『三国志』の英雄 曹操
/新・人と歴史37
林田愼之助
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出版社:清水書院 |
出版年:2019年04月 |
コード: 276p ISBN/ISSN 9784389441371 |
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「三国志」の覇者、魏の曹操は「槊を横たえて詩を賦す」といわれる第一級の武将であり、第一級の詩人でもあって、まことに魅力に富む人物である。非常なほどの冷酷さと激情に揺れるやさしさをあわせ持つ、その性格と行動が、一個の矛盾体として緊張をはらみ、人間曹操の魅力を構成する。ところが、かく異彩を放つこのきわめて魅力的な人物は中国でながい間、悪玉として憎まれ役を演じつづけてきた。本書はこうした「三国志演義」などによって形成された虚像を排し、当時の常識的な思考の枠をはるかに超越していた武将、また、この時代に突出していた詩人、曹操の実像を鮮明に描き出す。
目次 はじめに Ⅰ 曹操の生涯 一 悪玉視された曹操の実像 奸智にたけた悪玉/『三国志演義』の曹操/『世説新語』の曹操評価/『三国志』魏書の曹操 二 宦官の家の子として育って 曹氏の家系/曹氏の墳墓群/贅閹の遺醜/曹操の風采/若き日の曹操と袁紹 三 『孫子』に学んで智を磨く 『孫子』に学ぶ/「孝廉」に選ばれる/黄巾反乱軍を鎮圧/俗信・慣習にとらわれず/濁世を避け天下の清むを待つ 四 軍閥打倒をめざして独自の挙兵 宦官の専制支配終わる/董卓に追われる/打倒董卓/武力集団の結集/反董卓軍の敗走 五 時代を描いて挽歌を詠ず 五言古詩の史詩/二曲の挽歌/群雄割拠/青州黄巾軍を破る 六 群雄として自立した非情な挑戦 弔い合戦/張邈の謀反/陳宮の裏切り/筍彧と程昱/程昱の進言 七 天子の奉戴と屯田制の実施 献帝を奉じる/八竜の一人筍彧/先見の明/袁紹の優柔不断/屯田制の施行 八 劉備、曹操を頼る 曹昂を身代わりに/呂布、曹操の軍門に降る/陳宮の最期/劉備、曹操の幕下となる 九 華北統一にむけて袁紹と対決 戦わずして勝つ/主戦論に傾く袁紹/『孫子』の戦略/官渡の戦い 一〇 官渡で袁紹を破り中原の覇者となる 天下分け目の戦い/許攸の智略/袁紹軍の敗北 一一 修学令の布告 橋玄の教え/曹操慟哭す/修学令を布告する 一二 曹操を嘲弄した文人孔融 孔子の子孫にあたる孔融/孔融、曹操を嘲弄する/孔融、断罪に処せられる 一三 曹操、赤壁にて敗北 立ちはだかる劉表と孫権/曹操、漢の丞相に任じられる/諸葛孔明の登場/赤壁の戦い/曹操、敗北を喫す 一四 「求賢令」と筍彧の死 「求賢令」を発令する/筍彧、曹操の逆鱗にふれる/魏国の誕生 一五 「五斗米道」教国を懐柔…156 「五斗米道」教国/「義舎」/陽平関陥落/張魯の待遇 一六 曹操、魏王となる 司馬仲達の進言/建安一九年の「求賢令」/曹操、魏王となる 一七 偉大なる英雄曹操の死 天下三分の計/孫権、呉蜀同盟を破棄する/曹操の死と漢王朝の終息
Ⅱ 曹操の文学 一 曹操と「建安の文学」 雅に慷慨を好む/建安の文学/「短歌行」 二 曹操の従軍詩 「却東西門行」/「苦寒行」 三 曹操詩の絵画的な風景描写 「歩出夏門行」 四 長寿を願う曹操の遊仙詩 神仙養生の術/「秋胡行」第一首/「秋胡行」第二首/「遺令」 五 清峻で通脱であった曹操の散文 通脱を尊ぶ文章/清峻の風格を備えた文章 六 曹丕の文学独立宣言 魏国の太子/「七歩」の詩/徳を以て民を化す/「典論」一〇〇篇 七 天才詩人曹植 前過を追悔する/後継者争い/曹操最晩年の詩/曹丕、魏の文帝と称す あとがき 年譜 さくいん
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