本書は、12の章にジャンル分けをし、各ジャンルの専門家による「研究状況」と「史料紹介」が記述され、必要に応じて詳しい「史料解題」が付される。「補論」として、関係するデータベースの利用状況などを全面的に紹介している。巻末には、約50頁にわたる「研究文献・史料一覧」を附す。中国を詳しく知りたい人には、ぜひお勧めしたい1冊である。 ●編著者のことば 現代中国が心理的に遠い存在になってしまったことは、日中間に様々な摩擦が生じているからにほかならない。とりわけ、歴史認識問題は日中間の政治・外交問題へと発展するほどに深刻化し、両国の社会で嫌中感と嫌日感を呼び覚まして相互のイメージを悪化させている。(略)この歴史認識問題を引き起こしている一因は、日本側の「固定化された中国観」にもあると考えられる。(略)現代中国は、依然として社会主義の看板を掲げているとはいえ、すでに経済発展をとげた。しかも、21世紀の国際社会において大国となった。(略)大切なことは、既に破綻した現代中国に対する従来のイメージを取り払って、(略)どこまでが普遍で、どこからが特殊であるのかを考え続けることである。このような現代中国に対する知的探求がなぜ日本にとって重要なのであろうか。(略)今後の日中関係の発展が重要であるとの回答は73.3%にも達している。経済や貿易、そして安全保障を小難しく論じなくとも、この73.3%という数字が日本の現代中国に対する知的探求の重要性を雄弁に物語っていよう。(「はじめに」より) ●構成 はじめに(中村元哉) 第1章 政治・思想史――連鎖する民国史と人民共和国史(中村元哉) 第2章 中国共産党史(田中仁) 第3章 政治制度史――人民代表大会を中心に(杜崎群傑) 第4章 法制史――憲法と司法を中心に(吉見崇) 第5章 軍事史(山口信治) 第6章 外交史・日中関係史(王雪萍) 第7章 民族政策史――チベットを事例として(小林亮介・大川謙作) 第8章 経済史(久保亨) 第9章 農村政策・農村社会史研究(河野正) 第10章 教育史(大澤肇) 第11章 文学史(和田知久) 第12章 ジェンダー史──家族・動員・身体(小浜正子) 補論――電子史料とデータベースについて(大澤肇) 研究文献・史料一覧(河野正) あとがき(編者一同)
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