中国市場経済化の政治経済学
/広島修道大学学術選書
上製
森田憲
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出版社:多賀出版 |
出版年:2017年03月 |
コード: 312p ISBN/ISSN 9784811579412 |
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本書は、中国の市場経済化の特徴をとらえようとする試みであり、Ⅱ部8章から構成されている。第Ⅰ部「バブルの政治経済学」では、バブルの発生および崩壊をマクロ経済学の修正・拡大をとおして、第Ⅱ部「国際化の政治経済学」では、直接投資および統合という視点をとおして、それぞれ中国の市場経済化の現状と展望についての分析がなされている。中国の「バブル現象」は「分税制」に遡ることができ(従って1994年に遡ることができ)、中国の「国際化」特に(対内)「直接投資」は「南巡講話」に遡ることができる(1992年に遡ることができる)という意味で、1990年代前半にその源を有している。端的にいえば、「社会主義市場経済」のもとで動きはじめた事態であるといってよい。バブル現象を適切にとらえるにはどのようなトゥールをどのように用いればよいのか、そして直接投資および統合の実態を適切にとらえるにはどのようなトゥールをどのように用いればよいのか、とりわけ中国を対象とした場合には何らかの修正が必要なのかどうか、本書で焦点があてられるのはそうした諸課題である。本書での検討をつうじて、中国の市場経済化の特徴が、通常の市場経済における仕組みとは基本的に異なったものであることが明らかにされている。
目次: はじめに
〔第Ⅰ部 中国のバブルの政治経済学〕 第1章 中国のバブル現象の政治経済学 はじめに 1.バブルとは何か:理論的概観 2.日本の事例 3.中国の事例 4.分析 おわりに 第2章 中国におけるバブルと経路依存性 はじめに 1.日本のバブル 2.中国のバブル 3.理論的分析 4.貨幣の効率性と経路依存性 おわりに:バブルと経路依存性 第3章 中国の国家資本主義とバブル現象 はじめに 1.中国の貨幣供給 2.影の銀行をめぐって 3.中国経済をめぐって:日本の識者の諸見解 4.覇権国とバブル 結論:覇権体制をめぐって 第4章 体制移行とバブル現象の政治経済学 はじめに 1.現状 2.分析Ⅰ:中欧 3.分析Ⅱ:中国 4.展望 5.結論
〔第Ⅱ部 中国の国際化の政治経済学〕 第5章 中国の対外直接投資の政治経済学 はじめに 1.中国の対外直接投資:概況 2.中国の対外直接投資:検討 3.中国と重商主義 4.中国の対外政策の分析:中国と国際システム 5.結論 第6章 長江デルタ地域と中国地方の地域統合の政治経済学 はじめに 1.背景 2.現状 3.分析 結論 第7章 地域統合と体制移行の政治経済学 はじめに 1.制度的統合と機能的統合 2.投資─貿易比率 3.経路依存 4.どのように脱却するのか:中国の政治体制をめぐって 第8章 日米関係・米中関係の政治経済学 はじめに 1.基礎データ:米国、中国、日本の現状 2.日米関係 3.米国の外交戦略をめぐって 4.米中関係 5.結論:中国の市場経済化
おわりに 参考文献 図表一覧 索引
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