歪みはどこから来たか なぜ党幹部や政府役人の汚職がやまないのか?なぜ共産主義国で貧富の差が拡大するのか?その答えは歴史の中にあった。エリート/非エリートの金・コネ・権力をめぐる相剋の2000年を、実力派歴史家が大胆かつ明快に読み解き、超大国を蝕み続ける「病理」の淵源に迫る!
目次: はじめに――中国共産党から考える 共産党とは何か/共産党と中国/反「腐敗」キャンペーン/歴史からさぐってみる
Ⅰ 格差――士と庶はいかに分かれたか 1 皇帝という体制 「天」と「天命」/皇帝の創出/始皇帝の位置/社会の構造変動 2 官僚制の成立 史上の官僚制/郡県制とは何か/地方自治/遊侠勢力/侠と儒 3 門閥主義から賢才主義へ 豪族勢力の伸長/貴族の形成/九品官人法と門閥主義/貴族制の発展/北朝と賢才主義/科挙と君主独裁制の成立 4 官僚制と二元社会 官僚制と科挙/読書人/科挙の位置づけ/差別の存続と促進/「士」と「庶」/永続する科挙と庶民の立場/二元的な格差社会
Ⅲ 権力――群雄割拠から唐宋変革へ 1 トップダウンの統治 出発/「法家」政治/「酷吏」たち/儒教と「循吏」/皇帝の権力とその代替 2 トップダウンに抗して 貴族制の役割/三省六部/五代十国/中国の三傑/律令とその破綻/「令外の官」から君主独裁へ/官僚制の転換 3 王安石の改革とその史的意義 「官吏」とは何か/官吏の起源と位置づけ/二元社会と「吏士合一策」
Ⅲ 腐敗――歪みはどこからきたのか 1 地方制度の概観 俯瞰/清代の状態/監督官庁 2 衙門の構成 県の衙門/県知事とその周辺/胥吏とその組織/衙役と衙門の規模 3 行政の実態とその二面性 衙門を担った人々/「陋規」とその弊害/胥吏・衙役の位置/官員の位置/「官に封建無く、吏に封建有り」
Ⅳ 改革――雍正帝と養廉銀 1 清代前期の状況 官僚の俸給/ある「清官」/清廉と清貧/財政の理念と実態/地方財政の欠落と「陋規」 2 雍正帝の改革 「火耗」問題/雍正帝の登場/改革へ向かって/改革の実情/養廉銀の創設 3 末路 官と吏のあいだ/改革の史的意義/時代の終わりと反動/制度定着の意味/インフレ好況のはてに/消えゆく改革
Ⅴ 根源――中国革命とは何だったか 1 一九世紀の内憂外患 「盛世」/人口爆発/流動化に遭遇して/内憂外患と明末清初 2 腐敗の洗練 郷紳とローカル・コミュニティ/孫文の観察/変形する腐敗/李鴻章の誕生日/社会通念 3 革命のターゲット 革命とは何か/「革命」の概念と含意/三民主義/辛亥革命と中華民国/「匹夫も責あり」 4 国民党と共産党 国共合作から国民革命へ/反共クーデタ/蒋介石の挫折/「浙江財閥」/橘樸の絶望/「四大家族」「官僚資本」「土豪劣紳」/政治の趨勢/社会の趨勢 むすびに――現代中国を展望する 日中戦争を通じて/蒋介石から毛沢東へ/戦時統制と社会統合/文化大革命への道/「改革開放」/「亡党亡国」 あとがき 文献案内 関連年表
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