本書は老舎の代表作『駱駝祥子』を、北京人民芸術劇院(北京人芸)の舞台監督・梅阡が戯曲化した『駱駝祥子(五幕六場話劇)』の中国語原文(全文)とその日本語訳である。 中国語原文は全文にピンインをつけ、語意や発音などに関する詳細な注釈を付す。北京語を駆使した台詞回しを特徴とする北京人芸の俳優による全編の朗読(スタジオ録音)は東方書店HPよりダウンロード可能。音声ダウンロード版への変更にあたり、一つ一つの音源ユニットを短くして聞きやすくした。本書のピンインはこの朗読での発音を訳者が聞き取ってピンインで表記したものであるため、標準的なピンインと異なっていたり、同じ語でも箇所によって異なるピンインが付いていたりする。北京語特有の発音を理解するうえで大きな助けになると考え、あえてこうしたピンインの付け方を試みた。北京語と普通語の発音の違いについては、原文の注釈のほか、「解説1 北京語の特徴について」で解説している。また、小説『駱駝祥子』とかなり趣の違う結末についても詳細に解説しているが、今回、日本のラジオ放送で使われた2種類の脚本に関する考察を加えた。そのほか、第5幕に「コラム 『駱駝祥子』の歌声と物売りの声」を追加した。
内容見本1 内容見本2
音声1 音声2 音声3
【音声ダウンロード方式】 *音声は小社WEBサイトの専用ページからダウンロードできます。 *本書19ページの「音声ダウンロードについて」に記載のダウンロードキーが必要となります。 *音声ダウンロードの回数制限はございません。
●訳者の言葉 北京に生まれ、『駱駝祥子』を初めとする話劇に魅せられ演劇の世界を志したこともある私にとって、『駱駝祥子』は思い入れの深い大好きな作品です。『駱駝祥子』といえば老舎の代表作として日本でも有名ですが、中国では老舎の小説としてよりも、むしろ様々な舞台劇、映画などとして親しまれてきました。そのきっかけは梅阡先生による脚本化でした。今回の完全版によって、中国人、特に北京の庶民が愛してやまない話劇『駱駝祥子』の魅力に1幕のみではなく完全な姿で触れていただければ、こんなに嬉しいことはありません。(あとがきより)
●構成 新序 重版にあたって 序(舒乙) 序(辺波) 序文 凡例に代えて
音声について 舞台写真について
解説 北京語の特徴
中国語台本 第1幕 コラム1-1 北京の街 コラム1-2 老舎の「舎」はどう読むべきか コラム1-3 秘密警察――偵緝隊 コラム1-4 中国の帘/簾 コラム1-5 民国期の通貨名称 コラム1-6 市中引き回し――過紅差 コラム1-7 犬のイメージ コラム1-8 庶民の普通の挨拶
第2幕 コラム2-1 北京の四合院 コラム2-2 親族名称の使い方あれこれ コラム2-3 貯金壺――撲満 コラム2-4 風にあたる――受風 コラム2-5 洗い水・盥・手拭 コラム2-6 夜回り――打更
第3幕 コラム3-1 高い階段――高台階児 コラム3-2 氷のかけら(氷のぶっかき)――氷核児 コラム3-3 ズボンの帯と腰帯 コラム3-4 広和楼 コラム3-5 蓮台で作った人形――蓮蓬簍児
第4幕第1場 コラム4-1 旧正月を表す表現――旧暦年と春節 コラム4-2 闇市――鬼市 コラム4-3 寿桃(長寿桃)と寿麵(長寿麵)
第4幕第2場
第5幕 コラム5-1 蝦蟇仙人とヒキガエル コラム5-2 神降ろし――頂神 コラム5-3 子供は討債鬼である――悟らせと励ましの表現 コラム5-4 『駱駝祥子』の歌声と物売りの声
日本語訳 第1幕 第2幕 第3幕 第4幕第1場 第4幕第2場 第5幕 解説 『駱駝祥子』の改変について――祥子の結末を中心に
あとがき 参考文献 索引 異読一覧
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