言語の主観性 認知とポライトネスの接点
小野正樹,李奇楠
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出版社:くろしお出版 |
出版年:2016年06月 |
コード: 222p ISBN/ISSN 9784874246993 |
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『言語の主観性─認知とポライトネスの接点─』という本書名には、語用論研究の大きな流れ、「主観性」「認知」「ポライトネス」といった3つのキーワードを含めています。言語化において主観とは認知そのものでもあり、対話において主観的な表現にコミュニケーションの摩擦が起きることもあります。認知の記述にあたっては、個人レベルだけではなく、ある言語集団の中で共通した仕組みがあるとも思われます。それを伝える場合にもある慣習的な用法が存在し、それが言語集団の中で求められるポライトネスです。 英語との対照で、“I come soon."が日本語では「すぐ来るよ」とは表現されず、「すぐ行くよ」とされますが、これは客観的事実としては同じでも、言語表現では異なります。時間に遅れて現れた聴者に、「前から来てたよ」と言うと話者の苛立ちを伝えますが、「来たところだよ」と、アスペクトを変えることで、聴者を慮った表現となります。 記述文法研究で扱われて来た文法現象をよりプラグマティクに分析したものが本書です。本書のコンセプトは、主観性とは何かといった理論的な内容、特定言語の発想とその理解を記述するための対照研究、そして、外国語として日本語を学ぶ、あるいは使用する場合の問題点からなっています。 (「まえがき」より)
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