内藤湖南の書風と書論に関する基礎的研究 近代日本における王羲之尊重の文脈【最新刊】
石永峰
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出版社:東方書店 |
出版年:2025年06月 |
コード:22510 334p ISBN/ISSN 9784497225108 |
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京都学派支那学の創始者の一人、東洋史学の泰斗である内藤湖南(1866-1934)の書風(書法)、書論(書学)、金石学研究について、『内藤湖南全集』などの出版物や関西大学内藤文庫の所蔵品の調査・検証をもとに考察。
●「序論」より 本研究は、内藤湖南の書学、金石学、書法に関する課題を考察することを目的とし、具体的には湖南の書風はどのようにして形成され、どのような特徴があるのか、湖南の王羲之研究は近代日本史においてどう評価すべきなのか。湖南は書法と金石に対してどのように認識し、如何に学術研究への道に進み、日本早期の金石学研究者に成長したのか。どのような歴史背景の中で、湖南は「六朝書道論」をスローガンとする碑学を批判し、同時に王羲之研究についてどのような糸口をつかんで体系的な研究まで展開したか。湖南は宋元の墨跡に対してどのように認識していたか、蘇軾、米芾、趙孟頫書法に関する湖南の跋文をどう評価すべきなのか、といった課題を詳細な文献資料と内藤文庫の一次資料を用いて考察する。(「序論」より)
●構成 序(陶徳民) 序にかえて(菅野智明)
序 論 内藤湖南の書風と書論をめぐる研究状況と問題点 一 研究の背景 二 先行研究とその問題点 三 研究の目的と方法 第一章 内藤湖南の書風に関する評価 はじめに 第一節 内藤湖南の書風に関する評価と研究状況 第二節 内藤湖南の書風の特徴について 第三節 家学の淵源―書風形成の基礎― 第四節 書風の変遷と進化の契機 おわりに 附表:内藤湖南墨跡年表(部分) 第二章 内藤湖南の王羲之研究 はじめに 第一節 内藤湖南による王羲之受容の研究と継承 第二節 内藤湖南の王羲之法帖題跋 第三節 内藤湖南の王羲之研究とその影響 おわりに 第三章 内藤湖南の金石学史研究 はじめに 第一節 「書法と金石」比較方法論の形成 第二節 金石学研究上の視野の変遷―筆法論から考証学へ― 第三節 金石学研究上の視野の拡大―「清朝金石学」から「歴代金石学」へ― 第四節 内藤湖南の金石学における京都東洋学派への影響 おわりに 附録:内藤湖南金石研究参考書目 第四章 近代日本における碑帖論争と内藤湖南 はじめに 第一節 中国と日本における碑帖論争の時代背景 第二節 内藤湖南と中村不折との論争について 第三節 内藤湖南から見た日下部鳴鶴の書論 おわりに 第五章 内藤湖南の宋元墨跡題跋考 はじめに 第一節 蘇軾書法に関する湖南の題跋 第二節 米芾書法に関する湖南の題跋 第三節 趙孟頫書法に関する湖南の題跋 おわりに 結 論 書の「伝統」と「正統」を考える―湖南書学の歴史的意義― 一 各章の総括 二 王羲之の真相を見極める内藤湖南の研究軌跡と書学特色 三 近代日本書学書道史における湖南書学の歴史的意義
附録一 内藤湖南未収録文補遺 附録二 内藤湖南書学研究年譜 〔附録論考〕「竟山学古」考
図版出典一覧 参考文献一覧 初出一覧 あとがき 索引(人名索引、項目索引)
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■編著者紹介
石 永峰(せき えいほう) 中国内蒙古大学文学與新聞傳播学院専任講師、文藝学(藝術学)研究室主任。 1977年、中国・内蒙古自治区呼和浩特(フフホト)市生まれ。 関西大学大学院東アジア文化研究科博士課程後期課程修了、博士(文化交渉学)。 中国書法家協会会員、内蒙古書法家協会学習学術委員会主任、第八回中国書法蘭亭賞審読委員、中国二王学研究中心専家委員会委員兼副秘書長。 書学書道史学会会員、旧書論研究会会員・本部役員・書記(国際担当)。 書法史および書法理論に関する研究を主とし、美術・書道に関する学術文献の翻訳も従事。『書論』『東アジア文化研究』『東西学術研究所紀要』『書法漢学研究』『中国書法』『書法研究』『書法』などの学術誌に多数の学術論文を発表。西泠印社主催「世界図紋与印記国際学術研討会」優秀論文三等賞受賞。研究課題として、「内藤湖南の書法と書論」が2019 年度書学書道史学会研究促進助成金に採択、「内藤湖南の東洋芸術論―画論・書 論・印学・金石学等領域に対する学問的貢献―」が日本学術振興会2021年度科学研究費助成事業学術研究助成基金(研究活動スタート支援、課題番号:21K19973)に採択された。
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