関東大震災一〇〇年の今を問う 虐殺否定・歴史改ざんを許さず
山田朗 監修/関東大震災朝鮮人・中国人虐殺一〇〇年犠牲者追悼大会実行委員会 編
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出版社:日本経済評論社 |
出版年:2024年08月 |
コード: 304p ISBN/ISSN 9784818826663 |
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関東大震災から私たちはなにを学ぶことができるだろうか。震災時の朝鮮人・中国人虐殺をめぐる新たな知見、記憶の継承、国家責任の追及、歴史教育の実践記録など多彩な論考を収録。
目次: はしがき(鈴木敏夫)
第1部 関東大震災一〇〇年と日本社会の課題
第1章 日本の植民地支配と侵略の歴史から考える──戦争・侵略=植民地支配・暴力の関係性(山田朗) はじめに──本稿の目的 1 日本による戦争と植民地支配 2 植民地支配と暴力・戦争の連鎖 おわりに──国内暴力が対外暴力・戦争へと連鎖
第2章 関東大震災時の朝鮮人虐殺と日本軍隊──植民地戦争経験の視点から(愼蒼宇) はじめに 1 軍隊の朝鮮人虐殺 2 警備部隊の朝鮮植民地戦争経験 3 在郷軍人による朝鮮人虐殺と植民地戦争経験 最後に
第3章 地域的・史料的周縁から考える関東大震災──千葉県の震災記念碑を事例として(小薗崇明) はじめに 1 安房地方の関東大震災 2 下総地方の関東大震災(1)──小見川・滑川 3 下総地方の関東大震災(2)──船橋・習志野 むすびにかえて
第4章 神奈川における関東大震災の歴史実践──学校史料・生徒交流・フィールドワーク(小川輝光) はじめに 1 百年後の風景──ヘイトクライムとジェノサイド 2 学校史で学ぶ関東大震災──歴史を身近に 3 記憶と慰霊を考えるフィールドワーク──ヒト・モノ・空間を通して 4 生徒たちはどう捉えたか──百年、その先に おわりに
第2部 虐殺をめぐる真相究明の進展
第5章 朝鮮人虐殺における加害民衆の論理──三つの方法とその課題(藤野裕子) はじめに 1 裁判記録の可能性 2 ジェンダー視点の射程 3 時間・空間的な連関を問う おわりに
第6章 朝鮮人虐殺・証言から見えてくるもの──東京における事例を中心に(西崎雅夫) 1 公的機関による流言拡大を証言でたどる 2 公的史料にない虐殺を証言からたどる 3 公的記録にない軍隊による虐殺に関する証言 4 軍隊報告書の内容を証言と照合する 5 証言のリアリティ 6 さいごに──証言を直接聞いた最後の世代として
第7章 関東大震災下の中国人虐殺事件──大島町事件と王希天事件(林伯耀) はじめに 1 中国人虐殺の歴史的背景とその要因 2 大島町事件 3 王希天事件 4 中国人虐殺問題をめぐる震災後の中国と日本の動き おわりに
第8章 横浜の朝鮮人虐殺(山本すみ子) はじめに 1 新史料の発見 2 横浜の虐殺を探る──反町遊郭裏門での虐殺 おわりに
第3部 記憶の継承と責任の追及
第9章 埼玉の自警団事件と国家責任(関原正裕) はじめに 1 埼玉県の「移牒」が果たした役割 2 シベリア戦争と在郷軍人の「不逞鮮人」経験 3 寄居事件で在郷軍人の果たした役割 おわりに──帝国日本の植民地戦争と朝鮮人虐殺
第10章 中国における関東大震災時中国人虐殺事件の記憶継承と責任追及(鄭楽静) はじめに 1 震災直後における中国側の真相究明と抗議交渉 2 一九七〇~一九九〇年代における中国側の史料発掘と研究進展 3 二〇一〇年以降の追悼活動と責任追及 おわりに
第11章 在日朝鮮人運動による朝鮮人虐殺の真相究明と責任追及──日本の労働運動・社会主義運動との「溝」(鄭永寿) はじめに 1 虐殺直後の真相調査と発表 2 虐殺「記念日」闘争の発生と展開 3 植民地解放による運動の再開 4 日本の労働運動・社会主義運動との齟齬 おわりに
第4部 歴史否定をこえて
第12章 「虐殺否定」の系譜を整理する(加藤直樹) はじめに 1 「虐殺否定論」の起源は一九二三年の日本政府 2 工藤美代子夫妻の「虐殺否定論」再発明 3 右翼政治家たちが「虐殺否定」に動き出す 4 虐殺についての政府の答弁は何を語っているのか 5 「上からの虐殺否定」が始まる 6 虐殺否定に抗してすべきこと おわりに
第13章 群馬の森に建立された追悼碑問題について(角田義一) はじめに (1) 追悼碑の設置許可に至る経緯 (2) 訴訟に至る経緯 (3) 訴訟の結果 (4) 東京高裁判決について (5) 最高裁判決について (6) 「強制連行」の表現に対する評価 (7) 再度の許可申請について (8) 我々はなぜ追悼碑を守る闘いを進めるのか
第14章 小池都知事の式典への追悼文送付取り止め問題(宮川泰彦) 1 関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典と歴代都知事との関係 2 歴代の都知事とは異なった対応をとる小池都知事 3 歴史修正に身を置くと思われる小池都知事 4 何故朝鮮人が危険な存在と見られてしまったのか 5 行政のゆがみを生んだ追悼の辞不送付 おわりに
第15章 「明治日本の産業遺産」と産業遺産情報センター(矢野秀喜) はじめに──本報告の目的 1 「明治日本の産業革命遺産」──世界遺産登録に当たって出された勧告 2 ユネスコ勧告の受け入れを表明しつつ歴史否定に走った日本政府 3 産業遺産情報センターの展示──その実態 4 産業遺産情報センターに対する世界遺産委員会の決議・勧告 5 世界遺産委員会の勧告後の「産業遺産情報センター」の状況 むすびにかえて──ユネスコの理念に反する産業遺産情報センター
第16章 イギリス外交文書のなかの関東大震災──朝鮮人虐殺否定論の批判的検証を中心に(鄭栄桓) はじめに 1 ドーティーとジョンストンは何を「体験」したのか 2 イギリス外交当局の朝鮮人虐殺認識 結びに代えて
第17章 関東大震災時の虐殺に関する国会での対応──虐殺の事実すら認めない自民党政権、歴史の抹殺は許されない(藤田高景) はじめに 1 一〇〇年前の帝国議会で何が議論されたのか 2 一〇〇年後の現在の日本の国会での質問・追及と政府答弁 おわりに
第5部 一〇〇周年の取り組み
関東大震災時の虐殺──何が問われてきたのか(田中宏) 1 関東大震災朝鮮人・中国人虐殺一〇〇年犠牲者追悼大会の概要(藤田高景) 2 国家責任を問う九・二 国会正門前キャンドルアクション(野平晋作) 3 九・三 国際交流シンポジウム(林伯耀) 4 虐殺一〇〇年の年における闘いの総括と、これからの取り組み(藤田高景) 巻末資料
あとがき──関東大震災一〇〇年からさらなる明日に向けて(鈴木敏夫)
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