中国・本の情報館~東方書店~
サイト内検索
カートを見る
ログイン ヘルプ お問い合わせ
トップページ 輸入書 国内書 輸入雑誌  
本を探す 検索   ≫詳細検索
詳細情報
義理学から倫理学へ 清末民初の道徳意識の転化 /台湾漢学研究叢書 上製
黄進興/工藤卓司 訳
出版社:東方書店
出版年:2023年08月
コード:22313   288p   ISBN/ISSN 9784497223135
 
価格 4,620円
  <在庫有り>
弊社出版物で在庫がございます。
 
カートに入れる

道徳の近代化とは

19世紀末葉から20世紀初頭、近代化へと向かう中国はその道徳意識にも大きな変化が生じた。清末の動乱は聖人を志す理学の教えにどのような影響を及ぼしたのか。西洋勢力の進出から広まった倫理学はどのようにして人々に受け入れられたのか。当時の道徳観を示すテクストを豊富に紹介し、近代以前の理学の様相と新時代の倫理学の特徴を鮮やかに浮かび上がらせる。
台湾人研究者が中国の思想・文学・歴史を紐解く学術専門書シリーズ第一弾。

著者の言葉
簡潔に言えば、理学が宋明の顕学となったのは決して偶然ではない。理学は宋・明・清という異なる段階の厳しい試練を経て、たとえ政治的抑圧を受けようとも変わらず時と共に歩み続け、いよいよ新しくなっていったのである。この趨勢は清末になって中国が二千年来未曾有の変化に遭遇して、はじめて頓挫することになる。これに代わったのが、新たな時代の倫理学だったのである。(「日本語版序」より)

訳者の言葉
近代のアジア地域に生を受けた人々の価値観は、自分が生活する地域の伝統文化と西洋文化の間で激しく揺り動かされ、その果てに多かれ少なかれ西洋からの文化的侵入を許さざるを得なかった。中国も例外ではない。本書はそうした中国における近代化の過程を、中国知識人の「道徳意識」を主軸に据えて、様々な史料を駆使しつつ、「義理学」から「倫理学」への転化として鮮やかに描き出して見せる。アイデンティティーの問題は原著者の著作に通底する研究テーマであるが、本書も歴史学の観点から近現代華人のアイデンティティー問題に鋭く迫った成果の一つだと言い得るだろう。(「訳者あとがき」より)

構成
「台湾漢学研究叢書」刊行の辞(王徳威)
日本語版序

第一章 はじめに

第二章 理学の黄金時代とその余韻

第三章 理学家の道徳観——『大学』『近思録』『伝習録』を例として
 一、『大学』――「自天子以至於庶人、一是皆以修身為本」
 二、『近思録』――「聖賢気象」
 三、『伝習録』――「致良知」
四、 おわりに

第四章 太平天国の挑戦と義理学の再興

第五章 倫理の近代性の追求——梁啓超の「道徳革命」とその追随者たち
 一、はじめに
 二、『新民説』――道徳の革命
 三、『倫理教科書』――「倫理学」の制度化
 四、『中国倫理学史』――道徳の系譜学
 五、おわりに

第六章 清末民初道徳意識の転化についての若干の観察
 一、道徳は「有意識の善指向」
 二、脱形而上学の倫理観
 三、「権利」を基底とする倫理思想へ

第七章 おわりに

引用書目
『義理学から倫理学へ――清末民初の道徳意識の転化』解説(石井剛)
訳者あとがき(工藤卓司)

■編著者紹介
黄進興(Chin-shing Huang)
1950年、台湾生。筆名呉詠慧。国立台湾大学歴史系学士・同大学修士、アメリカ・ハーバード大学歴史学博士(1983)。中央研究院歴史語言研究所副研究員・研究員・所長等を経て、現在、中央研究院副院長兼歴史語言研究所特聘研究員。中央研究院院士。専門は中国思想史・中国宗教文化史・史学理論。代表作としては『歴史主義与歴史理論』(1992)、『優入聖域:権力・信仰与正当性』(1994)、『聖賢与聖徒』(2001)、『後現代主義与史学研究:一個批判性的探討』(2006)、『従理学到倫理学:清末民初道徳意識的転化』(2013)、『皇帝・儒生与孔廟』(2014)、『儒教的聖域』(2015)、『再現伝統中国的思想』(2020)等があり、いずれも台湾繁体字版と中国簡体字版がある。また、英文の著作としては、Philosophy, Philology, and Politics in Eighteenth-Century China (Cambridge: Cambridge University Press, 1995)、Confucianism and Sacred Space: the Confucius Temple from Imperial China to Today (New York: Columbia University Press, 2020)がある。英語・日本語・韓国語に翻訳された著作も多数。

工藤卓司(くどう・たくし)
1979年、大分県竹田市生。広島大学文学部人文学科卒、同大学大学院文学研究科博士課程前期及び後期修了。博士(文学)。国立台湾大学中国文学系、中央研究院中国文哲研究所、国立清華大学中国文学系等で博士後研究、国立台湾師範大学文学院等での非常勤講師、台湾・致理科技大学応用日語系副教授を経て、現在は県立広島大学地域創生学部准教授。専門は中国思想・経学・日本漢学。主著『近百年来日本学者《三礼》之研究』(2016)、翻訳書としては黄俊傑著『徳川日本の論語解釈』(2014)・『儒家思想と中国歴史思惟』(2016、共訳)・『東アジア儒家仁学史論』(2022、共訳)及び黄進興著『孔子廟と帝国――国家権力と宗教』(2020)がある。
中国・本の情報館~東方書店 東方書店トップページへ
会社案内 - ご注文の方法 - ユーザ規約 - 個人情報について - 著作権について