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詳注全訳水滸伝 第一巻 第一回~第六回 上製
小松謙 訳
出版社:汲古書院
出版年:2021年07月
コード:   320p   ISBN/ISSN 9784762966804
 
価格 7,700円
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原文の味わいをいかに伝えるか。渾身の『水滸伝』訳注書発刊!全十三巻(全一百回) 

【本書の特色】
原文の雰囲気を可能な限り自然な日本語に移すことを目指した。
底本は、完全な本文を残す最古本「容與堂本」(中国国家図書館所蔵)を使用。「容與堂本」本文に問題がある場合は、注釈において指摘し、他本の本文を採用した。
本文は原則新字を使用。注釈であげる書名は繁体字(正字)、引用は伝統詩文については繁体字、『水滸伝』本文を含む白話文学については、原文の用字をできるかぎり正確に再現した。
「容與堂本」・「金聖歎本」に附された批評は、中国・日本文学に与えた影響を鑑み全文を翻訳。

【解説より】(抜粋)
『水滸伝』は中国白話小説の古典として古くから重んじられてきた。「四大奇書」として『三国志演義』『西遊記』『金瓶梅』と並称されるものの、その筆頭が『水滸伝』であることについてはほぼ異論がないといってよい。これは内容のすばらしさゆえというより、白話文という新たな文体、更には白話小説というジャンルが『水滸伝』によって確立されたことに由来するものであろう。
 影響力という点でも、『金瓶梅』『紅楼夢』『儒林外史』など、後続する白話小説は、いずれも『水滸伝』なくしては生まれえなかったといってよい。これらの小説が中国の近現代文学の母体となっていることを考えれば、『水滸伝』はその後の中国文学の源流ともいうべき位置を占めることになる。日本においてもその影響は絶大であり、曲亭馬琴『南総里見八犬伝』をはじめとする読本の多くは『水滸伝』、更には『水滸伝』に附された金聖歎批評の影響を強く受けている。そして、読本が近代日本文学の重要な母体であったことを考えれば、日本においても『水滸伝』の影響は今日にまで及んでいるといってよい。言語の面においても、馬琴などを通して導入された『水滸伝』の白話語彙の多くは、そのまま日本語に定着し、今日もなお用いられている。それゆえ『水滸伝』は、司馬遷の『史記』や杜甫の詩とも肩を並べる中国文学の古典として、中国のみならず、日本においても認識されてきた。しかし『水滸伝』について『史記』や杜甫の詩に対して行われているような、本文に厳密な校訂を加え、詳細な注釈を加える作業は、中国においても、日本においても、これまでなされたことがない。これは、いかに古典的作品であろうと所詮は白話文学であり、文言の諸作品に対するような取り組みを必要とするものではないという意識がどこかに残っているためかもしれない。また、特に中国においては、『水滸伝』の本文は現代中国語に近いものであるだけに、注釈がなくても読めると一般に考えられていることも一因であろう。
 『水滸伝』の本文について、大まかに意味を取ることがそれほど難しくないのは確かである。しかし、厳密に読もうとすれば多くの問題点に遭遇することになる。更に、文中に見えるさまざまな名称の意味となると、それを正確に理解している読者はほとんどいないであろう。しかも、本文中に挿入された詩詞韻文には典故を踏まえた表現が多く認められ、これらの読解については古典詩文を読む時と同様の方法が要求される。
 もう一つの問題は、白話文学作品の一般的な例に漏れず、『水滸伝』も版本により本文がかなり異なることである。それらの異同の多くは単なるミスではなく、編集者・刊行者の意図が強く反映されたものである。従って、『水滸伝』の全体像を把握しようとすれば、各版本における異同の状況をも知る必要がある。幸い、『水滸伝』の本文異同はおびただしい量に上るものの、『三国志演義』のように異同が多すぎて校勘記を作ることが不可能という水準には達していない。
 以上のような点から、著者は『水滸伝』にも厳密な校勘を加えた上で、詳細な注釈を加える必要があると考えてきた。そして、全文を完全に日本語訳する必要がある。完全な翻訳とは、原文のすべての箇所に対する解釈を明示することを意味し、これ以上の注釈はありえない。
 第一巻は引首から第六回まで、プロローグに当たる伏魔殿から、王進物語・史進物語・魯智深物語と続くくだりである。楊志の登場と生辰綱物語から宋江の登場へと続く梁山泊物語の中核に先立つ、いわば前置き的な部分であり、元雑劇「還牢末」や周憲王朱有燉の雑劇「豹子和尚」に史進や魯智深に関する全く違う物語が見える点から考えても、『水滸伝』の中では遅れて成立した部分と考えられるが、名高い魯達の「三拳打鎮関西」をはじめとして、非常に人気のある部分でもある。叙述の妙と、時には深読み過ぎるとも思える金聖歎の批評にご注目いただきたい。

目次:
第一巻 第一回配本(二〇二一年七月刊)
 引首
 第一回 張天師 疫病を祓(はら)い 洪太尉 誤って妖魔を放つ
 第二回 王教頭 私(ひそ)かに延安府に走り 九紋龍 大いに史家村を鬧(さわ)がす
 第三回 史大郎 夜 華陰県より走り 魯提轄 拳もて鎮関西を打つ
 第四回 趙員外 文殊院を重修し 魯智深 大いに五台山を閙(さわ)がす
 第五回 小覇王 酔って銷金の帳に入り 花和尚 大いに桃花村を鬧(さわ)がす
 第六回 九紋龍 赤松林に剪逕(おいはぎ)し 魯智深 火もて瓦罐寺を焼く
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