中国学の近代的展開と日中交渉
/アジア遊学292
陶徳民,吾妻重二,永田知之 編
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出版社:勉誠出版 |
出版年:2023年12月 |
コード: 336p ISBN/ISSN 9784585325383 |
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二十世紀前半、日本では近代漢学、東洋学や支那学、現代中国学など、中国をめぐる学術研究が盛行した。一方、同時代の中国では、従来の漢学・宋学・清代の考証学に加えて、自国の文化遺産を再評価しようとする国学が勃興し、周辺地域も視野にいれた東方学が芽生えた。
しかし、当時の日中両国の中国研究は決して没交渉だったわけではなく、むしろ緊密な協働関係のもとに展開していった。例えば、京都大学の内藤湖南による『章実斎先生年譜』に刺激を受けた胡適が、同名の年譜を編んで内藤に贈ったことや、増田渉が上海で魯迅から『中国小説史略』の個人授業を受けた縁で、魯迅の丁寧な添削を経た同書の名訳を上梓できたことが挙げられる。
本書では伝統的な経学・史学・文学と、敦煌学や甲骨学など新しい分野をめぐる日中間の学術交流と人的交流の重要な事例を網羅的に考察するとともに、約一二〇点の関連写真と史料で全体像を提示する。 東アジアにおける中国学の近代的展開の諸相とその歴史的意味を考えるために必携の一冊。
目次: 序説(陶徳民・吾妻重二)
第一部 近代における章学誠研究熱の形成とそのインパクト 十九世紀中国の知識人が見た章学誠とその言説―史論家・思想家への道(永田知之) 「欧西と神理相似たる」東洋の学問方法論の発見を求めて―内藤湖南における章氏顕彰と富永顕彰の並行性について(陶徳民) 戴震と章学誠と胡適─乾嘉への接続と学術史の文脈(竹元規人) 「章学誠の転換」と現代中国の史学の実践―胡適を中心に(節訳)(潘光哲/邱吉,竹元規人編訳) 余嘉錫の章学誠理解―継承と批判(古勝隆一) 内藤湖南・梁啓超の設身処地と章学誠の文徳について(高木智見) 【コラム】『章氏遺書』と章実斎年譜について(銭婉約) 【コラム】劉咸炘と何炳松の章学誠研究について(陶徳民) 【コラム】清末・民国初期における史学と目録学(竹元規人) 【コラム】『文史通義』の訳出を終えて(古勝隆一)
第二部 経史研究の新しい展開と日中人物往来 「東洋史」の二人の創始者―那珂通世と桑原隲藏(小嶋茂稔) 羅振玉・王国維往復書簡から見る早期甲骨学の形成―林泰輔の貢献に触れて(羅琨/邱吉訳/永田知之校閲) 漢学者松崎鶴雄から見た湖南の経学大師―王闓運・王先謙・葉徳輝(井澤耕一) 皮錫瑞『経学歴史』をめぐる日中の人的交流とその思惑・評価(橋本昭典) 近代日本に於ける「春秋公羊伝」論(劉岳兵/殷晨曦訳/古勝隆一校閲) 諸橋轍次と中国知識人たちの交流について―基本史料、研究の現状および展望(石暁軍) 武内義雄と吉田鋭雄―重建懐徳堂講師の留学と西村天囚(竹田健二) 【コラム】水野梅暁とその関係資料(劉暁軍) 【コラム】『古史辨』の登場と展開(竹元規人) 【コラム】宮崎市定における「宋代ルネサンス」論の形成とその歴史背景(呂超) 【コラム】北京の奇人・中江丑吉―その生い立ちと中国研究(二ノ宮聡)
第三部 民間文学と現代中国への眼差し 狩野直喜の中国小説研究―塩谷温にもふれて(胡珍子) 青木正児の中国遊学と中国研究(周閲) 増田渉と辛島驍―『中国小説史略』の翻訳をめぐって(井上泰山) 竹内好と中国文学研究会のあゆみ(山田智) 【コラム】敦煌学が開いた漢字文化研究の新世界(永田知之) 【コラム】雑誌『支那学』の創刊と中国の新文化運動(辜承堯) 【コラム】吉川幸次郎と『東方文化研究所漢籍分類目録 附書名人名通検』(永田知之)
あとがき(永田知之) 年号対照表
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