激動期における中日両国の思惑を綿密に検証！
1911年の辛亥革命勃発以後、中国では清朝・軍閥・革命派の争いに、これに干渉して権益獲得を目論む日本の政府・軍部・財界・大陸浪人、さらには欧米列強などの思惑が錯綜し、複雑な国際外交が展開された。本書は、激動する政治情勢に伴って激しく揺れ動いた中国・日本間の外交の全容とその目的・駆け引きを、日中双方の新たに発掘された資料を駆使して綿密に跡づける畢生の大著。引用される豊富な資料から、利権獲得をめぐる諸勢力間の虚々実々の牽制、火花を散らす攻防など冷徹な国際政治●編著者のことば
辛亥革命は中国の革命勢力が封建的な清王朝を打倒し、共和制の中華民国を樹立しようとした革命であり、……本来中国の内政問題であって、中国人民と革命勢力が自発的におこなうべきことであったが、中国が日本や欧米列強の半植民地であったため国際問題になり、日本や欧米列強は直接的或いは間接的にこの革命に干渉しようとした。このように国際問題化した辛亥革命における個別的問題について国際関係史或いは外交史の視角から研究した論文・書籍はあるが、系統的・集中的・専門的にとりあげた研究書は未だ発表されていない。故に、本書は中日外交史・国際関係史の視角からこの時期の中日外交史を考究することを目的とする。（「はしがき」より）
●構成
はしがき
第1章 辛亥革命の勃発と中日外交
1 武昌蜂起をめぐる対応／2 日本軍部・政府・外務省の対応／3 袁世凱の出馬をめぐる対応／4 南北和議と政体をめぐる対応／5 日本の民間・世論・帝国議会の反応
第2章 南京臨時政府と中日外交
1 孫文の外交活動と日本／2 南京臨時政府と日本／3 武器提供と北伐軍をめぐる対応／4 漢冶萍公司借款／5 蘇省鉄路公司と招商局借款／6 南北妥協をめぐる対応
第3章 日本の満蒙政策と閩浙沿岸浸透
1 革命勃発初期の対満政策／2 満州出兵のたくらみ／3 第一次満蒙独立運動／4 満州租借のたくらみ／5 第三回日露協約／6 閩浙沿岸地域に対する浸透
第4章 北京政府と中日外交
1 北京政府の成立と承認をめぐる対応／2 善後借款をめぐる対応／3 地方諸省の借款／4 中日貿易と三井物産／5 露蒙協約をめぐる対応
第5章 孫文の訪日と中日外交
1 孫文の訪日要望と日本の対応／2 孫文の訪日と孫・桂会談／3 中国興業株式会社／4 中日実業株式会社／5 孫文の対日言論の虚像と実像
第6章 第二革命期の中日外交
1 宋教仁暗殺後の対応／2 第二革命勃発前後の対応／3 孫・黄渡日をめぐる対応／4 孫・黄の在日活動／5 兗州・漢口・南京事件交渉／6 北京政府承認をめぐる対応
第7章 第一次世界大戦の勃発と中日外交
1 日本の対独開戦と膠州湾・山東鉄道の占拠／2 中華革命党の反袁活動と日・袁の対応／3 二十一カ条の形成と交渉／4 二十一カ条交渉をめぐる日・中と欧米列強の二重外交／5 二十一カ条をめぐる袁・孫と日本の対応
第8章 洪憲帝制と中日外交
1 帝政運動をめぐる対応／2 第三革命と護国戦争／3 第二次満蒙独立運動と張作霖工作／4 山東蜂起と孫・黄の帰国／5 袁死後の対応
人名索引
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