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中国清末民初期の修身教科書と日本
方光鋭
出版社:東方書店
出版年:2019年03月
コード:00867   240p   ISBN/ISSN 9784497219091
 
価格 3,850円
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19世紀末から20世紀初頭にかけて、亡国の危機に直面した中国は大規模な教育改革を実施し、制度、目的、内容、方法など、すべての面で日本の教育を模倣した。そこで目指されたのは、従来の科挙体制における一部のエリートを養成する教育から、教育対象を一般民衆に拡大し、近代的国民を育てる教育への転換であった。中国の近代教科書、とくに修身教科書もまた想像以上に日本の影響を受けた。それに対して、近代化に成功し、中国の警戒を無視して媒介者以上の役割を果たそうと意気込んだ日本は、いかに中国の国民作りと関っていたのだろうか。また、日本の官僚、知識人、出版社は、それぞれどのような思惑をもって中国の状況に臨んだのだろうか。本論文は以上の問題意識をもって展開されている。

構成:
序章
第1節 テーマの設定
 1.1 テーマ
 1.2 問題提起
第2節 先行研究
 2.1 研究現状
 2.2 先行研究の検討
第3節 研究方法の検討
第4節 論文の構成

第一章 伊沢修二と中国向け修身教科書『東亜普通読本』(1905)
はじめに
第1節 『東亜普通読本』の概観
第2節 『東亜普通読本』と『幼学綱要』
 2.1 徳目と登場人物の比較
 2.2 『幼学綱要』からの変更、添削
 2.2.1 「忠節」の変更
 2.2.2 新たに登場した人物
第3節 『東亜普通読本』と日本の第一期国定修身教科書との比較
第4節 『東亜普通読本』と清末の教育方針
第5節 『東亜普通読本』の編纂理念 ―文明より「混合融合」―

第二章 「模倣」と「排除」― 商務印書館版『最新 修身教科書』をめぐって
はじめに
第1節 『最新 修身教科書』(1905)と日本側の編纂方針
 1.1 『最新 修身教科書』における日本の第一期国定修身教科書の編纂方法の模倣
 1.2 『最新 修身教科書』における日本の第一期国定修身教化書の徳目構成の模倣
第2節 『最新 修身教科書』における近代的徳目の組み換え
 2.1 「産業」
 2.2 「自立」
 2.3 「礼儀」
 2.4 「博愛」
 2.5 「愛国」
第3節 張元済の「文明排外」教育観
 3.1 張元済の人物
 3.2 張元済の「文明排外」教育観
第4節 日中合弁における編輯者らの交流
 4.1 古典偏重の中国側
 4.2 日本人編纂者の名前の削除
おわりに

第三章 民国初期の修身教科書における日本モデルへの依存
はじめに
 0.1 問題提起
 0.2 先行研究
第1節 商務印書館とライバルの中国図書公司、中華書局―日本との合弁をめぐる攻防
 1.1 商務印書館と中国図書公司
 1.2 商務印書館と中華書局
 1.2.1 中華書局と商務印書館の教科書宣伝合戦
 1.2.2 陸費逵と張元済の教育観
第2節 民国初期の修身教科書(商務印書館系統と中華書局系統)
 2.1 商務印書館版『訂正 最新修身教科書』(1905初版、1912訂正)の影響力
 2.2 商務印書館版『共和国教科書 新修身』(1912)、中華書局版『新編 中華修身教科書』(1913)における日本モデルへの依存
 2.2.1 日本の国定修身教科書の編纂方法の模倣
 2.2.2 日本の国定修身教科書からの国際主義的内容の借用
 2.2.3 日本の国定修身教科書の全徳目の要約的人間像の模倣
おわりに

第四章 民国初期の修身教科書における日本モデルからの離脱
はじめに
 0.1 問題提起
 0.2 先行研究
第1節 民国の新教育制度と商務印書館、中華書局
 1.1 蔡元培と張元済の交友関係
 1.2 教育界における商務印書館、中華書局
第2節 蔡元培「対於新教育之意見」(1912)―日本モデルへの修正
 2.1 欧米教育理念の混合物
 2.2 「欧化と国粋を融合する」
第3節『新編 中華修身教科書』における「欧化」と「国粋」
 3.1 「博愛」―「愛衆」
 3.2 「職業」―「明分」
 3.3 「競争」―「去争」
 3.4 「家」の扱い方
 3.5 「公益」―「公徳」
第4節 20世紀初頭の「国民性改造」論と民国初期の修身教科書
 4.1 梁啓超の「国民性改造」論と清末の修身教科書
 4.2 「国民性改造」論と民国初期の修身教科書
 4.2.1 「公徳」
 4.2.2 「自尊」
 4.2.3 「家庭」
おわりに

終章
第1節 近代モラルの導入方法
第2節 理念と実践の乖離
第3節 伝統文化と近代化の扱い方
第4節 日本の立場と役割
第5節 今後の課題

資料・参考文献
附録1 『共和国教科書 新修身』と日本第一期修身教科書の対照
附録2 『新編 中華修身教科書』と日本第一期修身教科書の対照

■編著者紹介
中国黒竜江省出身。2001年、中国東北師範大学日本語学部卒業。2004年、中国東北師範大学大学院日本言語文化修士課程修了。2013年、名古屋大学大学院国際言語文化研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専攻は比較文化学。現在、(中国)大連理工大学外国語学院日本語学部専任講師。主な論文に、「伊沢修二と『東亜普通読本』―『幼学綱要』との関係について」(『中国研究月報』66、2012)「張元済と商務印書館版『最新修身教科書』(1905)」(『文化記号研究』創刊号、2012)「『東亜普通読本』における増補人物」(『日本言語文化研究』6、2017)などがある。
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