麻薬の世紀 ドイツと東アジア 一八九八-一九五〇
上製
熊野直樹
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出版社:東京大学出版会 |
出版年:2020年03月 |
コード: 272p ISBN/ISSN 9784130261647 |
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ナチス・ドイツと麻薬は密接な関係にあった。阿片とコカを素材としながら、19世紀末から第二次大戦後に至るドイツと東アジアとの関係を描き、独亜通商関係を新たに捉え直す。研究上の空白を埋める一連の史料の発見から、戦後史の謎を解明する。
目次: 序章
第一章 二〇世紀初期における阿片と独亜関係 第一節 罌栗・阿片・モルヒネ 1 罌栗 2 阿片 3 モルヒネ 第ニ節 阿片と独亜関係 1 膠州湾租借地におけるドイツの阿片政策 2 ベンゾイリン不正輸入事件――ドイツと関東州 3 ドイツにおける阿片法の成立 第ニ章 ドイツの通商政策の史的展開――バター・マーガリン・満洲大豆 第一節 農業恐慌の勃発とラントフォルク運動 1 農業恐慌の勃発 2 ラントフォルク運動 第ニ節 バター・マーガリン・満洲大豆 1 穀物高関税政策をめぐるユンカーと農民との対立 2 国内穀物飼料から満洲大豆へ 第三節 バターのマーガリンへの強制混合と農村における「共産主義の危険」 1 バターのマーガリンへの強制混合 2 農村における「共産主義の危険」 第四節 ヒトラー政府と油脂法 1 ヒトラー政府の成立 2 油脂法の成立 3 油脂法の影響
第3章 第二次世界大戦期の独「満」関係 第一節 満洲大豆と独「満」貿易協定 1 満洲大豆とナチス・ドイツ 2 独「満」貿易協定の成立 第ニ節 独「満」関係と第二次世界大戦の勃発 第三節 鮎川義介の訪独と満洲大豆 1 鮎川訪独とヴォールタートとの邂逅 2 独ソ経済協定の成立 3 鮎川・ヒトラー会談 第四節 独「満」貿易協定延長問題 1 独「満」貿易協定改定交渉の停滞 2 独「満」貿易協定延長に関する第一次協定の調印 第四章 独ソ戦勃発と独「満」関係――満洲大豆から阿片へ 第一節 ヴォールタートの来日・来「満」と独「満」貿易協定延長に関する第ニ次協定 1 ヴォールタートの来日・来「満」の発端と目的 2 ヴォールタートの来日・来「満」 第ニ節 独ソ戦勃発と独「満」関係 1 独ソ戦勃発直後の独「満」関係 2 満洲大豆から阿片へ 3 独「満」間経済関係存続の為の第一次協定と第ニ次協定 第三節 独「満」阿片貿易の実態 第四節 独「満」間の経済関係存続と阿片 1 独「満」間の経済関係存続の為の第三次協定と附属議定書及び第四次協定のための覚書 2 独「満」間経済関係存続の為の第四次協定 3 阿片とドイツ-トルコ関係の断絶 4 第二次世界大戦末期における独「満」貿易の実態 第五章「満洲国」の阿片政策とナチス・ドイツの阿片・モルヒネ政策 第一節 「満洲国」の阿片政策 1 「満洲国」における阿片専売制の導入 2 「満洲国」における罌栗栽培 3 「満洲国」の阿片断禁政策 第ニ節 阿片とナチス・ドイツの阿片・モルヒネ政策 1 ナチス・ドイツの阿片・モルヒネ政策 2 ナチス・ドイツにおける阿片・モルヒネの用途
第六章 ナチ阿片のゆくえ 第一節 第二次世界大戦末期におけるナチス・ドイツと東アジア間の貿易 1 ドイツ経済使節団とヴォールタート 2 大戦中のナチス・ドイツと東アジア間貿易の概観 3 ローゲス商会とドイツ滞貨 第ニ節 神戸のナチ阿片と交易営団 第三節 アメリカ陸軍による阿片の押収 第四節 GHQ民間財産管理局から通商産業省へ 1 通商産業省と阿片 2 GHQ民間財産管理局から通商産業省へ 3 ナチ阿片の売上金のゆくえ
第七章 阿片と日華賠償問題 第一節 奉天のナチ阿片と関東軍阿片のゆくえ 1 奉天のナチ阿片 2 関東軍阿片のゆくえ 3 唐津(呼子港)に密輸された阿片のゆくえ 第ニ節 日華賠償問題の展開と阿片 1 日華賠償問題の展開 2 略奪財産としての阿片と中華民国 第三節 通商産業省と「中国駐日代表団」による阿片売買交渉 1 交渉の経緯 2 阿片売買契約成立 第四節 中華民国による対日賠償請求放棄と国際麻薬条約 1 対日賠償請求の条件付き放棄の正式表明 2 関東軍阿片のゆくえと国際麻薬条約
補論 コカと独日関係――第二次世界大戦期を中心に はじめに 第一節 コカとドイツ 1 ペルー産コカからジャワ産コカへ 2 第二次世界大戦期ドイツにおけるコカイン 第ニ節 第二次世界大戦期における独日コカ貿易とコカ樹栽培 1 独日コカ貿易 2 日本におけるコカ樹栽培――硫黄島を中心に 3 日本軍政下のオランダ領東インドにおけるコカ樹栽培と貿易 第三節 第二次世界大戦末期における独日コカ貿易 1 ドイツ滞貨としてのコカ葉 2 ローゲス商会と交易営団の売買契約 3 戦後におけるコカ葉のゆくえ おわりに
終章
あとがき 文献目録 事項索引 人名索引
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