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現代中国の高度成長とジェンダー 農嫁女問題の分析を中心に【最新刊】 上製
李亜姣
出版社:東方書店
出版年:2022年06月
コード:22209   336p   ISBN/ISSN 9784497222091
 
価格 7,700円
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土地開発とジェンダー秩序の再編

1920年代から1950年代に中国共産党によって土地法が制定され、中国の農村女性は土地所有権を獲得した。しかし、その後の中国の高度成長の過程で、農村の女性たちは土地の権利を次第に喪失していき、権利の侵害現象は「農嫁女(のうかじょ)問題」と名付けられるようになった。
中国農村女性の農地をめぐる権利の侵害「農嫁女問題」はなぜ高度成長期に発生したのか。ジェンダー秩序の再編は資本蓄積の中でどんな役割を果たしたのか。本書は「農嫁女問題」の発生原因を歴史、政治経済の2つの側面から分析するとともに、農嫁女の抵抗運動についても実地調査をもとに紹介する。

著者の言葉
現地で聞き取り調査を行うと、土地開発の深化につれて、農村女性が土地をめぐる権利の配分から排除されたという現在進行形の話をよく耳にした。その後、農嫁女の自助運動の全国ネットワークを率いるリーダーに直接、話を聞き、農村女性が土地を失い、土地をめぐる権利の配分からも排除されたことを確認できた。現代中国の急成長・強蓄積と裏腹に、ジェンダー格差の拡大に拍車がかかっている。1920年代から1950年代までの間に、中国共産党の土地法の制定により、中国の農村女性は土地所有権を獲得した。しかし、その後その権利を次第に喪失していったのはなぜなのか。そして、その権利の喪失と現代中国の急成長、強蓄積とはどんな関連性を持つのか、という疑問を抱いた。(「あとがき」より)

構成
序章 問題の所在と本書の目的
1 研究背景
 1-1 現代中国の高度成長――固定資本投資の異常と過激な都市化
 1-2 土地略奪の中の女性――農嫁女、外嫁女、出嫁女の出現
 1-3 市民社会運動の高揚――草の根の農嫁女運動の奮い立ちと連帯
 1-4 本書の目的
2 本書の構成
3 先行研究
 3-1 土地収用・土地制度についての先行研究
 3-2 農嫁女問題についての先行研究
 3-3 農村女性の抵抗運動についての先行研究
4 理論的枠組み
5 研究手法


第Ⅰ部 農嫁女問題の歴史分析

第1章 平均主義、フェミニズム、土地権
1 概況
2 平均主義と土地権
3 フェミニズムと土地権
4 小結

第2章 近代中国女性の土地権の変遷
1 はじめに
2 井崗山土地革命期と中華ソビエト政権時期(1928~1934年)
 2-1 毛沢東が推進した平均主義と政権奪取
 2-2 新しいマルクス主義女性解放論者の要求――労働婦女の土地所有権の提出
 2-3 中共の階級区分とジェンダー――平均主義下でのジェンダー問題
3 日中戦争期(1937~1945年)
 3-1 平均主義の消失
 3-2 保守女権への回帰
4 国共内戦期(1946~1949年)
 4-1 平均主義の復活
 4-2 歪んだ婦女運動を正す
 4-3 中共の階級区分とジェンダー――平均主義下でのジェンダー問題
5 建国直後(1950~1952年)
 5-1 平均主義の継続
 5-2 中共主導の婦女運動の結合へ
 5-3 中共の階級区分とジェンダー――平均主義下でのジェンダー問題
6 初級、高級農業生産合作社時期と人民公社期(1951~1978年)
 6-1 土地集団所有は平均主義の理想社会か
 6-2 全国婦女聯の存続危機と保守化
 6-3 労働点数(工分)とジェンダー
7 改革開放の初期(1978~1983年)
 7-1 平均主義克服論争
 7-2 マルクス主義女性解放論者の農家生産請負制に対する不本意な賛同
 7-3 市場主義フェミニズムの脱階級化への加担
 7-4 脱階級化された平均主義下でのジェンダー問題
8 小括


第Ⅱ部 農嫁女問題の政治経済学的分析

第3章 改革開放以降の農村女性土地問題に関する報道――『中国婦女報』(1984~2010年)を中心に
1 はじめに
2 農村女性土地問題をめぐるフレーム分析についての研究
3 研究の方法
 3-1 標本の抽出について
 3-2 カテゴリー
4 『中国婦女報』における農村女性土地問題報道(1984~1986年)
 4-1 背景
 4-2 情報源、体裁――読者の声
 4-3 立場――「男到女家落戸」と「新道徳」・「新風習」の提唱
 4-4 呼称の種類――「女児」、「婦女」
5 農家生産請負制における女性の合法的な権益擁護に関する連載(1999年)
 5-1 背景
 5-2 情報源、体裁――深化する報道
 5-3 立場――夫方居住婚という伝統づくりへ
 5-4 呼称の種類――差別的呼称
6 「出嫁女」の土地権益に関する連載(2010年)
 6-1 背景
 6-2 情報源、体裁――読者の無声
 6-3 立場――夫方居住婚の黙認
 6-4 呼称の種類――差別的呼称の普及
7 小括

第4章 女性への略奪を赦免された国家介入型資本主義――婦女聯の農嫁女問題に対する認識・対応
1 はじめに
2 婦女聯の創設と改革
3 婦女の合法的権益の擁護者(1978~1992年)
 3-1 「婦女児童の合法的権益を擁護しよう」と「四自精神」
 3-2 第三次産業への参加促進の「一石三鳥」と農村女性土地問題の非重視
4 婦女聯主導の「開発とジェンダー論」(1992~1998年)
5 夫方居住婚の伝統づくりへ(1998~2007年)
 5-1 手遅れだった建議――「30年不変と定めるべきではない」
 5-2 「通知」――夫方居住婚という伝統づくりへ
 5-3 「農村土地請負法」30条――侵害側に法的根拠が与えられた
6 農村土地請負経営権登記の推進役(2008年~)
 6-1 「建議」
 6-2 体制内の学者との協力関係――村規民約の修正への推進
 6-3 国際NPOとの協力関係――農村土地請負経営権の登記をめぐって
7 小括

第5章「農嫁女問題」とは――現代中国における進行中の本源的蓄積
1 はじめに
2 農嫁女問題の発端
 2-1 公有制土地私有化の第1段階
 2-2 広東省佛山市南海区黄岐鎮C村の「農嫁女問題」を例に
  2-2-1 C村の農嫁女問題の経緯
  2-2-2 農嫁女化と資本の本源的蓄積
3 農嫁女問題の全国化
 3-1 公有制土地私有化の第2段階
 3-2 広東省広州市番禺区小谷囲街道S村の農嫁女問題を例に
  3-2-1 広州大学城のX不動産開発プロジェクト
  3-2-2 S村の農嫁女問題の経緯
  3-2-3 農嫁女化と資本の本源的蓄積
4 農嫁女問題と一人っ子政策
 4-1 土地略奪と異常な男女比
 4-2 剰女
5 小括


第Ⅲ部 農嫁女たちの抵抗運動

第6章 現代中国土地開発における農嫁女と彼女らの抵抗運動――河北省A村を事例に
1 はじめに
2 A村
 2-1 地理
 2-2 概況
3 A村土地開発による農村女性の農地をめぐる権利の侵害
 3-1 A村における土地収用
 3-2 土地収用補償費分配案及び農村女性の農地をめぐる権利の侵害
4 A村女性の抵抗運動の開始と展開
5 A村土地開発における農村女性の抵抗運動の特徴
 5-1 世帯の組織内部とジェンダー――すべては「子供のため」
 5-2 生家の組織内部とジェンダー――男兄弟が嫌う「跑」
 5-3 宗族の組織内部とジェンダー――「父系社会」復活への怒り
6 小括

第7章 社会主義法治への探索――民間法律援助組織と農嫁女の連帯を中心に
1 はじめに
2 民間女性法律組織と農嫁女との連帯に対する認識
3 北京衆沢女性法律相談サービスセンター
 3-1 創立と発展
 3-2 農嫁女との運命的な出会い
 3-3 公益訴訟の中国化――公益性の訴訟
 3-4 人民法院と地方婦女聯の探索
 3-5 閉鎖
4 中山大学女性とジェンダー研究センター法律支援部
 4-1 創立
 4-2 「外嫁女問題」との出会いと違憲確認申請
 4-3 2回の締め出し
5 X民間法律組織
 5-1 創立と発展
 5-2 「維権弁護士」と農嫁女――「非違法の行動」は交渉の切り札? 犯罪?
 5-3 行動派フェミニストと農嫁女――「人権の闘いでもあり、フェミニズムの闘いでもある」
6 小括

第8章 終章
1 本書を振り返って
2 現代中国の継続的な本源蓄積
3 今後の課題


参考文献
資料
索引
あとがき
■編著者紹介
李 亜姣(り・あこう)
1987年中国河北省石家荘市生まれ。2019年お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科ジェンダー学際研究専攻博士後期課程修了。博士(社会科学)。お茶の水女子大学基幹研究院リサーチフェローを経て、現在、日本学術振興会外国人特別研究員(東京大学社会科学研究所)。専攻はジェンダー論、中国地域研究、フェミニズム経済学。主要論文に『改革開放以降の農村女性土地問題に関する報道――「中国婦女報」(1984~2010年)を中心に』(『中国女性史研究』29、2020年)、『「農嫁女問題」とは――現代中国における進行中の本源的蓄積』(『経済社会とジェンダー』3、2018年)、『現代中国土地開発における農村女性の対抗運動―河北省南小征村を事例に―』(『ジェンダー研究』19、2017年)などがある。
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