤 優(いけざわ まさる)
1958年生。東京大学文学部卒。ブリティッシュ・コロンビア大学大学院アジア学科を1994年に修了、学位取得(Ph.D.)。筑波大学地域研究研究科を経て、東京大学大学院人文社会系研究科教授、死生学・応用倫理センター長(2024年3月退職)。専門は中国宗教史、死生学、生命倫理。主著として『「孝」思想の宗教学的研究――古代中国における祖先崇拝の思想的発展』(東京大学出版会、2002)、『非業の死の記憶――大量の死者をめぐる表象のポリティックス』(共編著、秋山書店、2009)、『政治化する宗教、宗教化する政治』(編著、岩波書店、2018)など。
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