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『詩経』の形成 儀礼化から世俗化へ 上製
陳致/湯浅邦弘 監訳/湯城吉信,古賀芳枝,草野友子,中村未来 訳
出版社:東方書店
出版年:2023年06月
コード:22310   464p   ISBN/ISSN 9784497223104
 
価格 6,600円
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『詩経』学の新指標

複雑で多様なルーツを持つ『詩経』の作品群はどのように成立し、分類されたのか。
古文字学や音楽考古学などの観点を総合し、当時の『詩経』が儀礼化から世俗化へ、規範化から地方化へと変容した過程を明らかにする。

複雑で多様なルーツを持つ『詩経』の作品群はどのようにして成立し、分類されたのか。
従来の研究方法と一線を画す本書は、『詩経』の成立や名称について超域的な考察を展開。古文字学や訓詁学、音楽考古学など多方面の観点を総合し、当時の『詩経』が儀礼化から世俗化へ、規範化から地方化へと変容した過程を明らかにする。陳致『従礼儀化到世俗化――『詩経』的形成』の日本語訳版であり、巻末に原著にはない『詩経』目録や関連地図、用語解説を収録する。

著者の言葉
『詩経』の分類とその命名のルーツを検討するため、筆者が採用する多様な科学的方法は、音楽考古学と伝統的な古文字学、訓詁学と文献学を結合させる方法である。筆者は、こうした方法は超域的な研究が持つ『詩経』分類問題に対する潜在力を具体的に説明することになると考える。(「第一章」より)

構成
日本語版序文
凡例

第一章 研究の現状と研究方法
一、『詩経』のテキストについて
二、研究上の問題点
三、複数の視点による総合的な研究方法
 (一)古文字学・言語学的分析
 (二)音楽考古学と民族音楽学の視点からの『詩経』研究

第二章 庸・頌・訟(誦)――殷代祭祀の楽器・楽調と礼辞
一、殷周文化の衝突と継承
二、殷文化の優越性およびその周代における存続
三、考古学で発見された楽器から見る殷末期および先周期の音楽文化の違い
四、殷代祭祀楽舞と周初の雅楽の関係
 (一)「頌」の伝統的解釈――古文字学からその合理性を分析する
 (二)「庸」の字源学的検討および古音義学における「頌」との関係
 (三)祖先祭祀活動の中の殷代祭祀楽舞――考古および文字資料を根拠に
 (四)殷代祭祀楽舞の再現
 (五)祭祀儀式の中の祝詞――誦(訟)
 (六)殷代祭祀楽舞の名称およびその周代における変化
五、宗教から現実重視への転換――殷周の際の祭祀楽舞の儀式化

第三章 雅楽の標準化
一、周人の夏人に対する同一視
二、「夏」と「雅」の字源の関係
三、夏楽――最初の雅楽
 (一)「夏」と「大夏」
 (二)舞夏・夏舞・夔・夒
 (三)夏籥あるいは夏龠
 (四)九夏――夏楽舞の九つの分節
 (五)夏王朝の楽舞の伴奏をした初期の楽器
四、雅楽の構成形式
 (一)音楽の象徴的役割および夏楽の儀礼化
 (二)雅楽の各部分の内容と役割および『詩経』の篇章との関係
 (三)伝世文献から見る雅楽の伴奏楽器
五、考古資料から見た殷周楽器の類似点と相違点
六、文化変容後の殷周音楽に見られる階層的融合――『詩経』における大小「雅」の源

第四章 古文字中の「南」および『詩経』中の「二南」
一、『詩経』における「南」
二、「二南」の名称の由来について
 (一)方位詞としての「南」
 (二)詩の一形体としての「南」
 (三)音楽の一形体としての「南」
 (四)王朝卿士の称謂および職貢の名としての「南」
三、「南」字の字源
 (一)容器あるいは楽器としての「南」
 (二)生えたばかりの竹としての「南」――「南」字の字源についての仮説
 (三)「南」と「鎛」――江蘇丹徒背山頂編鐘銘文新釈
 (四)殷周の楽鐘の類型とその変遷
 (五)南方の打楽器としての「南」
四、「周南」と「召南」
 (一)周公・召公の封建
 (二)二南の地域の問題
 (三)南国の境域について
 (四)「二南」の詩から見た二南の地域
 (五)「二南」の詩から見た二南の時代
 (六)南方の雅音
五、二南の詩と音楽の分離

第五章 「雅」の地方化――殷代雅楽の復活
一、宗周の崩壊と諸夏観念の出現、および雅楽の地方への拡散
 (一)西周から東周への境界における夷夏観念の変遷
 (二)春秋期の雅楽観念
二、「風」字の古義とその『詩経』国風における意義
 (一)「風」――春秋期の詩歌の名
 (二)瞽――周の宮廷楽師
 (三)『詩』の編集者としての瞽
三、「国風」の民歌起源説について
四、殷の雅楽の化石化と風詩の普及
 (一)邶鄘衛の詩
 (二)殷音楽の化石化
 (三)鄭衛の音――殷の古楽の復活

第六章 結論

訳者解説(湯浅邦弘)

附録
1.『詩経』関係地図
2.『詩経』目録(通し番号)
3.用語解説

英文雑誌略号一覧

索引

執筆者紹介
■編著者紹介
陳致(Chen Zhi)
1964年、北京生まれ。北京大学歴史系学士、南京大学中文系修士、アメリカ・ウィスコンシン大学東亜系博士。1996年から、シンガポール国立大学、ウィスコンシン大学、香港浸会大学中文系、マカオ大学中文系、北京師範大学―香港浸会大学聯合国際学院、香港珠海学院を歴任。2022年に香港珠海学院第11代校長に就任し、現在に至る。専攻は、『詩経』、出土文献、古代史および明清学術史。著作には、『詩書礼楽中的伝統』(上海人民出版社)、『新視野中華経典文庫――詩経』(中華書局)などがあり、また、『饒宗頤国学院漢学叢書』(De Gruyter、2016~)、『饒宗頤学術論著英訳叢書』(ブリル出版社、2021~)などの叢書を企画・主編した。

湯浅 邦弘(ゆあさ くにひろ)
1957年、島根県出雲市生まれ。大阪大学大学院修了。博士(文学)。大阪大学名誉教授。主著に『竹簡学――中国古代思想の探究』(大阪大学出版会)、『戦いの神――中国古代兵学の展開』(研文出版)、『世界は縮まれり――西村天囚『欧米遊覧記』を読む』(KADOKAWA)など。第1回大阪大学功績賞(社会・国際貢献部門)受賞、2013年度「中文デジタルパブリッシング・デジタルアーカイブ国際学会」の「優秀学術論文賞」受賞。

湯城 吉信(ゆうき よしのぶ)
1964年、京都府京都市生まれ。大阪大学大学院修了。修士(文学)。大東文化大学教授。共著に『漢文訓読入門』(明治書院)、『教養としての中国古典』(ミネルヴァ書房)など。主要論文に「ジラフがキリンと呼ばれた理由――中国の場合、日本の場合(麒麟を巡る名物学その一)」(大阪府立大学人文学会『人文学論集』第26集)、「中井履軒の宇宙観――その天文関係図を読む」(『日本中国学会報』第57集)など。

古賀 芳枝(こが よしえ)
1964年、福岡県北九州市生まれ。大阪大学大学院博士後期課程中途退学。修士(文学)。和歌山大学非常勤講師。2019年〜2021年、日本語外籍教師として中華人民共和国・浙江工商大学に勤務。主要論文に、「中井履軒『春秋左氏伝』関連諸本の考察」(懐徳堂記念会『懐徳』第66号)、「中井竹山『詩律兆』における蘐園学派批判」(汲古書院『懐徳堂研究』)など。

草野 友子(くさの ともこ)
1981年、京都府京都市生まれ。大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。大阪公立大学客員研究員。主著に『中国新出土文献の思想史的研究――故事・教訓書を中心として』(汲古書院)、『ビギナーズ・クラシックス中国の古典 墨子』(角川ソフィア文庫)、共著に『清華簡研究』(汲古書院)、『よくわかる中国思想』(ミネルヴァ書房)、翻訳書(共訳)に『竹簡学入門――楚簡冊を中心として』(東方書店)など。

中村 未来(なかむら みき)
1984年、沖縄県読谷村生まれ。大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。福岡大学人文学部准教授。主著に『戦国秦漢簡牘の思想史的研究』(大阪大学出版会)、共著に『清華簡研究』(汲古書院)、『教養としての中国古典』『よくわかる中国思想』(ミネルヴァ書房)など。2013年度「中文デジタルパブリッシング・デジタルアーカイブ国際学会」の「優秀学術論文賞」受賞。
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