秦漢古代帝国の形成と身分制 「庶人」をめぐる身分制度を視座として
/汲古叢書183
上製
椎名一雄
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出版社:汲古書院 |
出版年:2024年08月 |
コード: 556p ISBN/ISSN 9784762960826 |
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帝国形成と身分制度および新たな基層社会像を結びつけ中国古代史研究を切り拓く
なぜ、秦は中国史上初の統一帝国を形成することができたのか。なぜ、社会に生きる人々は秦国や漢国による支配を受け入れたのか。中国古代とりわけ秦漢古代帝国の時代において、国家はどのようにして人々から支持を得て、その支配の正当性を獲得することができたのか。本書はこれまで多くの研究者が追究してきた中国古代史研究におけるその大きな課題を究明するため、身分制度研究という視座と新たな出土文献の分析にもとづき、秦漢帝国が形成される史的推移と結びつけた議論を行なう。
目次: 緒言 中国古代史研究における身分制度研究のはじまり 爵制的身分秩序と奴婢身分 支配形態としての身分制度とその研究 出土文献にもとづく身分制度研究 構成とねらい
第Ⅰ部 漢代身分制度の構造と展開 第一章 張家山漢簡二年律令にみえる爵制――「庶人」の理解を中心として―― 一 世襲と特権 二 二年律令に所見する爵制の適用範囲 三 二年律令からみる「庶人」 [附記] 第二章 「庶人」の語義と漢代の身分秩序 一 奴婢と刑徒への「為庶人」 奴婢の個人特定 刑徒の個人特定 “免”字と「為庶人」 二 王侯官吏への「為庶人」 贖や廃による「為庶人」 官吏への「免為庶人」 三 「庶人」の役割 爵称と労役刑名の序列 爵称と労役刑名の序列と「庶人」 第三章 秦漢律令と身分秩序の関係 一 爵称と労役刑名の序列形成原理 皇帝の命令と律令の関係 「爵称」決定の原理 「労役刑名」決定の原理 二 身分標識の転換と「告」「劾」の機能 治獄における「告」と「劾」 「労役刑名」確定のながれ 三 労役刑名をもつ者と郷里の関係 第四章 秦漢時代の身分制度における民爵賜与――「庶人」と民爵賜与の関係―― 一 「庶人」と民の関係 二 「庶人」の来歴 労役刑徒 奴婢 王・侯・官吏 「庶人」の子ども 三 受爵資格と「庶人」 四 「庶人」と犯罪履歴
第Ⅱ部 秦漢時代の社会と国家 第一章 「庶人」が結ぶ中国古代の社会と国家 一 『二年律令』にみえる「庶人」に対する私見と諸見解 「庶人」に対する私見 「庶人」に対する諸見解 二 戍・徭・吏から除外される「庶人」 戍(≒兵役)から除外される「庶人」 無爵者≠「庶人」について 徭役から除外される「庶人」 傅された者の身分 吏(仕官)から除外される「庶人」 三 免ぜられて「庶人」となる者の表記と来歴 「庶人」の表記方法 免ぜられて「庶人」となる者の来歴 「免じて庶人と為す」の「免」の対象 四 秦漢時代の社会における「庶人」の位置づけ 「庶人」と郷里社会との関係 希求される「庶人」 第二章 秦漢時代の人的結合と国家――『嶽麓書院藏秦簡』を手掛かりに―― 一 犯罪者およびそれを救わんとする者の関係 二 出土文献の「所知」と編纂史料との関わり 三 「知」にもとづく人的結合 四 「知」にもとづく人的結合と国家 第三章 賄賂からみた秦の地域支配の一側面――『嶽麓書院藏秦簡』を手掛かりとして―― 一 『張家山漢簡』にみる賄賂罪 二 『嶽麓』所載の賄賂罪にみる人的結合関係 三 『嶽麓』と秦墨の関わり 四 官吏への利益供与と地域支配 第四章 二年律令にみる民の生活形態 一 二年律令にみる民 二 二年律令にみる自田耕作以外の収入 三 二年律令にみる傭の形態 四 金布律の編綴理由と地域性 五 史的変遷
第Ⅲ部 秦漢時代の法運用 第一章 秦漢時代の告と劾 一 告の字義 二 劾の機能 三 劾者と被劾者の関係 四 告と劾の関係 第二章 『嶽麓書院藏秦簡(参)』案例一にみる秦代文書行政と裁判――伝達手段“書”と“口”―― 一 原簡への検討 二 口字の意味と用例 三 『嶽麓(参)』案例一通釈 四 『嶽麓(参)』案例一の史的位置づけ
結言
参考文献一覧 初出一覧 あとがき 英文要旨 中文要旨 索引
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