中国・本の情報館~東方書店~
サイト内検索
カートを見る
ログイン ヘルプ お問い合わせ
トップページ 輸入書 国内書 輸入雑誌  
本を探す 検索   ≫詳細検索
詳細情報
孔子廟と帝国――国家権力と宗教 黄進興著作選集(二) /台湾学術文化研究叢書 上製
黄進興/工藤卓司 訳
出版社:東方書店
出版年:2020年10月
コード:00898   338p   ISBN/ISSN 9784497220189
 
価格 5,500円
  <在庫有り>
弊社出版物で在庫がございます。
 
カートに入れる
黄進興氏が自ら厳選した孔子廟研究に関する14編の論考を「黄進興著作選集」として、二冊に分けて刊行。これらの論考は、儒教の宗教としての特質を歴史的に儒教が果たしてきた役割に即して解明し、国家宗教としての儒教の本質を明らかにし、孔子廟を政治と宗教とが交わる重要な場としてとらえ、孔子廟従祀制度の変遷に沿って、中国思想史の展開を跡づけている。
『黄進興著作選集』の第二冊にあたる本書『孔子廟と帝国』は、如何にして孔子廟が中華帝国の礼制に組み込まれていったのか―政治に取り込まれていったのか―を、孔子廟を巡る様々な歴史的事象を丹念にたどりながら論考を加える。同時に、孔子廟に従祀される者の人選自体が、その時々の時代思潮・学術観、ひいては政治思想を反映するものとしての代表的事例(荀子・朱子の扱い、嘉靖年間の改変など)を挙げて論考を加えている。付録として、太公望呂尚を祀る「武廟」についての文章を収める。文廟である孔子廟との違いを明らかにしている。

著者の言葉
私は次第に、孔子廟が国家の祀典としては、ちょうど伝統社会における文化と政治という二つの力が相互に影響を及ぼし合う最適の事例であること、また、世界的な歴史を有する宗教としては、その独特な性格も魅力的であることに気付いていった。そして、孔子廟の従祀制度が儒家のそれぞれの時代における主流の思想を反映しており、それを詳細に分析することによって、改めて歴史上の儒家学術の真実の動向を窺い、世間の理解不足を埋めようと考えるようになったのである。(「日本語版序――孔子廟と私」より)

訳者の言葉
現代の中華社会においては、孔子祭祀は確かに、かつてほどの重要な意味を持たされてはいない。…中略…例祭の時以外に参拝に訪れるのは奇特な観光客か、現実的なご利益を求める受験生くらいなものである。こうした現代の光景からすれば、帝政時代以前のそれが「道統」を象徴するものとして発展して来、「治統」との間で、時には互いに助けあい、時には激しく対立するものであったとは、一般の日本人には想像することすら及ばないのではなかろうか。…中略…以前ほどの輝きは放っていないまでも、「道統」を代表する孔子廟は現代社会に今なお連綿と生き延びている。今後、未曾有の「国学熱(伝統的学問ブーム)」とともに、孔子廟が中華社会の中でどのような展開を見せていくのか、注目する価値は十分にあろう。(「訳者あとがき」より)

目次:
「台湾学術文化研究叢書」刊行の辞(王徳威)
日本語版序――孔子廟と私(黄進興)
第一章 孔子廟の祭祀と帝国の礼制
第二章 道統と治統の間――明嘉靖九年(一五三〇)の孔子廟制度改革に見る皇帝権力と祭祀儀礼
一、前言
二、嘉靖九年の孔子廟制度改革
三、世宗の孔子廟制度改革と祖宗の成法――明代政教の伝統
四、道統と治統の間
第三章 清初政権におけるイデオロギーの探究――政治化する道統観
一、前言
二、清朝政権に対する李紱の見方
三、「聖君」の形象――康熙帝と道統
四、「治教合一」の意義
第四章 孔子塑像の撤廃と聖師祭
一、孔子像の設置と撤廃
二、聖師祭
第五章 『野叟曝言』と孔子廟文化
第六章 荀子――孔子廟従祀の欠席者
附録 武廟の興起と衰退(七世紀から 十四世紀まで)――政治文化の視点から
一、地方信仰から帝国の祀典へ
二、重文軽武
三、君尊臣卑
四、余論
初出一覧
訳者あとがき(工藤卓司)
『孔子廟と帝国――国家権力と宗教 黄進興著作選集(二)』解説(中純夫)
索引 人名・人物索引後記/事項索引/書名・篇名索引
■編著者紹介
黄進興(コウ シンコウ)
1950年、台湾生。筆名呉詠慧。国立台湾大学歴史系学士・同大学修士、アメリカ・ハーバード大学歴史学博士(1983)。中央研究院歴史語言研究所副研究員・研究員・所長等を経て、現在、中央研究院副院長兼歴史語言研究所特聘研究員。中央研究院院士。専門は中国思想史・中国宗教文化史・史学理論。代表作としては『歴史主義与歴史理論』(1992)、『優入聖域:権力・信仰与正当性』(1994)、『聖賢与聖徒』(2001)、『後現代主義与史学研究:一個批判性的探討』(2006)、『従理学到倫理学:清末民初道徳意識的転化』(2013)、『皇帝・儒生与孔廟』(2014)、『儒教的聖域』(2015)、『再現伝統中国的思想』(2020)等があり、いずれも台湾繁体字版と中国簡体字版がある。また、英文の著作としては、Philosophy, Philology, and Politics in Eighteenth-century China がイギリス・ケンブリッジ大学出版社から出版されている(1995)。英語・日本語・韓国語に翻訳された著作も多数。

工藤卓司(くどう たくし)
1979年、大分県竹田市生。広島大学文学部人文学科卒、同大学大学院文学研究科博士課程前期及び後期修了。博士(文学)。国立台湾大学中国文学系・中央研究院中国文哲研究所・国立清華大学中国文学系等で博士後研究、国立台湾師範大学文学院・福岡教育大学教育学部及び奈良教育大学教育学部での非常勤講師、台湾・致理科技大学応用日語系副教授を経て、現在は、県立広島大学地域創生学部准教授。専門は中国思想・経学・日本漢学。主著『近百年来日本学者《三礼》之研究』(台北:万巻楼、2016)、翻訳書としては黄俊傑著『徳川日本の論語解釈』(東京:ぺりかん社、2014)、黄俊傑著『儒家思想と中国歴史思惟』(東京:風響社、2016、共訳)がある。
中国・本の情報館~東方書店 東方書店トップページへ
会社案内 - ご注文の方法 - ユーザ規約 - 個人情報について - 著作権について