中国皇帝の条件 後継者はいかに選ばれたか
/新潮選書
阪倉篤秀
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出版社:新潮社 |
出版年:2025年04月 |
コード: 302p ISBN/ISSN 9784106039256 |
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「二代目で傾き、三代目が潰す」を回避するための鉄則とは? 中華の絶対権力者であると同時に、一人の親でもある皇帝にとって、皇太子の選定は王朝存亡を賭けた最重要課題であった。強烈な個性を押し通した先代と比較されて苦しむ二代目、甘やかされる三代目など、皇位継承に見られる構造的な困難を乗り越える秘訣を、秦の始皇帝から清の康熙帝まで歴代14人の事例から明らかにする。
目次:
まえがき
リーダーに必要とされる冷酷さ/集団が機能するための組織/皇帝政治が安定する条件/最重要課題の後継者確保/父子相続から生まれるドラマ/王朝存続を決める「立太子」のタイミング/始皇帝が蒔いた秦王朝滅亡の種/「創業皇帝」と「承継皇帝」/「操り人形」や「裸の王様」になる危険/現代人と共通の悩みを持つ中国皇帝たち
第一章 我ありてこそ――後継者指名の遅延とそれがもたらすもの
一 秦の始皇帝エイ政 長子扶蘇の自害/「奇貨、おくべし」/今を生き、未来に向かう/封建制度は受け継がない/王を越えて皇帝に/官僚制と監察権の独立/強権的な統一政策/確信に裏付けられた政策展開/「天に二日なく、地に二君なし」/始皇帝の失態
二 前漢の武帝劉徹 皇后との確執/皇帝称号の復活/「弱幹強枝」から「強幹弱枝」へ/武帝の生母王シ/館陶公主劉嫖の策謀/皇太子劉徹/太皇太后の横やり/解放された武帝/皇后陳阿嬌/衛青と霍去病/内政の充実/男児の出生と立太子/皇太子の宮中クーデター/外戚の禍を防ぐ究極の策
第二章 頼るしかなかった、とはいえ――血縁のありがたさとその反動
一 前漢の恵帝劉盈【附:高祖劉邦】 衝撃の事態を前にして/始皇帝と劉邦の出会い/劉邦に尽くす呂氏/呂氏の捕縛と戚夫人の出産/劉邦の皇帝即位/資質に欠ける劉盈/劉邦の死/外戚介入の先例
二 清の順治帝愛新覚羅福臨【附:太祖ヌルハチ・太宗ホンタイジ】 ドルゴン断罪/女真族の系譜/遼と金の民族国家/ヌルハチの後金建国/後継者ホンタイジ/イメージ操作/満洲と満州/事業達成目前の急死/後継者はまだ六歳/呉三桂の開門/「飴と鞭」政策/増長するドルゴン/憎しみからの名誉剥奪/順治帝親政のつまずき/意図的に過ぎる施政方針/宦官依存と皇后問題/「己を罪するの詔」
第三章 我をおいてほかになし――ともに業をなしとげたものとして
一 唐の太宗李世民【附:高祖李淵】 李淵と李世民/李氏の系譜/隋朝の崩壊/李建成と李世民の確執/宮中クーデター「玄武門の変」/運命を分けた人徳の差/「貞観の治」/度重なる周辺民族の征圧/三人の男児/後継者の決定
二 宋の太宗趙匡義【附:太祖趙匡胤】 孝行息子の趙匡胤/後継者を決めた「金匱の盟」/唐滅亡と五代十国/後周郭威による束の間の平和/柴栄の活発な軍事的遠征/「陳橋兵変」と開封帰還/平和裏に建国された宋朝/都護府体制から節度使体制へ/宋の節度使対策/中国統一とその限界/君主独裁体制の確立/生前になかった後継指名/噂がとびかう趙匡胤の死
第四章 思いもしていなかったのに――王朝を継続するために
一 東晋の元帝司馬睿【附:武帝司馬炎】 司馬睿の即位/晋の成立/禍根を残す封地分配/司馬炎死後の混乱/「八王の乱」と「永嘉の乱」/司馬睿の琅邪王襲封/建康の亡命政権/晋王から皇帝に/神輿に乗る皇帝
二 南宋の高宗趙構 屈辱の講和/万里の長城と北方系民族/契丹による遼の建国/燕雲十六州の割譲/遼の南侵と「セン淵の盟」/「夷をもって夷を制す」/趙構の人質と「靖康の変」/傀儡政権の限界/趙構の即位と江南巡幸/臨安遷都/立場の逆転/屈辱のなかでの平和/虚しい戦勝パフォーマンス
第五章 なにがなんでも我こそが――皇帝即位への意欲とそれがもたらすもの
一 隋の煬帝楊広【附:文帝楊堅】 兄弟の争いと母/楊堅と独孤氏/楊氏の系譜/婚姻と二人の誓い/宇文護の専横と独孤信の死/隠忍自重がもたらした外戚の立場/独孤氏の存在感/支配体制と経済政策/大運河/南部中国の状況/楊堅と五人の嫡子/聞き耳を立てる独孤氏/皇太子楊勇に対する怒り/「孝行息子」楊広/廃太子の決断/楊広の即位/大規模工事と高句麗遠征
二 唐の玄宗李隆基 父には知らせずに/高宗による立太子/策謀で手にした皇后の地位/「武韋の禍」/李隆基と「唐隆政変」/功績がある者が後継に/「開元の治」/仕事人間の行く末/楊貴妃への傾倒/安史の乱
第六章 父を受け継ぎ飛躍を目指す――父の遺産とイノベーション
一 後漢の明帝劉荘(劉陽)【附:光武帝劉秀】 自己をわきまえた「即位の詔」/劉氏復活を待望する声/漢の復興と洛陽進出/「光武中興」による社会再生/「一夫二妻」/二人の皇子の誕生と立太子/皇后と皇太子の入れ替え/父を越えた明帝/父子二代による王朝の基礎
二 宋の神宗趙キョク【附:仁宗趙禎・英宗趙曙】 王安石との出会い/意欲を失った仁宗/男児の運に恵まれず/皇帝になりたくなかった皇帝/意欲あふれる青年皇帝/王安石の登用/新法派と旧法派の対立/強行突破をはかる神宗/王安石の失脚と新法派の自壊/神宗とその時代への評価
第七章 準備万端整えたはずが――早期の後継者指名が崩れた結果
一 明の洪武帝朱元璋【附:建文帝朱允ブン・永楽帝朱棣】 朱元璋のお墨付き/皇帝の呼び名/民間史料への向き合い方/元末「紅巾の乱」/明王朝の成立/こだわりの強い朱元璋/徹底的な海禁令/建国功臣への対策/皇子による北辺防衛/「地に二君なし」をものともせず/皇太子朱標の死/皇子を飛び越して皇孫に/「君側の難を靖じる」/建文帝はどこに行ったか/手堅くも斬新な永楽政治/永楽時代の歴史的存在意義
二 清の康熙帝愛新覚羅玄ヨウ【附:雍正帝愛新覚羅胤シン】 究極の「太子密建法」/満漢の血統を受けた皇帝/準備万端整えたうえでの親政/「三藩の乱」/支配領域の確保/嫡長子へのこだわり/皇子間の対立/胤ジョウの廃太子/再度の立太子と再度の廃太子/「天下、第一の閑人」/憶測とびかう康熙帝の最期/雍正時代の始まり/積年の課題への挑戦/一三年の在位が残したもの
あとがき
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