中国思想における身体・自然・信仰――坂出祥伸先生退休記念論集
上製
坂出祥伸先生退休記念論集刊行会 編
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出版社:東方書店 |
出版年:2004年08月 |
コード:00624 680p ISBN/ISSN 4-497-20414-6 |
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中国思想の根底に流れる宗教的信仰を探る!中国思想・中国哲学研究で高名な関西大学坂出祥伸教授(現・名誉教授)の退休記念論文集。場所と時代を問わず、人間はおのれの身体に密接して生きざるを得ない。そして、おのれの身体をも含めた自然の中に生きている以上、どのような人間であっても、漠然とであるにせよ宗教的信仰を抱いていたであろう。本書は、古来中国人が内に抱いてきたそうした宗教的信仰―端的には「気」的身体、「気」的自然、「気」に対する信念や反撥などに焦点をあてた論文34篇を収録。従来、政治思想、倫理思想、社会思想に偏重していた中国思想研究に新しい視点を提示する。 ●編著者のことば これまで私は、身体や生命を運動するものとしてではなくて、いわばstaticなものとして考察してきた。それは中国の伝統医学、黄帝内経医学に導かれて考えてきたからである。黄帝内経医学は一言でいえば、五臓の「気」の過不足のない状態(平)を健康だとする考えである。しかしながら、人間の身体や生命は「運動」するものとして捉えられるべきである。黄帝内経医学から運動する身体、生命という、いわばdynamicに身体を捉えるという視点は出てくるのかどうか。近代の我々にとって非常に重要な問題であろう。(坂出祥伸「私は『気』の思想とどうかかわってきたか」より)
●構成 序(河田 悌一) 私は「気」の思想とどうかかわってきたか(坂出 祥伸) I 身体 テクストの身体化(山口 久和) 荀子言語論の身体論的射程(石田 秀実) 秦簡「膚」字考(大川 俊隆) 脚から起こる病の話(白杉 悦雄) 唐代の医学思想と道教(高橋 秀治) 朱熹の「知覚」説(市来 津由彦) 逆転した鏡(M.エスポジト/梅川 純代 訳) II 自然 道家の「自然」(片倉 望) 帛書『刑徳』小考(末永 高康) 王充の性命論と科学知識(武田 時昌) 『列子』張湛注における「理」について(坂下 由香里) 宋代における天文学の国家的庇護と制御(馮 錦栄/梅川 純代 訳) 液化する風景(宇佐美 文理) 朱熹の鬼神論と気の論理(吾妻 重二) 劉智の四行と五行(佐藤 実) III 信仰 早蜀文化における日月神崇拝初探(高 大倫/佐藤 実 訳) 金文廟制研究に関する一般的な見解と問題点(劉 正/平 顕子 訳) 西王母信仰について(重信 あゆみ) 華陽隠居への道(麥谷 邦夫) 道教斎における自虐的行為の効能およびその衰退について(山田 明広) 則天武后の明堂について(南澤 良彦) 天書始末記(福島 正) 王安石鍾山隠棲考(井澤 耕一) 道教儀礼の出官啓事に関する諸問題(丸山 宏) 道教護法神・王霊官(奈良 行博) 正一教について(石田 憲司) 台湾北部紅頭道士の祭解(松本 浩一) 多久聖廟について(小林 和彦) IV 思想の諸相 『論語』不曰如之何章の解釈をめぐって(仲畑 信) 『荘子』における「真」と「性」と「情」(橋本 昭典) 混沌への跳躍(谷津 康介) 中国古代における「忠」概念の考察(城山 陽宣) 後漢黄老学の特性(池田 秀三) 『注』の「妙本」・『疏』の「妙本」(堀池 信夫) 坂出祥伸先生略年譜・著作目録 編集後記
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■編著者紹介
坂出 祥伸(さかで よしのぶ):1934年鳥取県生まれ。京都大学大学院修士課程中国哲学史専攻修了。関西大学教授を経て、現在同校名誉教授。文学博士。『道教と養生思想』『「気」と養生』『「気」と道教・方術の世界』『中国思想研究―医薬養生・科学思想篇』『改訂増補中国近代の思想と科学』他論著多数。
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