日本軍の治安戦 日中戦争の実相
/岩波現代文庫
笠原十九司
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出版社:岩波書店 |
出版年:2023年12月 |
コード: 368p ISBN/ISSN 9784006004712 |
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治安戦とは、占領地、植民地の統治の安定を確保するための戦略、作戦、戦闘、施策の総称である。 日本軍が行った治安戦(三光作戦)の過程を丹念に辿り、加害の論理と被害の記憶から実相を浮彫にする。解説=齋藤一晴。
※本書は2010年5月岩波書店より刊行された単行本の文庫版です。
目次: プロローグ 山西省の治安戦における宮柊二と田村泰次郎 歌集『山西省』に歌われた治安戦 田村泰次郎「裸女のいる隊列」に描かれた治安戦 治安戦と三光作戦
第一章 日中戦争のなかの治安戦 1 日中戦争の開始 中国における二つの戦場と治安戦 盧溝橋事件 治安維持工作の始まり 2 一九三八年の作戦と戦闘 長期総力戦へ 華北の占領地統治 特務機関の宣撫工作 3 一九三九年の作戦と戦闘 泥沼の戦争へ 天皇制集団無責任体制 重慶爆撃 汪精衛政権樹立工作 海軍の海南島占領 南寧占領と北部仏印進駐の強行 関東軍の暴走によるノモンハン事件 4 華北における治安工作の開始 日支新関係調整方針 「治安粛正」の目的
第二章 華北の治安工作と「第二の満州国化」 1 北支那方面軍の治安粛正計画 長期化する戦争 治安工作の思想と目的 2 北支那方面軍の軍政実施 抗日意識の高まり 新民会と宣撫班の統合 3 華北の「第二の満州国化」 華北経済の収奪的支配 県城と農村の支配 プロパガンダ工作 「第二の満州国化」構想と興亜院 4 華北における治安戦の開始 治安戦の開始 治安戦初期の状況
第三章 百団大戦と治安戦の本格化 1 一九四〇年の作戦と戦闘 ドイツ軍の攻勢に幻惑された日本 南進へ 2 百団大戦の衝撃 八路軍の攻勢 甚大な被害 3 なぜ百団大戦が発動されたか 華北における抗日根拠地の成立と拡大 八路軍総司令朱徳の報告 百団大戦を発動させた内外情勢 4 報復としての治安戦の本格化 報復作戦決行 抗日民衆対象の三光作戦
第四章 アジア・太平洋戦争と治安戦の強化 1 一九四一年の作戦と戦闘 国策の奔放からアジア・太平洋戦争突入へ 「関特演」=対ソ戦発動準備 強硬派による対米開戦決定 2 華北の総兵站基地化 アジア・太平洋戦争開戦 経済収奪のための治安戦 汪精衛政権の対米英参戦 3 汪精衛政権下の清郷工作 新四軍の勢力拡大 清郷工作 4 海南島における海軍の治安戦 軍事拠点としての海南島 抗日根拠地の形成 5 本土防衛のための中国戦場 逆転する戦争遂行の目的 膨大な犠牲を強いた大陸打通作戦
第五章 治安戦の諸相――加害者の論理と被害者の記憶 1 華北における治安戦の全体像 北支那方面軍の作戦 引用する基本史料 2 掃蕩作戦と「収買作戦」――山西省 山西省における掃蕩作戦 「罪悪事実」の手段と総数 被害民衆の記憶 3 無住地帯(無人区)と経済封鎖――河北省 治安戦遂行者の証言と回想 虐殺事件の記憶と記録 無人区と集団部落 4 細菌戦――山東省 魯西作戦(一九四三年秋)におけるコレラ菌作戦 記憶されなかった被害者の悲劇 5 三光作戦の被害概数 戦後補償要求裁判 被害総数
エピローグ 対日協力者=漢奸たちの運命はどうなったか 対日協力者たちの戦後 日中戦争の実相へ
注 あとがき 岩波現代文庫版あとがき 解 説(齋藤一晴) 巻末史料(表/地図) 索 引
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