新興国から見るアフターコロナの時代 米中対立の間に広がる世界
/UP plus
川島真,池内恵 編
|
|
出版社:東京大学出版会 |
出版年:2021年12月 |
コード: 192p ISBN/ISSN 9784130333023 |
|
|
|
新型コロナウイルス感染症によって、世界秩序は大きく変化している。その影響は米中といった超大国だけではなく、地域大国(BRICS)にも及んでいる。本書は、大きく変化する国際関係を地域大国といわれる国々を中心に多角的な視点から分析し、最新の動向を踏まえ展望する。
目次:
序文(池内恵) 新しい世界の見方(川島真・池内恵)
I 地域大国の立場 コロナ危機後のロシアと世界――「長い二〇一〇年代」か、新しい世界か(小泉悠) 継続する安全保障化と地域秩序中心のアプローチ――コロナ危機下の二〇二〇年におけるトルコの内政と外交(今井宏平) インド――コロナの苦境を機会に変えることができるか(伊豆山真理) インドネシア――コロナ危機下の反民主的政治アジェンダ(本名純) ブラジル・ボルソナーロ政権はなぜパンデミックを防げなかったのか?――予見されていたコロナ禍の危機と米中対立下での外交戦略(舛方周一郎) 南アフリカ、そしてアフリカの衰退と再生(平野克己)
Ⅱ 小国の立ち回り 中国=モンゴル関係のメタファーとしてのコロナ(尾崎孝宏) アフター・コロナの中国の新疆政策(田中周) 「小国」は主体か、客体か?――米中対立下の香港(倉田徹) 台湾――コロナ危機により深まった中国との分断(福田円) 楽園の疫病――太平洋島嶼国の現実(早川理恵子) 北朝鮮の新型コロナウイルス対策(宮本悟)
Ⅲ 地域のまとまりと分裂 アフターコロナの中東秩序(池内恵) 中央アジアの新型コロナ問題と国際関係――減速する世界?(宇山智彦) キューバ白衣外交の文脈――トランプとコロナ(上英明)
あとがき(川島真・池内恵)
【UP plus 創刊にあたって】
現代社会は、20世紀末の情報革命とグローバル資本主義の深化によって大きく変貌を遂げてきました。情報革命はライフスタイルに大きな変革を及ぼし、わたしたちの生活に多大な影響を与え続け、いまなお変化の途中にあります。また、グローバル資本主義の進展もワークスタイルに大きな変革を及ぼし、世界の一体化を促進させてきました。しかし、同時に様々な次元で格差を生じさせ、分断を深めています。 しかし、2020年の初頭に発生したCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックによって、より快適に、より便利に、より早く、ということを追求してきた現代社会は大きな影響を受けたのです。この出来事はわたしたちに大きな警鐘を与えるとともに、わたしたちが生きている社会のあり方、そして世界のあり方にも再考をうながしているのです。 このような状況下で、いま一度「知」というものを改めて考え直す時代が訪れているのではないでしょうか。いまの危機を乗り越え、格差や分断を乗り越えるには、人類が積み重ねてきた「知」の集積をたよりにして、あたらしい地平を拓くことこそが求められているのではないかと考えられるのです。まだ見ぬ世界への道しるべとして、「知」はやはりかけがえのないものなのです。 このたび、東京大学出版会は、「UP plus」と題し、「知」の集積地である、大学からひろく社会と共有する「知」を目指して、複雑化する時代の見取り図としての「知」、そして、未来を開く道しるべとしての「知」をコンセプトとしたシリーズを刊行いたします。 「UP plus」の一冊一冊が、読者の皆様にとって、「知」への導きの書となり、また、これまでの世界への認識を揺さぶるものになるでしょう。そうした刺激的な書物を生み出し続けること、それが大学出版の役割だと考えています。
一般財団法人 東京大学出版会
|
|