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関孝和全集(全三巻) 上製
上野健爾,小川束,小林龍彦,佐藤賢一 編
出版社:岩波書店
出版年:2023年10月
コード:   4064p   ISBN/ISSN 9784000913287
 
価格 275,000円
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1990年代以降の新史料の発掘・再発見を受け、史料批判と数学的解釈・訳語の吟味を経て一新された関孝和像を提示する決定版。

 和算家関孝和の数学史研究の動向は、平山諦・他編『関孝和全集』(一九七四年)の上梓によってほぼ収束に向かうかと思われていた。しかし一九九〇年代以降、この分野は予想外の急速な進展を見た。全国の機関に収蔵される関孝和関係史料の再調査が進み、新史料の発掘や再発見が続出した。例えば、関の主著『発微算法』の異版が発見され、所在不明であった「闕疑抄一百問答術」も再発見された。関の数学の解釈については、円周率の近似計算にエイトケン加速法が用いられていたことが明らかとなった、等々である。
 ここに至り従来の関孝和像を更新することは不可避であり、関の著作と言われてきた史料の再評価も急務となった。このような問題意識を編者らが共有し、新たな知見に基づく『関孝和全集』の必要性を痛感したことが、この全集編纂の直接的な動機となった。
 編集作業では、関の著作の史料批判、数学的解釈の妥当性や訳語の選定などを、数十回におよぶ会合で議論した。(この間、いわば中間報告として、編者らは『関孝和論序説』(二〇〇八年)を世に問うた。) 一連の作業の結果、関の著作とこれまで信じられてきた「解見題之法」などは、その真贋を実証するには不充分な情報しかないことが明白となった。そのような著作は、根拠を明示し、付録とした。各著作の現代語への訳出については、平易かつ原義を損なわないことを旨として全文新訳を提示した。通説よりも少ない点数の関の著作を収録したにもかかわらず、史料批判と解説、参考資料を完備させたことで、本全集は最終的に四〇〇〇頁を超えることとなった。
 本全集は、数学者あるいは歴史上の人物として関孝和に対する関心が多岐にわたるであろうことを想定している。著作の解説・現代語訳・訓読・影印を収録し、さらに総解説・年表・用語辞典・参考資料を網羅する。このような構成で多様な読者の関心に応えるものである。
 関孝和研究の最新の成果をご覧いただいた読者には、今後の研究課題の存在も一層明確に意識されるはずである。本全集の刊行が、関孝和研究、日本文化史研究等々、様々な領域に新たな知的関心を呼び起こし、後進への道標となることを切に願うものである。

二〇二三年五月 編者


■本全集の特色

研究の進展を反映し、真に関孝和の著作と考えられる和算書を確定
現存する写本の網羅的かつ綿密な校合により史料批判を加え、著作本来の姿を提示
現代語訳は、現代数学の用語・記法を用い、平易かつ原義を損なわない新訳を提示
年表は、関の事績、関・内山家の動向、門人の活動、西洋の関連事績等を記載
用語辞典は、著作に現れる用語について用例を挙げつつ説明
関孝和とその門弟の算学・暦学・度量衡資料ならびに関孝和の伝記に関わる資料を広範に収録

 第一巻には総解説、著作類の現代語訳、年表、用語辞典を収める。
 総解説では現段階の最新の成果をまとめた。関の生涯、著作、数学の概要に加え、従来、関の三部抄として一括されてきた「解見題之法」の著者に関する疑義についてとくに一章を設け、また関の数学を広く東アジア数学の中に位置づけるべく東アジア数学の技法についても一章を設けた。
 現代語訳には関の著作、跋文に加え、関が訓点を施した『管窺輯要』から「論日躔盈縮差」の一節も訳出した。いずれも原文を読む手助けとなるように精確な訳文を目指した。
 年表は郭守敬らによる授時暦が施行された一二八一年から藤田嘉言らによる浄輪寺における百会忌法事が挙行された一八〇七年までの関連事項を記載し十全を期した。各記述は関の事績、
関・内山家の動向、門人の活動から広く西洋の関連事績まで類別した。
 用語辞典では著作に現れる用語を広範に、用例を挙げつつ説明して読者の便をはかった。

 第二巻には、関孝和の著作の訓読(読み下し文)と影印を収録する。
 関孝和の著作はすべて漢文体で記されていることから、現代語訳とは別に読者の便のために訓読を付した。訓読については、諸本を校合して確定した校合文に基づき、原文に訓点が付されている場合は原則としてそれに従って作成した。
 関孝和の著作がどのような様態であったかを確認する手段として、各著作の影印を掲げる。写本の影印については、校合文に最も近い本文を有する写本、あるいは最も古い時期まで成立が遡れる写本を選定した。
 内訳として、刊本は二点『発微算法』と『括要算法』を収め、写本は「解隠題之法」「解伏題之法」「開方飜変之法」他四点を収める。さらに付録として「解見題之法」の訓読と影印を掲げる。
 第二巻の訓読・影印を第一巻の現代語訳と対照することで、関孝和の用語法や文章の微細なニュアンスを原文に立ち戻って確認できる。

 第三巻は関孝和の生涯と研究に関わる総合的な資料編として二編からなる。
 第一編は関孝和とその門弟の算学・暦学・度量衡資料を収録する。算学資料では『楊輝算法』の読み下し文を高樹文庫本と藪内清旧蔵本に基づいて示すとともに、関と建部賢明・賢弘による「大成算経」二十巻、建部賢弘の「綴術算経」などを影印で収めた。暦学・度量衡資料では
「天文大成三条図解(授時発明)」「授時暦経立成」「授時暦経立成之法」「関訂書」などを読み下し文にして示し、読者への便宜を図っている。
 第二編は関孝和の伝記に関わる資料になる。家系図では「諸家系譜」「寛政重修諸家譜」など関の家系図研究の基本資料を影印と翻刻文の両様で示し、甲府藩・幕府役務関係資料では「甲府御舘記」や「宝永二年記」などから甲府藩での関の職務内容を明らかにした。また、関孝和像の形成や関流数学の発展を考える資料として算学書に登場する関係記事を掲載した。その他、関孝和の印形、関の養子関新七郎関係資料、「算法許状」や「関流算系図」、関孝和と兄内山永貞夫婦の墓碑なども収録する。第三巻は多彩な資料を収めたことに特色がある。


目次:

◆第一巻 現代語訳

第一編 総解説
 第一章 関孝和の生涯とその時代
 第二章 関孝和の著作
 第三章 関流の伝書としての「解見題之法」の再評価について
 第四章 関孝和の数学
 第五章 東アジア数学の技法
第二編 現代語訳
 一 発微算法
 二 括要算法(巻元 巻亨 巻利 巻貞)
 三 解隠題之法
 四 解伏題之法
 五 開方飜変之法
 六 題術弁議之法
 七 病題明致之法
 八 算脱之法 験符之法
 九 方陣之法 円攢之法
付録
 『研幾算法』跋文
 『発微算法演段諺解』跋文
 「解見題之法」
 「関訂書」(抄訳)
第三編 関孝和関係年表
第四編 関孝和用語辞典

◆第二巻 訓読

 一 発微算法(解題 読み下し 初版本影印 改訂版影印 『発微算法演段諺解』第五問影印)
 二 括要算法
 序 自序 目録(読み下し 影印)
 巻元(読み下し 影印)
 巻亨(読み下し 影印 「拾遺諸約之法」解題・影印)
 巻利(読み下し 影印 「角法并演段図」解題・影印)
 巻貞(読み下し 影印 「立円率解」解題・影印 「立円弧矢弦率解」解題・影印)
 三 解隠題之法(読み下し 影印)
 四 解伏題之法(読み下し 影印)
 五 開方飜変之法(解題 読み下し 影印)
 六 題術弁議之法(読み下し 影印)
 七 病題明致之法(読み下し 影印)
 八 算脱之法 験符之法(読み下し 影印)
 九 方陣之法 円攢之法(読み下し 影印)
付録
 研幾算法跋文(解題 読み下し 影印)
 発微算法演段諺解跋文(解題 読み下し 影印)
 解見題之法(読み下し 影印)

◆第三巻 資料

第一編 関孝和とその門弟の算学・暦学・度量衡資料
 第一章 算学資料
 一 楊輝算法(解題 読み下し 影印)
 二 闕疑抄一百好答術 闕疑抄一百問答術(解題 影印)
 三 勿憚改一百問答術 勿憚改答術(解題 影印)
 四 研幾算法(解題 影印)
 五 発微算法演段諺解(解題 影印)
 六 求積(解題)
 七 開方算式(解題 影印)
 八 大成算経(解題 影印)
 九 算法格式(解題 影印)
 十 綴術算経 不休建部先生綴術(解題 影印)
 十一 演式録(解題 影印)
 十二 毬闕変形草解(解題 影印)
 十三 剝脱正編(解題 影印)
 十四 規矩要明算法(解題 影印)
 十五 伝書(解題 影印)
 第二章 暦学・度量衡資料
 一 天文大成三条図解(授時発明)(解題 読み下し 影印)
 二 授時暦経立成(解題 読み下し 影印)
 三 授時暦経立成之法(解題 翻刻 読み下し)
 四 四余算法 宿曜算法(解題 読み下し 影印)
 五 関訂書(解題 読み下し)
 六 天文数学雑著(解題 読み下し 影印)
 七 二十四気昼夜刻数(解題 読み下し 影印)
 八 八法略訣(解題 翻刻 読み下し)
第二編 関孝和の伝記
 第一章 家系図その他資料
 一 寛永諸家系図伝(解題 翻刻 影印)
 二 駿河殿御藩分限帳(解題 翻刻 影印)
 三 諸家系譜(解題 翻刻 影印)
 四 寛政重修諸家譜(解題 翻刻 影印)
 五 寛政系譜略図(解題 翻刻)
 六 断家譜 諸家断家譜(解題 翻刻 影印)
 七 荒木先生茶談(解題 翻刻 影印)
 八 六角佐々木山内流建部氏伝記(解題 翻刻)
 九 新井白石日記(解題 翻刻)
 十 退私録 白石先生紳書 宝永酉紳書(解題 翻刻)
 十一 数学紀聞(解題 翻刻 影印)
 十二 武林隠見録 翁草(解題 翻刻 影印)
 十三 精要算法 精要算法解羲(解題 翻刻 影印)
 十四 浄輪寺過去帳(解題 翻刻)
 十五 算法雑記(解題 翻刻 影印)
 第二章 甲府藩・幕府役務関係資料
 一 甲州北山筋湯村御検地屋鋪水帳(解題 影印)
 二 甲府様御人衆中分限帳(解題 翻刻 影印)
 三 甲府御舘記(解題 翻刻 影印)
 四 信濃国絵図仕立帳(解題 翻刻)
 五 甲府宰相綱重卿之御事並御分限帳(解題 翻刻 影印)
 六 宝永二年記(解題 翻刻 影印)
 七 柳営日次記 柳営日録(解題 翻刻)
 第三章 算学書資料
 一 古今算法記(解題 影印)
 二 算法明解(解題 影印)
 三 算法入門(解題 影印)
 四 改算記綱目(解題 翻刻 影印)
 五 七乗冪演式(解題 翻刻 読み下し 影印)
 六 和漢算法(解題 影印)
 七 算法天元樵談集(解題 影印)
 八 下学算法(解題 影印)
 九 中学算法(解題 影印)
 十 小学本註九数名義諺解併附術(解題 翻刻 影印)
 十一 用方 諸盤術(解題 影印)
 十二 円理発起(解題 読み下し 影印)
 十三 探玄算法(解題 読み下し 影印)
 十四 開宗算法(解題 読み下し 影印)
 十五 算術珍好大海集(解題 翻刻 影印)
 十六 初心算法早伝授(解題 翻刻 影印)
 十七 算学玄訓 算法袖中鈔(解題 影印)
 十八 交式解(解題 影印)
 第四章 関孝和の印形
 一 『研幾算法』跋文の印形
 二 『発微算法演段諺解』跋文の印形
 三 「甲府藩検地帳」の印形
 四 「角法并演段図」の印形
 五 「開方飜変之法」凡五條の印形
 第五章 関新七郎資料
 一 柳営日次記(解題 翻刻 影印)
 二 御家人分限帳(解題 翻刻)
 三 甲府勤番日記(解題 翻刻)
 第六章 免許状・算学系図
 一 算法許状(解題 影印)
 二 関流算系図(解題 翻刻)
 第七章 関孝和と内山永貞夫婦の墓碑
 一 関孝和の墓碑
 二 内山永貞夫婦の墓碑
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