美しき、麗しの宝島、台湾。数奇な運命を辿ったこの島に魅了された作家が、丹念に各地を歩き、人々と語らい合い、ともに食べ、その素顔にせまる。日本人の親友の妹と結婚した考古学者、日本統治下時代を「懐かしくて悔しくて」と語る古老、零戦乗りを祀る人々。彼らの面影には私たちが見失った私たち自身の顔も浮かび上がるのだった――。歴史と人に寄り添った、珠玉のような紀行エッセイ集。
目次: 時空を超えて息づく島 夏場も時代も乗り越えた小碗の麺 牛に引かれて、ならぬ「牛舌餅」にひかれて 台中で聞く「にっぽんのうた」 道草して知る客家の味 過去と未来を背負う街・新竹 「お手植えの黒松」が見てきた歳月 宋文薫先生夫妻 淡水の夕暮れ 矛盾と摩擦の先にあるもの 日本統治時代の幕開けと終焉――宜蘭 嘉南の大地を潤した日本人――八田與一 「文創」が生み出すもの 三地門郷で聞く日本の歌 「帰れん港」と呼ばれた町・花蓮 出逢いと別れを繰り返す「雨港」――基隆 夕暮れの似合う街・台南ふたたび 手のひらに太陽を 「日本人だった」――台湾の老翁たちにとっての日本統治時代 解説(堤伸輔)
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