中国・元代に流行した元雑劇の台本100編を収録した『元曲選』から10編を翻訳。劇の雰囲気を活かした言葉づかいや、七五調で整えた歌詩など、分かりやすい日本語訳で舞台の世界へ誘う。各劇の注釈・解説のほか、元曲をより深く知るためのコラムも付す。収録作品は、映画にもなった復讐劇「趙氏孤児(ちょうしこじ)」、玄宗と楊貴妃の悲劇を描く「梧桐雨(ごどうう)」、書生と妓女の恋愛を描く「曲江池(きょくこうち)」、世話物「東堂老(とうどうろう)」、公案劇(裁判物)の「勘頭巾(かんとうきん)」、「一炊の夢」の故事としても知られる「黄粱夢(こうりょうむ)」など。
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●編著者のことば 東西(とざい)東西(とーざい)、ここにお披露目いたしまするは、かの中国は元のご時世、広く巷で人気を博したお芝居「元雑劇」でございます。(中略) 実は今年、二〇一六年は、この『元曲選』の全編が出版されてからちょうど四百年目にあたります。これも何かのご縁、いまだ日本語に全訳された本が出版されていないなか、『元曲選』に収められている元曲百種から、まずは特に元曲らしい名作十編を、その特徴をできるだけ残したまま、わかりやすい現代日本語に翻訳いたしました。選んだ作品は、歴史劇から「趙氏孤児」と「梧桐雨」、書生と良家の娘や妓女との恋愛を描く才子佳人劇から「瀟湘雨」と「曲江池」、「金線池」、世話物から「東堂老」、公案劇(裁判物)から「勘頭巾」と「盆児鬼」、道教や仏教などの宗教的要素の強い神仙道化劇から「黄粱夢」と「忍字記」でございます。それぞれの作品のおもしろいところを見つけながら、是非その舞台をイメージしてみてください。そして、そこに描かれた当時の中国の人々の生活の中に入り込んでみてください。(「はしがき」より) ●構成 はしがき/凡例
一、趙氏の孤児、大いに讐を報いる 〔趙氏孤児〕 紀君祥 二、臨江の駅、瀟湘にふる秋夜の雨 〔瀟湘雨〕 楊顕之 三、東堂の老、家破す子弟を勧す 〔東堂老〕 秦簡夫 四、李亜仙、花酒の曲江池 〔曲江池〕 石君宝 五、唐の明皇、秋夜梧桐にふる雨 〔梧桐雨〕 白仁甫 六、河南府の張鼎、頭巾を勘す 〔勘頭巾〕 孫仲章 七、邯鄲道、黄粱の夢に省悟める 〔黄粱夢〕 馬致遠 八、布袋和尚、忍の字の記 〔忍字記〕 鄭廷玉 九、杜蕊娘、智もて金線池を賞でる 〔金線池〕 関漢卿 十、玎玎璫璫、盆児の鬼 〔盆児鬼〕 無名氏
〔コラム〕「曲」について/「脚色」について/ト書きと「しぐさ」/元雑劇が扱う作品の種類 先行翻訳紹介/あとがき
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