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禅についての十五章
孫昌武 著/衣川賢次 訳
出版社:東方書店
出版年:2021年11月
コード:22107   564p   ISBN/ISSN 9784497221070
 
価格 7,700円
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国家権力、社会、文化との関わりから見る禅宗の歴史――仏教は中国化する過程で南北朝時代には国家権力と結びついて華やかに発展したが、僧尼の腐敗ももたらした。そのころ中国仏教の一宗派として形成されつつあった禅宗は、僻地で細々と坐禅と農業労働に励んでいた。唐代初期に実施された均田制が劃期となって、僧団は経済的に自立し、禅宗は革新的性格を得て隆盛を極めたが、晩唐五代に地方の権力者の保護下に入るとしだいに革新性を失って新しい展開を生み出すこともできなくなり、宋代の強力な国家権力のもとで衰退へと向かった。本書は、禅宗の歴史を教義の展開としてではなく、社会的・経済的・政治的背景のもとに、禅宗の形成から発展、隆盛と衰退にいたる過程を描くものである。『禅宗十五講』(中華書局、2016年)の全訳。

訳者による紹介文:
>>>WEB『東方』にて公開中

著者の言葉:
本書は歴史の順序にしたがって禅宗の発展の過程を叙述しているが、系統的な禅宗史ではないし、(略)禅宗を一種の宗教革新運動として講じつつ、同時に禅宗の思想と文化の領域における活動とその貢献についても述べようと思う。このことは現今において現実的意義を持っているからである。内外の研究成果については、そのつど適切なものを選んで紹介しよう。講義のなかで馴染みのない言葉を使う場合は、読者のために文中に小字で説明をしよう。わたしとしては、「実事求是」(事実にもとづき、真理を追究する)という精神にもとづいて根拠のある説を述べ、空疎な議論をして読者の時間を浪費させることのないようにしたいと思っている。(「開講にあたって」より)

目次:
日本語版序

開講にあたって
 仏教の学問的研究の困難/禅への関心/文化現象としての禅宗
第一章 禅は仏教ではない?
 禅宗の歴史的地位とその意義/禅は仏教ではない?/「宗教革命」――「教外別伝」/仏教の「中国化」――全面的で革新的な中国仏教
第二章 インド禅から中国禅へ
 「禅」と「禅宗」/「印度禅」/鳩摩羅什の漢訳仏典/『楞伽経』/竺道生の新しい仏性説/菩提達摩の「二入四行」/守旧派の禅法/「中国禅」
第三章 禅宗の始まり
 「楞伽宗」/遊行僧と禅坊/社会的動乱のなかの黄梅――道信/黄梅の「禅坊」――弘忍/祖統説
第四章 安心という法門
 如来蔵思想――「入道安心要方便法門」/自心本来清浄/「安心」五方便/「修心要論」/非政治的、非倫理的、非繁瑣哲学的な宗義体系
第五章 革新的宗風――黄梅山
 革新的宗風/「末世の仏法は官栄を尊ぶ」ことと山林の禅坊/寺院経済の膨張/「農禅」の濫觴/繁瑣哲学化と不立文字/鬼神邪魅の法/人生と理性/自由開放の民間僧団
第六章 東山法門
 社会構造の変化/思想学術の創新/則天武后の崇仏/東山法門/神秀の入京/普寂らの大僧/習禅する「庶族」エリート
第七章 南宗の興起
 「東山法門」の変容/慧能/『壇経』の諸本/頓悟見性/自性自度/理性的な精神と人間本位の思想
第八章 南北宗の分化
 神会/神会の北上/『神会語録』/滑台の宗論――「師承は是れ旁、法門は是れ漸」/南宗の宗旨/神会と『壇経』
第九章 洪州宗の盛行
 安史の乱後の唐朝/安史の乱後の禅宗/中唐新禅学興起の社会的背景/中唐学術の革新/馬祖道一と洪州宗
第十章 馬祖禅の新しさ
 僧団の建設/僧団の戒律と運営/宗義の発展/禅修行の方式
第十一章 分派の形成
 馬祖、石頭二系から五家へ/潙仰宗/曹洞宗/臨済宗/德山と雪峰/雲門宗/法眼宗
第十二章 宗風の変容
 禅宗の貴族化、官僚化と寺院経済の世襲化/臨済の言葉と「趙州の門風」/語録と機縁問答/宗風の公式化
第十三章 禅教合一、伝統への回帰
 梁粛と柳宗元の洪州禅批判/宗密の教禅一致論/法眼文益の「教禅合一」思想/永明延寿と浄土法門/雲門宗の余響/黄龍派と楊岐派/禅浄合一
第十四章 禅思想と宋明の新儒学
 禅宗語録/寒山詩と王梵志詩/韓愈と李翺/周敦頤/程頤と程顥/朱熹/陸九淵/王陽明/李贄と泰州学派/明末の「狂禅」思潮
第十五章 禅の文学
 文化運動/禅文学/白話の文体/文学的散文/偈頌――直説せず巧みに禅を説く/文字の因縁 杜甫、白居易、蘇軾/黄庭堅、明末文学/文化諸領域への影響
講義を終えて
 宋代禅の変質/近代型の宗教/思想的、文化的遺産/禅宗史の描写

孫昌武『禅についての十五章』解説(衣川賢次)

■編著者紹介
著者紹介
孫昌武(そん しょうぶ)
1937年遼寧省営口市生まれ。現在南開大学中文系教授。中国古典文学、宗教文化の分野で著書が多数ある。代表作は『柳宗元伝論』(人民文学出版社、1982年)、『唐代古文運動通論』(百花文芸出版社、1984年)、『唐代文学与仏教』(陝西人民出版社唐代文学研究叢書、1985年)、『仏教与中国文学』(上海人民出版社中国文化史叢書、1988年)、『観世音応験記(三種)』(中華書局古小説叢刊、1994年)、『中国文学中的維摩与観音』(高等教育出版社、1996年)、『韓愈選集』(上海古籍出版社中国古典名家選集、1996年)、『禅思与詩情』(中華書局、1997年)、『道教与唐代文学』(人民文学出版社中国古典文学研究叢書、2001年)、『隋唐五代文化史』(東方出版中心、2007年)、『祖堂集』(上下、西口芳男・衣川賢次と共著、中華書局中国仏教典籍選刊、2007年)、『中国仏教文化史』(五巻、中華書局、2010年)、『仏教文学十講』(中華書局、2014年)、『道教文学十講』(中華書局、2014年)、『北方民族与仏教――文化交流与民族融合』(中華書局、2015年)等。『孫昌武文集』三十巻(中華書局)が刊行中。


訳者紹介
衣川賢次(きぬがわ けんじ)
1951年兵庫県生まれ。京都大学大学院博士課程修了。現在花園大学特任教授。専攻は中国語学、中国文学、禅語録研究。翻訳『景德伝灯録』三、四、五(共著、禅文化研究所、1983、1997、2013年)、『神会の語録 壇語』(共著、禅文化研究所、2006年)、『唐末五代転型期の禅宗――九、十世紀福建禅宗の思想史的動向(一)『祖堂集』巻七雪峰章訳注』(私家版、2014年)、『一山一寧墨蹟集』(静岡県帰一寺、2016年)、『六祖壇経 臨済録』(共著、大蔵出版新国訳大蔵経、2019年)。論文集『禅宗思想与文献叢考』(復旦大学出版社、2017年)、『禅宗語言叢考』(復旦大学出版社、2020年)。編著『臨済録研究の現在 臨済禅師1150年遠諱記念国際学会論文集』(禅文化研究所、2017年)。著書『臨済 外に凡聖を取らず、内に根本に住せず』(唐代の禅僧 第8巻、臨川書店、2021年)。
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