中国における性科学の誕生 清末民初期の性欲をめぐる言説を中心に【最新刊】
上製
楊力
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| 出版社:東方書店 |
| 出版年:2026年01月 |
| コード:22601 312p ISBN/ISSN 9784497226013 |
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新時代のための新知識受容の様相
20世紀前半、「強国強種」(国と種を強くする)を求めた清末民初期の中国では、生殖や子孫の質に直接関係する「性」の知識がかつてないほど注目を浴びることとなった。性に関する知識は単なる個人の問題ではなく、国家や民族の存続にかかわる重要な課題と見なされ、その科学的探求が社会的・政治的な目的と結びつけられていったのである。
本書では、清朝末期から五四時期(1910~20年代)にかけて、中国の知識人たちが西洋の性科学書の翻訳を通してどのように知識を吸収し、近代的な性規範を形成していったのかを明らかにする。
●著者の言葉
五四時期の知識人たちは、西洋の性科学の言説を翻訳・導入する際、ヴィクトリア朝的な「抑圧から解放」への二元構造を模倣し、それを中国社会の文脈に流用した。この過程で、中国において抑圧的な前近代と解放された近代という構図が構築された。しかし一方で、近代西洋で流通した「受動的で弱く、男性の愛情を必要とする」という女性像に対する批判も存在した。(略)張競生の提案は、西洋近代の性科学をただ受け入れるのではなく、それを批判的に解釈し、再構成していくプロセスの一環であり、伝統的な性文化や道徳の枠を超え、中国における性と女性の主体性に関する新たな議論の方向性を示したのである。(「おわりに」より)
●構成
序(村田雄二郎)
はじめに
一、問題の提起
二、先行研究の整理
三、本書の目標と意義
四、各章の論議
第一章 清末期における性科学の受容
一、伝統的性文化
二、「性」の発端
三、性科学書の受容
四、結婚の情欲化
第二章 清末期の性科学と女性
一、女性解放思想
二、性科学書翻訳の趣旨
三、女性の性欲をめぐる翻訳
四、『男女交合新論』の翻訳
第三章 五四時期の性科学
一、「性欲」の流通
二、「性学」の大衆化
三、「性科学」による専門化
四、性科学言説の特徴
第四章 五四時期の性科学と性道徳
一、女性解放思想
二、性道徳言説
三、伝統社会に対する批判
四、女性の性欲と『結婚的愛』
第五章 五四時期の性科学と女性
一、英米の近代批判と五四の伝統批判
二、女性の性欲は受動的か
三、女性の性的興奮をめぐる言説
四、女性の声
第六章 五四時期の性科学と日本
一、日本性言説の受容
二、日本性科学の受容
三、魯迅の田中香涯受容
おわりに
後書き
索引
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■編著者紹介
楊力 上海外国語大学日本文化経済学院・准教授。南京大学にて学士号を取得後、東京大学大学院に進学し、同大学より修士号・博士号(学術)を取得。博士課程修了後、清華大学においてPost Doctoral研究員として研究活動に従事した。専門分野は、日中思想文化史、史学史、女性史・ジェンダー史。近現代中国における性観念およびジェンダー秩序の変容を中心に、日中比較の視角から研究を進めている。
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