地域から国民国家を問い直す スコットランド、カタルーニャ、ウイグル、琉球・沖縄などを事例として
奥野良知 編著
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出版社:明石書店 |
出版年:2019年10月 |
コード: 288p ISBN/ISSN 9784750349084 |
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近年、スコットランドやカタルーニャでの独立を問う住民投票の例にもあるように、各地で「国民国家」(一民族一国家)の枠組みが揺らいでいる。複数の民族が共存する国家は可能か、だとすればどのような形が望ましいのか。欧州、カナダ、中国、日本を例に考察。
目次: はじめに 第1章 総論――「国民国家」の問題を考えるに当たって(奥野良知)
第2章 〈イギリス①〉スコットランドの独立運動とイギリス政治のゆくえ(山崎幹根) はじめに 1 スコットランド独立運動の歴史的背景 2 2014年9月 独立を問う住民投票 3 その後も続くSNPの躍進 4 スコットランド法の改正と権限移譲 5 2016年6月EUからの離脱を問う国民投票 6 2017年下院選挙と今後のゆくえ
第3章 〈イギリス②〉北アイルランド自治の現状と課題(福岡千珠) はじめに 1 分断と自治 2 「自治」なき時代 3 ベルファスト和平合意後の「自治」 4 紛争の停止から対話の実現に向けて――「多極共存型民主主義」の評価 おわりに
第4章 〈スペイン①〉問われているのは「地域」か「国家」か――自己決定権をめぐるバスクの動向を追う(萩尾生) はじめに 1 「バスク地方」とは――空間領域意識の問題 2 バスク・ナショナリズムの系譜 3 バスク自治州体制 4 自決権をめぐる駆け引き 5 今後のシナリオ
第5章 〈スペイン②〉カタルーニャ・スペイン問題――問われているのはスペインの多様性、民主主義、人権(奥野良知) 1 カタルーニャの独立派と反対派 2 スペイン・カタルーニャ問題略史 3 1978年憲法の制定と自治州 4 新自治憲章の制定(2006年)と違憲判決(2010年) 5 ラホイ国民党政権による再中央集権化 6 独立に向けた「プロセス」の開始(2014年~)とスペイン政府の対応 7 住民投票、独立宣言、自治権停止 8 「政治犯」とカタルーニャ問題の国際化 むすびに代えて――終わらないスペイン・カタルーニャ問題
第6章 〈カナダ〉ケベック問題が問いかけるもの(太田唱史) はじめに 1 国民国家とトルドーの国家観 2 カナダ国民形成とケベック・ナショナリズムの興隆 3 揺れ動く国家観 4 ケベック問題の本質 おわりに
第7章 〈旧ユーゴスラヴィア〉コソヴォの独立を考える――独立宣言から10年を経て(柴宜弘) はじめに 1 コソヴォ紛争とは 2 どのような独立だったのか 3 独立以後の問題 むすびに代えて
第8章 〈中国〉〈国民国家〉と〈国際関係〉の中の新疆ウイグル自治区(田中周,鈴木隆) はじめに 1 中国共産党の民族政策の概観 2 新疆ウイグル自治区における中国共産党の国家建設 3 中国‐中央アジアの国際関係からみる新疆ウイグル自治区 おわりに
第9章 〈日本〉民族の自己決定権に基づく「復国」としての琉球独立――中華民国・琉球関係、国際法、カタルーニャ独立を導きの糸として(松島泰勝) 1 琉球独立を巡る中華民国の外交 2 琉球独立の国際法上の正当性 3 国連、国際法を活用した脱植民地化運動 4 カタルーニャ独立が琉球にとって持つ意味 むすびに代えて――県民投票後、琉球は何をすべきか
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