紀元前後、シルクロードをへて東アジアに伝えられた仏教は、西から東へ、また東から西へと相互交流・影響を重ねながら、各地で花ひらいた。国を越えて活躍する僧侶たちや、訳経のみならず漢字文化圏で独自に創りだされた経典、政治・社会・文化との関わりに着目し、二千年にわたる歩みをダイナミックにとらえる通史。
目次: 序章――相互影響の東アジア仏教史 1 釈尊観の変化と伝播のあり方 2 漢字文化圏の仏教 3 異文化との交渉
第一章 インド仏教とその伝播 1 仏教の誕生 2 釈尊入滅後のサンガ 3 花開く大乗仏教 4 大乗思想の展開 5 西域と南海ルート
第二章 東アジア仏教の萌芽期 1 中国への仏教伝来 2 受容期の中国仏教 3 鳩摩羅什による大乗仏教の主流化 4 『涅槃経』の衝撃
第三章 廃仏と復興 1 反発の高まり 2 北魏の廃仏と擬経 3 復興から繁栄へ 4 南北朝後半期の仏教
第四章 中国仏教の確立と諸国の受容 1 華北の禅宗と三階教 2 江南の摂論・三論学派と天台宗 3 北周の廃仏と隋の復興 4 周辺諸国の展開
第五章 唐代仏教の全盛 1 唐の仏教政策 2 学派・宗派の盛衰 3 禅宗の発展 4 唐代文化への影響
第六章 東アジア仏教の定着 1 ベトナムの禅宗流行 2 統一新羅の仏教隆盛 3 日本での受容と宗派の形成
第七章 禅宗の主流化と多様化する鎌倉仏教 1 北宋・南宋と遼・金 2 独立したベトナムの仏教 3 高麗の仏教 4 日本仏教の隆盛
第八章 近世の東アジア仏教 1 明清期の衰退と復興 2 ベトナム 3 李氏朝鮮 4 南北朝から江戸の日本
おわりに――近代仏教への道
あとがき 参考文献――東アジア仏教史を学ぶ人のために 索引(仏名・神名・人名)
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