訟師の中国史 国家の鬼子と健訟
/筑摩選書277
夫馬進
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出版社:筑摩書房 |
出版年:2024年04月 |
コード: 352p ISBN/ISSN 9784480017956 |
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中国はかつて訴訟を助ける訟師(しょうし)が跋扈する訴訟だらけの「健訟」社会だった。宋代から清末にかけて暗躍し、蛇蝎の如く嫌われた訟師の実態を描き出す。
伝統中国は訴訟だらけだった! 知られざる訴訟社会の実態を初めて解明
訟師とは人びとの訴訟を助けた者たちである。彼らは狡智にたけた悪党とみなされ、清代では職業として訴状を代作しただけで、しばしば死刑一歩手前の重刑が科せられた。しかし実際には、それは中国国家が自ら生み出した鬼子であった。宋代以降、訴訟が多発する健訟社会となったのだが、伝統的な政治思想と訴訟制度そのものが逆に人びとに訟師を必要とさせたからである。また訟師には訟師であることに誇りを持つ者さえいた。訟師の全体像を中国史と世界史のなかで初めて明らかにする。
目次: 序章 訟師というカギ
第1章 悪訟師のイメージ 1 田舎のインテリ? 2 奸策さまざま 3 「耳に噛みつく訟師」の転変
第2章 訟師有用論 1 女訟師 2 幕友・王有孚の主張 3 幕友も訟師も科挙の敗残者
第3章 伝統中国の訴訟制度 1 州県衙門と胥吏、差役 2 受理か、不受理か 3 判決までと判決の後
第4章 訴状への虚偽と誣告の書きこみ 1 デタラメなところがなければ訴状にならない 2 国家が生んだ鬼子 3 民事では埒が明かない
第5章 私代書の容認から処罰へ 1 訴状を代作しても問題なし 2 宋代の書舗 3 明代の里老裁判制
第6章 積慣の訟棍 1 清代の訟師撲滅作戦 2 曖昧なレッテル 3 「反坐」の呪縛
第7章 名士と犯罪者のあいだ 1 義侠の人、張正常 2 覃必俊の逮捕と杖殺 3 乾隆帝の怒り
第8章 北京への直訴 1 京控を幇助する者たち 2 いったいなにがいけないのか? 3 蘇州における京控請け負い企業
第9章 世界史のなかの訟師 1 イギリスのペティフォッガー 2 訴訟秘本と海瑞が起こした訴訟爆発 3 イスラムの法廷、中国の法廷
第10章 江戸との相違 1 公事宿と歇家 2 訴訟における制限と開放 3 儒教と専制の合体
第11章 訟師自身による訟師観 1 訴訟も誣告もするな 2 『珥筆肯綮』に響く肉声 3 われわれは長年読書している
第12章 訟師の終焉 1 民国初年、訟師の急激な凋落 2 浙江省龍泉県では 3 批示による不受理を止める
終章 現代中国の訴訟制限
あとがき
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