40を超える国の人びとが居住していた国際都市上海は、1937年8月の侵攻によって、日本の占領下に置かれた。それから終戦まで、日本人は、中国人は、世界各国から上海にたどり着いた人びとは、どのような政治的・文化的な空間におかれたのか。戦時期の上海を、人びとが出会い、衝突と交流を繰り広げる「場」として捉え直し、敵/味方、支配/被支配、抵抗/協力といった二項対立によって色分けすることのできない、複雑な関係のあり様=グレーゾーンを考察する。