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中国語における「流水文」の研究 「一つの文」とは何か
橋本陽介
出版社:東方書店
出版年:2020年11月
コード:00900   264p   ISBN/ISSN 9784497220202
 
価格 4,400円
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中国語では比較的独立した節が次々に付加される形で展開し、「一つの文」が形成されていることが多い。欧米言語や日本語では「一つの文」で表せない、この「流れる水のよう」に叙述を展開していく「流水文」について、1980年以降の小説とその日本語訳を例に検証し、構造と特徴を明らかにする。

著者の言葉
中国語では比較的独立した節が次々に付加される形で展開し、「一つの文」が形成されていることが非常に多くある。句点で区切っても、読点でつなげてもよいケースも少なくない。また、他の言語から見ると、なぜこれが「一つの文」にされているのかがよくわからないケースも少なくない。本書は中国語書き言葉(特に小説言語)に多く登場する長くて複雑な「一つの文」を言語学的・修辞学的に明らかにし、ひいては言語における「一つの文」について中国語書き言葉の観点から考察をしようとするものである。「一つの文」はしばしば「一つの思考を表す」とされる。中国語書き言葉において、句点から句点までで伝達される内容がもし日本語や英語などと異なるとするならば、何をもって「一つの思考」「一つのまとまり」とするかが異なるということになる。ではそれはいったい何なのか。もし違うとすればどのように違うのだろうか。(「序」より)

目次:

0.はじめに
1.「一つの文」とは何か
2.中国語における「流水文」
3.本書の構成
3.1.「流水文」と修辞的構造
3.2.現代日本語との比較
3.3.通時的変化

第一章 「流水文」の先行研究と連続構造
1.1.中国語における複文
1.2.「複文」と「流水文」
1.3.流水文の先行研究
1.4.連続構造について
1.5.「流水文」の修辞的な特徴について

第二章 時間軸に沿って継起的に起こる出来事と連続構造
2.時間軸に沿って継起的に起こる出来事
2.1.同一主語の連続する動作
2.2.主語が切り替わる場合
2.3.状態性叙述が時間軸に組み込まれることによって時間性を獲得する
2.4.どこで区切るか
2.5.動詞句の単純な連鎖ではない場合
2.6.時間順序原則に一見違反する例
2.7.日本語の中国語訳からみる動詞句連続構造
2.8.形式的記述
2.9.まとめ

第三章 性質・状態性叙述の標点節を含む連続構造
3.恒常的性質や一時的状態を表す語句の連続
3.1.恒常的性質・一時的状態を叙述する連続構造
3.2.時間的連続性と因果関係
3.3.時間軸に沿って継起的に起こる出来事と性質・状態が「一つの文」に統合される場合
3.4.連体修飾構造と連続構造
3.5.全体と部分の叙述と人物描写
3.6.空間描写
3.7.日本語の中国語訳から
3.7.1.連体修飾語を連続構造へ翻訳している例
3.7.2.人物描写と空間描写
3.7.3.指示語の翻訳
3.8.まとめ

第四章 判断、説明、評価と連続構造
4.判断、評価
4.1.“是”を使った文
4.2.“像”を使った文
4.3.詳しい説明が継続する場合
4.3.1.後ろに詳細情報が続く場合
4.3.2.後ろに判断が続く場合
4.3.3.後ろに原因・理由が続く場合
4.4.連用修飾語と連続構造
4.5.連続構造に現れる名詞句
4.6.日本語からの翻訳例
4.7.その他の構造
4.7.1.時点を設定する動詞句
4.7.2.知覚を表す例や伝達動詞
4.7.3.形式的記述とまとめ

第五章 「流水文」とその修辞的特徴
5.はじめに
5.1.流動する叙述
5.2.前置詞句と流動
5.3.中国語連続構造の修辞的特徴と対照
5.4.動きのある描写
5.5.高行健の「言葉の流れ」再論
5.6.頂真構造と結束性
5.6.1.空間描写の例
5.6.2.関連する名詞への展開
5.6.3.時間的展開
5.6.4.動作等の説明
5.6.5.動詞などを反復する方式

第六章 日本語の「長い文」の規範
6.はじめに
6.1.日本語の複文に関する先行研究
6.2.時間軸に沿って継起的に発生する出来事の叙述
6.2.1.主語が同じ場合
6.2.2.主語が異なる場合
6.3.恒常的性質や一時的状態を表す場合
6.3.1.主語が同じ場合
6.3.2.時間軸に沿って一度だけ行われる動作を表す節と状態性叙述を接続する場合
6.4.太宰治『斜陽』から
6.5.野坂昭如『火垂るの墓』
6.6.若干の補足
6.7.話し言葉の模倣

第七章 歴史的経緯素描
7.1.『新青年』の魯迅「狂人日記」「薬」
7.2.『小説月報』1921年1号 葉紹鈞「母」
7.3.『三国志演義』と『紅楼夢』
7.3.1.『三国志演義』
7.3.2.『紅楼夢』

付録 現代中国語における“是”の文脈における機能
0.はじめに
1.“是”の前にある要素Aと、後続する要素B
2.「強調」「確認」「説明」の語気を表す“是”とディスコースでの機能
3.「主語+“是”+動詞句」のパターン
4.“是~的”構文
5.副詞+“是”
6.まとめ

結論

例文出典
主要参考文献
■編著者紹介
1982年埼玉県生まれ。慶應義塾志木高等学校卒業。慶應義塾大学大学院文学研究科中国文学専攻博士課程単位取得。博士(文学)。専門は、中国語を中心とした文体論、テクスト言語学。現在、お茶の水女子大学基幹研究院助教。著書に『物語における時間と話法の比較詩学 日本語と中国語からのナラトロジー』(水声社、2014年)、『越境する小説文体 意識の流れ、魔術的リアリズム、ブラックユーモア』(水声社、2017年)、『物語論 基礎と応用』(講談社選書メチエ、2017年)、『中国語実況講義』(東方書店、2020年)、『「文」とは何か 愉しい日本語文法のはなし』(光文社新書、2020年)などがある。
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