東アジアは「儒教社会」か? アジア家族の変容
小浜正子,落合恵美子 編
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出版社:京都大学学術出版会 |
出版年:2022年12月 |
コード: 390p ISBN/ISSN 9784814004553 |
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目次
序 章 東アジアの家族主義を歴史化する [小浜 正子] 1 東アジアの「家族主義」と「儒教社会」 2 「儒教」と「儒教社会」 3 東アジアの「近世」と儒教 4 東アジア各地の近世家族 5 東アジアの近現代―植民地的近代における「ナショナルな伝統」としての儒教? 6 現代東アジアの家族の変容
第Ⅰ部 多様な儒教化―東アジアの近世
第1章 家にかかわる儒教の教義について [小島 毅] 1 儒教とは何か 2 男女有別 3 愛敬事親 4 三年之喪 5 敬祀祖宗 6 同姓不婚=夫婦別姓
第2章 儒教の「普及」と近世中国社会―家族倫理と家礼の変容 [佐々木 愛] 1 中国における儒教の「普及」の特徴とその困難さについて 2 科挙と儀礼 3 旌表 4 競争社会の中での「儒教の普及」
第3章 朝鮮の親族制度に対する儒教の影響 ―マルティナ・ドイヒラーによる再考察 [マルティナ・ドイヒラー/岩坂 彰[訳]] 1 高麗王朝の社会 2 変化の舞台 3 父系原理の移植 4 父系原理に鑑みた相続の慣習 5 変化の障害としての女性 6 朝鮮時代後期の展開―リネージの出現 7 リネージと門中 8 結論
第4章 近世日本の刑法と武士道儒教―忠孝を中心に [牧田 勲] 1 忠孝背反状況をめぐる言説 2 忠孝の奨励 3 親子訴訟 4 逆罪 5 縁座 6 敵討 7 「武士道儒教」―「武士道の代弁者」として解釈された儒教
第5章 儒教思想の日本的受容と職分観念―性別役割に注目して [吉田 ゆり子] 1 福沢諭吉の「女大学」批判 2 「女大学」の枠組み 3 『六諭衍義大意』の枠組み 4 中江藤樹『翁問答』 5 鈴木正三『四民日用』 6 「家業」という媒介項
第6章 姓の継承・創設―近世琉球の士の制度と、近代沖縄のシジタダシ [武井 基晃] 1 近世琉球の姓 2 家譜の制度・法制と儒教教育の概要 3 首里士・那覇士から久米村士への入籍―1600年代の事例 4 法整備後の柔軟な対応―1700年代~1830年代の4代連続長兄以外の継承例 5 新参士への身上り―特殊技能と献金 6 シジタダシ(筋正し)―近代以降における過去の系譜の修正 7 家譜研究の意義と可能性
第7章 「儒教」の重層、「近世」の重層 ―近世北部ベトナムにおける親族集団と村落社会 [桃木 至朗] 1 ベトナム史に関する前置き・予備知識 2 近世紅河デルタ農村と親族集団 3 旧百穀社と近隣村落に見るゾンホと村の歴史性 4 婚姻・ジェンダーと土地所有 5 「植民地的近世化」を含む「伝統」の構築
第8章 東アジアの養子縁組文書の比較―儒教的宗族原理の矛盾 [官 文娜] 1 儒家的宗族原理 2 中、日社会における養子文書の比較 3 台湾における家族と宗族原理 4 日中の養子の違いと台湾での現地化した養子
第Ⅱ部 脱/再構築される儒教―近現代アジアの家族の変容
第9章 日本の民俗慣行と儒教―支配・村・家の変化 [森本 一彦] 1 日本における儒教 2 家族の民俗慣行 3 先祖祭祀の父系化 4 長幼の序 5 近世の支配体制と共同体
第10章 朝鮮大家族論を再考する ―朝鮮時代における戸の構成と家長権を通じた考察 [鄭 智泳/姜 民護[訳]] 1 あいまいな近代的知識としての「朝鮮大家族論」 2 「朝鮮大家族論」の内容と歴史―植民主義の遺産 3 朝鮮時代における家戸の構成と戸主・家長の統率範囲 4 大家族制の言説と近代知識体系の朝鮮ファンタジー
第11章 娘たちがつくった祠堂―現代ベトナム村落における儒教と逸脱 [加藤 敦典] 1 傍らで死ぬ人たち 2 娘たちによる祭祀 3 ベトナムにおける儒教的祖先祭祀 4 娘たちがつくった「家族の祠堂」 5 寓居民 6 娘による祭祀という実践の随意性 7 逸脱と儒教社会 8 儒教的実践としての逸脱
第12章 娘たちの反乱―現代韓国社会における女性と宗中財産 [文 玉杓/伊藤 理子[訳]] 1 比較の視点から見た韓国の伝統的な制度 2 日本の植民地時代の遺産 3 韓国における「娘たちの反乱」訴訟の展開 4 判決への抵抗 5 結語―衰退する父系イデオロギー
第13章 墓のない故郷へ―現代中国における「家」の機能 [王 小林] 1 「平墳運動」とは何か 2 「平墳運動」が語るもの 3 崩壊する祭祀空間 4 「祖先」を祭る家から「指導者」を崇める家へ 5 近代化を推進するかつてない「儒教国家」の予感
終 章 親族構造・文明化・近代化―世界的視野における「儒教社会」 [落合 恵美子] 1 「儒教」という問い―東アジアのアイデンティティと近代家族論 2 親族構造と文明化 3 「広義の東南アジア」の文明化 4 「儒教化」という文明化 5 「近代化」という文明化 6 問いへの答え
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