「満洲」 在地社会と植民者
西澤泰彦,上田貴子 編
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出版社:京都大学学術出版会 |
出版年:2025年02月 |
コード: 304p ISBN/ISSN 9784814005758 |
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植民地近代の一時期だけ切り取ることで,在地社会の連綿とした営為を見過ごしていないか?「満洲」で生じた在地社会と植民者との出会いとその後の変化について,医療、工学、畜産、林業にまつわる技術を軸にとらえ直す。新たな「満洲」史。
目次: 序章 在地社会と植民者の出会い[西澤泰彦・上田貴子] 1 「満洲」の近代 2 技術の導入・普及あるいは淘汰・継承と地域社会 3 本研究の視点と構成
第1部 人流から都市を衛る
第1章 移動する人間を管理する技術──清朝期、民国期、「満洲国」期[上田貴子] はじめに (1)人の移動へのといかけ (2)満洲をめぐる人口移動への日本人のまなざし 1 1911年1~3月ペスト流行をめぐって (1)第三次パンデミックの満洲での展開 (2)出稼ぎ労働者をめぐる植民者と錫良 2 日本側の知見の深まりと労働者対策の変化 (1)満鉄および碧山荘の対応 (2)満洲国の対応 3 移動する人々を内包する社会 (1)満洲国における住民観――中華民国籍者の扱いをめぐって (2)中華民国期の住民観――保甲制をめぐって (3)満洲国への継承 おわりに──移動する人々の捉えどころ
第2章 満鉄大連医院本館が持つ社会的意味[西澤泰彦] はじめに──満鉄大連医院本館を問い直す (1)目的と位置づけ (2)大連医院という名称 1 満鉄創業期の防疫と碧山荘 (1)満鉄創業期の防疫 (2)ペスト対策としての碧山荘 2 最初の満鉄大連医院新築計画 (1)大連と満鉄沿線の医療体制の確立 (2)大連医院長の要求 (3)新築設計案 3 1921年の新築計画 (1)小野木孝治の視察 (2)新たな設計案 4 満鉄大連医院本館新築 (1)巨大な総合病院を目指した設計 (2)建設工事とその影響 おわりに──満鉄大連医院本館が持つ社会的意味 (1)医療施設としての意味 (2)在地社会への宣伝 (3)満鉄建築組織の混乱 (4)建設工事が示した意味
第2部 草原・森林への挑戦
第3章 内モンゴル東部地域における巡廻診療[財吉拉胡] はじめに 1 「満洲国」建国前の内モンゴル東部地域における日本の巡廻診療 (1)内モンゴル東部地域における満鉄の調査内容 (2)内モンゴル東部地域における満洲医科大学の巡廻診療 2 「満洲国」建国後の内モンゴル東部地域における日本の巡廻診療 (1)内モンゴル東部地域における満洲医科大学の巡廻診療 (2)満洲医科大学による医療衛生の調査研究 おわりに
第4章 綿羊改良事業における預託制度[靳巍] はじめに 1 預託制度とは? 2 一般預託における預託条件及び種類 (1)一般預託の預託条件 (2)一般預託の種類 3 預託制度の変容及び満鉄預託 (1)預託制度の導入検討 (2)種羊配布法としての満鉄預託制度 (3)満鉄預託がモンゴル牧羊者に与えた影響 おわりに――預託制度の展開
第5章 「満洲国」の畜産政策と獣疫[小都晶子] はじめに 1 関東州・満鉄附属地時代 2 畜産政策の展開 (1)初期の対応(1932~1936年) (2)本格的展開(1937~1941年) (3)統制の強化(1942~1945年) 3 獣疫への対応 (1)関東軍・満鉄の獣疫防遏計画 (2)満洲国の家畜防疫 (3)獣疫の発生状況 4 満洲国の崩壊と畜産政策 むすび
第6章 鴨緑江における日本式筏の導入と普及[永井リサ] はじめに 1 鴨緑江森林開発の経緯 (1)沿革 (2)鴨緑江伐木業 2 戦前の中国東北地域における日本式筏導入経緯について (1)日本式筏導入経緯 (2)日本式筏 3 鴨緑江流域における日本式筏導入後 (1)日中折衷式筏の普及について (2)鴨緑江流域における日本式筏導入後 (3)各地における筏の展開 おわりに
第3部 近代満洲経験の意味
第7章 戦後中国における工学知の継承と再編[佐藤量] はじめに 1 満洲の工学教育 (1)満鉄による教育 (2)満洲の工業化と人材育成 (3)旅順工科大学と卒業生 2 戦後に継承される工学技術 (1)中国人卒業生による技術継承 (2)関東工業専門学校 (3)関東電気工学専門学校 3 旅順工科大学の人脈と交流 (1)戦後中国の近代化 (2)相田秀方と張有萱 (3)旅順工科大学の同窓会 (4)日中間の往復書簡 (5)相田秀方の訪中 (6)日中技術交流の模索 おわりに――主体的な技術継承
第8章 帝国のはざまにおける少数民族地域の記憶の地層──フルンボイルの近代再考[坂部晶子] はじめに 1 帝国主義期の調査報告――鉄道建設と民族調査 (1)ロシアの研究者による民族調査(1910年代) (2)満鉄資料(1920年代) (3)日本人の研究者による報告書(1930~40年代) 2 新中国成立以降のオロチョン族、エヴェンキ族の民族認定から現在 (1)民族認定のための社会歴史調査(1950年代) (2)社会主義国家の民族政策と現状 (3)民族的伝統の復活、継承、消滅への危惧、伝統の再形成 3 過去の語り (1)フルンボイル地域に対する過去の歴史記述、記念化 (2)個別の記憶の語り おわりに――折り重ねられた歴史の地層と民族間関係
終章 在地社会と植民者のその後[上田貴子] 1 「満洲」における在地社会と植民者 (1)「満洲」とは (2)相互作用 2 学知と現場 (1)学知研究の到達点と残された課題 (2)周縁部の調査員の現場 徳武三朗 (3)方策作成メンバーの現場 3 おわりに
あとがき[西澤泰彦]
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