国策会社の経営史 台湾拓殖から見る日本の植民地経営
上製
湊照宏,齊藤直,谷ヶ城秀吉
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出版社:岩波書店 |
出版年:2021年03月 |
コード: 280p ISBN/ISSN 9784000229760 |
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典型的国策会社「台湾拓殖」の経営史的分析を通し、国策会社の本質と日本の植民地経営の特質を描き出す。
従来の国策会社の研究では、国策の形成・遂行過程における軍部や政府等の利害の角逐に重きがおかれ、株式会社という組織形態がもつ意味については等閑視されてきた。本書は、典型的な国策会社「台湾拓殖」の設立や資金調達、経営実態等にかんする経済・経営史的分析を通し、国策会社の本質と日本の植民地経営の特質を描き出す。
目次: 序章 分析対象としての台湾拓殖(湊照宏,齊藤直,谷ヶ城秀吉) 1 本書の課題と位置づけ 2 国策会社のあり方を問う今日的意味 3 分析対象としての台拓 4 研究史の整理と本書の課題
第1章 国策会社の概念規定と分析視角――国策会社の本質は何か(齊藤直) 1 はじめに 2 先行研究の批判的検討 3 国策会社の概念規定 4 国策会社の分析視角 5 おわりに
第2章 設立経緯と政府――何が期待され,どのように制度設計がなされたか(谷ヶ城秀吉) 1 はじめに 2 プロトモデルの提起と継承 3 台拓の設立と台湾総督府 4 おわりに
第3章 事業展開と金融構造の概観――どこから資金を調達し,何に使ったのか(湊照宏) 1 はじめに 2 事業内容 3 資金調達 4 収益性 5 おわりに
第4章 株式による資金調達と株式市場――国策会社の資金調達は容易であったのか(齊藤直) 1 はじめに 2 設立時における制度設計と株式割当 3 台拓株主と株価の動向――概観 4 株主行動の分析 5 法人株主の動向 6 台拓の対応 7 おわりに
第5章 社債発行と金融機関・政府――金融機関・政府は協力的であったのか(齊藤直) 1 はじめに 2 台拓の社債発行 3 1937年度における予備交渉と挫折 4 1938年9月における交渉 5 1938年11月以降における交渉と社債発行の決定 6 おわりに
第6章 国策性事業の展開(1)――いかに低収益であったのか(湊照宏) 1 はじめに 2 増資前の各事業「利益率」 3 台拓の仏印事業 4 仏印事業の収益性 5 隠された低収益と負担の分散 6 おわりに
第7章 国策性事業の展開(2)――「国益」と「私益」をどのように両立させようとしたのか(谷ヶ城秀吉) 1 はじめに 2 台拓の華南占領地計画 3 華南占領地経営の展開と後退 4 海南島事業の展開と補助金 5 おわりに
第8章 政府出資と補助金――低収益はどのように補われたのか(谷ヶ城秀吉) 1 はじめに 2 台拓設立時における収支計画と実績 3 台拓の社有地経営と収益性 4 台拓と国庫補助金 5 おわりに
第9章 内部資本市場としての国策会社――どのような機能を果たしたのか(湊照宏) 1 はじめに 2 内部資本市場の形成 3 増資前における「投資及事業益」 4 内部資本市場の変容 5 増資後における「投資及事業益」 6 おわりに
終章 台湾拓殖から見る日本の植民地経営(湊照宏,齊藤直,谷ヶ城秀吉) 1 終戦と台拓の終焉 2 総括 3 結語――国策会社の本質と戦後への遺産
注 参考文献 あとがき 索引
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