本書は、3部に分かれる。第1部では、敦煌文書S2204に含まれる「董永変文」やS6836文書の「葉浄能詩」などの文献を読み解き、仏教都市と目される唐代の敦煌における道教の民間での普及状況を論述し、道教に関する敦煌文書であるBD1219文書とBD7620文書を読み解き、当時の道教観における「俗講」の様子を考察する。章末にBD1219文書とBD7620文書の「校録」を附す。第2部は、蜀地方に伝わる民間信仰について論述を加え、現四川省一帯における唐代の道教の広がりを考察。第3部は、地方志に掲載される資料を用いて、「厳君平信仰」の発生とその後の消長について論述する。 ●編著者のことば あくまで具体的に見うる対象を求め、時代的には隋唐五代時代を中心として、二つの地域に着目して研究を進めた。敦煌(敦煌文献を通しての視点から)と蜀(四川省成都市を中心とした地域)の二つである。その地方性を認識して、あくまでその地域の問題を掘り下げ、特殊な状況を調査する、するとそこには必ず普遍が姿を現すはずである。(「まえがき」より)
●構成 まえがき 第1部:敦煌と道教 第1章:敦煌と道教 第2章:民間信仰と鎮宅神 第3章:「董永変文」と道教 第4章:葉法善と葉浄能 第5章:道教と唱導 付録:BD1219の翻刻と校録 第6章:道教と俗講 付録:中国国家図書館蔵敦煌写本BD7620校録
第2部:蜀地(四川省)と道教 第1章:竇圌山と竇子明(上) 第2章:竇圌山と竇子明(下) 第3章:唐代に見られる救苦天尊信仰について 第4章:謝自然と道教 第5章:羅公遠と民間信仰 第6章:川主管窺 第7章:唐・五代社会に見られる道教の身体観受容
第3部:成都と道教 第1章:玉局観をめぐる社会と信仰 第2章:成都・厳真観と信仰 第3章:厳君平信仰の伝播と広がり 第4章:厳君平の伝説とその信仰 あとがき 参考文献 索引
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