国際シンポジウム 東アジア世界と儒教
上製
吾妻重二 主編/黄俊傑 副主編
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出版社:東方書店 |
出版年:2005年03月 |
コード:00632 432p ISBN/ISSN 4-497-20504-5 |
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巨大な文化パラダイムの史的展開を考察!東アジアにおいて儒教が果たした役割はきわめて大きい。儒教は、政治、経済、教育、宗教、儀礼、民俗習慣、学術、倫理、哲学、科学技術、芸能などの領域にわたる巨大な文化パラダイムとして、中国本土から日本、韓国・朝鮮、ベトナムを含む「東アジア世界」の文化的核を形成してきた。本書は、2004年9月に関西大学で開催された同名シンポジウムにおける発表を1冊にまとめたものである。ここに収められた論考は、儒教の諸領域・諸地域における史的展開を分析し、ヨーロッパとは異なる東アジア文化の特性を示すことを目的にするものである。本書によって、我が国を含む東アジア地域の過去と現在を照射することができるであろう。 ●編著者のことば 儒教のもつ広範な内実とその歴史的展開を解明することは、研究者にとって依然、重要な課題というべきであろう。もちろん、私たちは儒教を礼賛するつもりはないし、儒教の復興を企てようとも思わない。そうではなく、東アジアという地域はかつてどのような文化をもっていたのかを、政治イデオロギーや狭隘なナショナリズムの磁場から離れて再検討したいと考えたのである。実際のところ、儒教を抜きにして中国・韓国・ベトナム・日本の過去を語りうるはずがなく、そして私たちの過去を知ることはまた、現在をより良く知ることにもつながるはずである。(「発刊にあたって」より)
●構成 発刊にあたって(吾妻重二) [特別講演I] 政治環境からみた朱子学と陽明学(余英時/井澤耕一訳) 政治環境からみた朱子学と陽明学―講演のための論稿(余英時/井澤耕一訳) [中国と儒教] 東アジア世界の冊封体制と儒教(甘懐真/奥村佳代子訳) 朱子の認識観および認知方式の基本性質(呉展良/佐藤実訳) 戴震の共同体意識について(鄭吉雄/橋本昭典訳) 連横『台湾通史』における「民族」概念─旧学と新義(陳昭瑛/山田明広訳) 近世儒教の祭祀儀礼と木主・位牌─朱熹『家礼』の一展開(吾妻重二) [特別講演II] 近代日本の国家形成と儒教(子安宣邦) [中国と日本I] 荻生徂徠の『論語』解釈における三つの軸―政治学としての経書解釈学の特色(黄俊傑/中尾一成訳) 伊藤仁斎と荻生徂徠の『中庸』注解─その思想史的意義(蔡振豊/城山陽宣訳) [中国と日本II] 朱子学の正統論・道統論と日本への展開(土田健次郎) 「教育宗教衝突」事件の背景に関する再考─井上哲次郎の『敬宇文集』批評を手がかりに(陶徳民) [中国と韓国、ベトナム] 李退渓と王陽明(李明輝/井澤耕一訳) 安淳煥の鹿洞書院と「朝鮮儒教会」を通じてみた1930年代韓国の儒教復興運動(崔在穆) 近代ベトナムにおける「国語」と「漢字」の関係(岩月純一)
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■編著者紹介
吾妻 重二(あづま じゅうじ):1956年茨城県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学(東洋哲学専攻)。北京大学留学、プリンストン大学客員研究員を経て、現在関西大学文学部教授。『朱子学の新研究』ほか論著多数。黄 俊傑(こう しゅんけつ):1946年台湾高雄市生まれ。台湾大学歴史学系卒業。ワシントン大学博士。現在台湾大学歴史学系教授、台湾大学東亜文明研究中心副主任、中央研究院中国文哲研究所兼任研究員。『東亜儒学史的新視野』ほか論著多数。
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