現代中国の社会と行動原理 関係・面子・権力
上製
翟学偉/朱安新,小嶋華津子 編訳
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出版社:岩波書店 |
出版年:2019年09月 |
コード: 334p ISBN/ISSN 9784000613606 |
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なぜ中国人は面子や表層的な形式を重んずるのか?なぜ汚職や腐敗は蔓延するのか?なぜ人々は不平等と格差社会に耐えるのか?なぜ強い権力が望まれるのか? 中国人からは自明の理として見過ごされ、外国人からは理論的探求がなされないできた「関係」「面子」「人情」などのキー概念を事例と社会学理論と思想史的解釈により解明
目次: 日本語版序
第一部 第一章 儒家の社会構築――中国社会研究の視座と方法 一 制度と言説――中国社会の構造を分析する際の基点 二 宗法社会――社会構成の複製と伸縮 三 国家と個人――中国人の言説分析 四 儒家――知識エリートの言説実践 五 結語 中国社会研究の理路 第二章 中国人と中国社会の文脈理解に向けて
第二部 第一章 中国人の関係ネットワークにおける構造的均衡モデル 一 研究の目的と方法 二 事例 ある入院患者の人間関係 三 事例に見られる関係ネットワークと均衡性 四 均衡モデル 五 考察 中国という現場からの解釈 第二章 「報」の方向性 一 「報」と交換――異なる研究の方向性 二 「報」――閉鎖的な交換のあり方 三 「報」による社会と文化の構築 四 「報」に対応する社会と文化の構築 五 結論 今日の社会学的研究における「報」の位置 第三章 〈関係〉か、それとも社会関係資本か 一 〈関係〉と社会関係資本についての比較研究の必要性 二 社会関係資本とは何か 三 事例と分析 四 結論 〈関係〉と社会関係資本の相違点 第四章 中国人の〈関係〉のベクトル――インターネット社会がもたらす転換の可能性 一 中国社会の特徴――変わるものと変わらないもの 二 〈関係〉理論の起点 三 固定的交際モデルの現れ方 四 インターネットにおける表現の可能性
第三部 第一章 中国人の「大公平観」と営み――日本社会の「公私観」との比較において 一 概念と論理の問題 二 「大公平観」についての文化的仮説 三 二つの「大公平観」の競合 四 「大公平観」の営みにおける「時」の観念 五 「大公平観」の現代への影響 六 結語 第二章 〈人情〉、〈面子〉と〈権力〉の再生産――「情理」社会における社会的交換 一 「情理」社会とは何か 二 〈人情〉の交換の含意とその類型 三 〈人情〉がもたらす〈権力〉の再生産 四 〈人情〉と〈面子〉――〈権力〉の再生産の様々なかたち 五 結語 第三章 中国の官僚の作法と技術――「偏正構造」と「顔[臉面]」のはたらき 一 「顔」の捉え方と「偏正構造」モデル 二 事例一 「偏正構造」の営み――度重なる過ちと〈面子〉の挽回について 三 事例二 「偏正構造」における「中心」の問題――誰の〈面子〉が一番重要か 四 事例三 「偏正構造」に対する挑戦――本当のことを語ること、そして〈面子〉を与えないこと 五 事例四 「偏正構造」再考――過ちもまた正しい? 六 「偏正構造」における若干の問題について 七 結語―― 中国社会の営みを分析する枠組みについて 第四章 〈関係〉と〈権力〉――共同体から国家へ 一 研究視座と理論構成 二 社会構造の圧力と個人行動の原動力の形成 三 共同体と社会的交換 四 共同体における〈関係〉の構築およびその策略 五 討論と結論――共同体から国家へ
おわりに――変化し続ける中国をいかに理解するか 一 想定される三つの問い――変化する中国と〈関係〉、〈人情〉、〈面子〉、〈権力〉 二 歴史の流れと「変」・「不変」――〈関係〉に飲み込まれる個人・集団 三 「変わらぬ」中国を支える〈面子〉社会 四 腐敗の論理と儒家の「倫理」――「倫理」は勝つか 五 とりあえずの答え
編訳者後記
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