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台湾研究入門
若林正丈,家永真幸 編
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出版社:東京大学出版会 |
出版年:2020年02月 |
コード: 422p ISBN/ISSN 9784130362771 |
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東アジアの地政学上、いまや重要な島となってきた台湾。台湾研究の第一線の研究者たちが、台湾の歴史・政治・社会・文化を理解する上で重要なキーワードによってわかりやすく、簡潔に解説する。「台湾とは何か」という問いに多角的な視点から迫る新しい入門書。
目次: はじめに 「相互理解の学知」を求めて(若林正丈) 1 「台湾研究」とは何か? 2 「入門」とは何か? 3 「帝国の学知」から「相互理解の学知」へ
Ⅰ 日本植民地統治が台湾社会に与えたインパクト 1 統治構造――清朝から台湾総督府へ、国家・社会関係の転換(新田龍希) 1 はじめに 2 清朝の地方統治と伝統漢人社会 3 統治構造の転換 2 台湾法制――同化と差別の根底にあったもの(浅野豊美) 1 はじめに 2 台湾法を構成する法令の構造的分類 3 台湾法制の内地延長主義による変革 3 近代国家による可視化と台湾、台湾原住民(松岡格) 1 地域知と地域社会の統治、そして可視化 2 可視化、および可視化ツール 3 社会の可視化と景観 4 原住民居住地域「蕃地」における身分登録 5 台湾の戸口制度概略 6 戸口簿への姓名の登記と、日本式姓名への同化 7 戦後の先住民族運動における正名運動 8 可視化の影響の複雑性 4 学校教育(駒込武) 1 はじめに 2 公学校の財源 3 書院財産の流用 4 「人民公立」の学校への願い 5 在台日本人――日本帝国下の人口移動と文化変容(顔杏如) 1 はじめに 2 台湾に渡って 3 移動の背後には 4 移動者の多様性と植民地経験の差異 5 文化の移植と変容 6 結びに代えて 6 ジェンダー・階層・家族(洪郁如) 1 「新女性」誕生の植民地的意味 2 女性文学のなかの家父長制と植民地主義 3 階層、そして戦後 7 「平穏」な籠の中で歌う――流行歌に投影された台湾の戦前、戦後(陳培豊) 1 はじめに 2 台湾語流行歌の誕生 3 台湾語流行歌の音楽的特徴 4 台湾語流行歌における女性の視点 5 男性社会と台湾語流行歌 6 台湾語流行歌の戦後 8 日常生活史(陳文松) 1 はじめに 2 英雄史観を相対化する 3 呉新栄を例に 4 日記史料の面白さ 9 台湾ジャーナリズムにとっての帝国経験(谷川舜) 1 植民地言語空間の創出 2 台湾言論界の展開と帝国統治 3 植民地ジャーナリズムの構造転換 10 脱植民地化の代行――台湾の日本認識に焦点をあてて(森田健嗣) 1 はじめに 2 「脱植民地化」と「脱植民地化の代行」 3 台湾社会の日本認識
Ⅱ 「中国」との距離 1 中華民国憲法(吉見崇) 1 憲政と独裁の相克 2 民主化への道程 3 さらなる憲政改革と憲法の台湾化への希求 2 国籍と戸籍から見る中華民国台湾の境界(鶴園裕基) 1 はじめに 2 国籍の理論 3 植民地期の日本国籍と台湾戸籍 4 戦後の中華民国籍と台湾戸籍 5 戸籍による「台湾大」の社会閉鎖 3 中華民国の国歌(三澤真美恵) 1 はじめに 2 清末に登場した中国初の国歌 3 中華民国における国歌の成立 4 蔣介石の国歌草案 5 台湾における中華民国国歌 6 テクストがもつ可能性の可視化/不可視化 4 国定記念日と祝祭日(周 俊宇) 1 国家シンボルから読み解く中華民国台湾化の歴史 2 1990年代以前における国定記念日・祝祭日にみる「中国化」 3 1990年代以降の変容――民主化・台湾化 4 1990年代以降の変容――役割の形骸化 5 現状と課題 5 分断国家の正統性(家永真幸) 1 第二次世界大戦後の「台湾問題」 2 内部正統性と外部正統性 3 「中華民国台湾化」と中国文化 6 一国二制度(倉田 徹) 1 「一国二制度」構想の提起 2 香港およびマカオへの適用 3 「一国二制度」の特徴 4 「一国二制度」の実践――香港を中心に 5 香港「逃亡犯条例」改正問題――「一国二制度」の問題点の露呈 6 「一国二制度」への各方面の評価 7 「一国二制度」への台湾の態度 7 台湾と中国の経済関係(佐藤幸人) 1 はじめに 2 緩和と抑制の間を揺れ動く台湾の政策 3 経済交流のダイナミズムとその変調 4 経済交流の政治的意味
Ⅲ 台湾の民主化以降の社会・文化 1 台湾人アイデンティティ(何義麟) 1 台湾住民の民族・族群構成 2 台湾人アイデンティティの形成 3 戦後の台湾人アイデンティティの変転 4 台湾出身者としてのアイデンティティの模索 5 結び――多重族群・多文化社会の構築 2 多文化主義(田上智宜) 1 はじめに 2 多文化主義が出現した背景 3 四大族群と多文化主義 4 変わる多文化主義の含意 3 台湾語映画(魏逸瑩) 1 はじめに 2 台湾語映画の歴史 3 台湾ニューシネマ以降 4 まちづくり(社区営造)の担い手のゆくえ(星純子) 1 はじめに 2 政策としての社区――ムラなきイエ 3 民主化、台湾化と社区総体営造――社会運動の制度化 4 社区発展と社区総体営造の一元化 5 社区営造の長期化と担い手のゆくえ 5 慰安婦問題(劉夏如) 1 「慰安婦」研究と「慰安婦問題」の論じ方 2 例外としての台湾慰安婦問題 3 「慰安婦」をめぐる普遍性と固有性 4 記憶と和解 6 移行期正義(平井新) 1 はじめに 2 台湾における過去の見直しプロセス 3 蔡英文政権下の移行期正義推進 4 結び 7 台湾の政党政治と保守政党(林成蔚) 1 台湾における政党政治 2 二大政党制の形成要因――ナショナリズムと制度 3 政策による対立軸の不在 4 台湾のナショナリズム政党制と保守の包摂 5 結び
Ⅳ 台湾の学界から見た日本の台湾研究 1 「台湾史」と「日本史」の交錯(呉密察) 1 はじめに 2 新領土台湾に関する統治問題 3 日本人と台湾人、それぞれに「六三法撤廃運動」 4 植民地期の台湾と朝鮮の比較について 5 「帝国を忘却した」戦後の歴史研究 2 台湾における「若林台湾学」の受容(許佩賢) 1 はじめに 2 「若林台湾学」との出会い 3 「若林台湾学」の中の台湾史研究 4 結び
Ⅴ 台湾研究序説のために 1 「台湾という来歴」を求めて――方法的「帝国」主義試論(若林正丈) 1 はじめに――「台湾という来歴」を求めて 2 周婉窈の概念図「地理空間で歴史的脈絡を定義する」から考える 3 「補助線」を引く――「諸帝国の周縁」としての台湾 4 「帝国の網」と「帝国の鑿」――方法的「帝国」主義 5 結びに代えて――「台湾という来歴」論述の主要テーマ
巻末用語集 事項索引 人名索引 執筆者一覧
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