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孔子廟と儒教――学術と信仰 黄進興著作選集(一) /台湾学術文化研究叢書 上製
黄進興/中純夫 訳
出版社:東方書店
出版年:2020年11月
コード:00897   482p   ISBN/ISSN 9784497220172
 
価格 5,500円
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黄進興氏が自ら厳選した孔子廟研究に関する14編の論考を「黄進興著作選集」として、二冊に分けて刊行。これらの論考は、儒教の宗教としての特質を歴史的に儒教が果たしてきた役割に即して解明し、国家宗教としての儒教の本質を明らかにし、孔子廟を政治と宗教とが交わる重要な場としてとらえ、孔子廟従祀制度の変遷に沿って、中国思想史の展開を跡づけている。
『黄進興著作選集』の第一冊にあたる本書『孔子廟と儒教』は、孔子の末裔たちが私的に行う孔子祭祀が、国家の祭祀系統に組み込まれていく過程や、儒家の道統に対する価値基準の変遷などを分析することにより、儒教史・儒学史の変遷を映し出す。更に、他の宗教(キリスト教・仏教・イスラム教)との比較により、儒教の宗教としての特徴を導きだしている。

著者の言葉
そうした中で、私は次第に、孔子廟が国家の祀典としては、ちょうど伝統社会における文化と政治という二つの力が相互に影響を及ぼし合う最適の事例であること、また、世界的な歴史を有する宗教としては、その独特な性格も魅力的であることに気付いていった。そして、孔子廟の従祀制度が儒家のそれぞれの時代における主流の思想を反映しており、それを詳細に分析することによって、改めて歴史上の儒家学術の真実の動向を窺い、世間の理解不足を埋めようと考えるようになったのである。(「日本語版序――孔子廟と私」より)

訳者の言葉
「儒教は宗教か否か」という問いに対しては、観点や立場の相違からこれまでも様々な見解が提示されてきており、元来、唯一の正解を導き出せるようなものではあるまい。しかしながら、黄進興氏の見解は極めて明晰かつ説得的であり、今後この問いと対峙する全ての者に対して、明確な思索の道筋を与えるものとなるだろうし、必ず参照すべき必読の文献となることは間違いあるまい。加えて氏の諸論考は、本書及び姉妹編の読者が一読すればすぐに気づかれるように、あらゆる記述・論定に対して一々その根拠・典拠が示されており、文字通り徹底した文献実証主義の立場によって貫かれた、極めて堅実なものである。(「解説」より)

目次:
「台湾学術文化研究叢書」刊行の辞(王徳威)
日本語版序――孔子廟と私(黄進興)

第一章 権力と信仰――孔子廟祭祀制度の形成
 一、序―― 惟だ我が国家の盛事にして、独り爾一家の栄たるには非ず
 二、私廟から官廟へ――漢祖祀を致し、天下心を帰す
 三、王と孔子廟祭祀――制定まれば、天下自ずから平らかなり
 四、讖緯と後漢の孔廟碑文――孔子は聖に近く、漢の為に道を定む
 五、 聖裔の訪求と孔子廟の外地化――但に洙泗の湮淪するのみに非ず、乃ち饗嘗も主を乏くに至る
 六、周公か孔子か――日没すると日出ずると、寧ぞ二日有らんや
 七、結語――唐宋祀を升し、永に蔭祚を錫わる

第二章 学術と信仰――孔廟従祀制度と儒家の道統意識
 一、緒
 二、従祀制度の形成
 三、唐代の従祀制――伝経の儒と七十二弟子
 四、宋元の従祀制――四配の確立と新学・道学間の争い
 五、明清の従祀制――理学の分岐、考証学の興起と実学の重視
 六、結び

第三章 宗教としての儒教――比較宗教の初歩的試み
 一、背景――儒教の苦境
 二、伝統社会における宗教の比較
 三、結語――崩壊する儒教

第四章 聖賢と聖徒――儒教従祀制とキリスト教列聖制の比較
 一、前言
 二、中央と地方の対比
 三、聖者となる為の標準
 四、成聖及び信仰に関する階層分析
 五、遺骸、塑像と毀像
 六、結語

第五章 清末民初における儒教の「脱宗教化」
 一、前言
 二、流産した宗教改革――康有為の孔教運動
 三、反孔教のどよめき
 四、余論 肉体が滅び霊魂が去った儒教――知識化した儒学と残存する宗教性

第六章 私の儒教研究回顧――儒教の聖域としての孔子廟
 一、方法論に対する内省
 二、歴史上の儒教
 三、儒教の宗教的性格
 四、結び

第七章 孔子廟の解体と再興――伝統文化の変容がもたらした苦境
 一、台湾海峡両岸の孔子廟の寂寥
 二、孔子廟の興廃と政治支配
 三、孔子廟の零落
 四、孔子廟再生には「脱政治化」こそが必要

初出一覧
訳者あとがき(中純夫)
『孔子廟と儒教――学術と信仰 黄進興著作選集(一)』解説(中純夫)
索引
■編著者紹介
黄進興(コウ シンコウ)
1950年、台湾生。筆名呉詠慧。国立台湾大学歴史系学士・同大学修士、アメリカ・ハーバード大学歴史学博士(1983)。中央研究院歴史語言研究所副研究員・研究員・所長等を経て、現在、中央研究院副院長兼歴史語言研究所特聘研究員。中央研究院院士。専門は中国思想史・中国宗教文化史・史学理論。代表作としては『歴史主義与歴史理論』(1992)、『優入聖域:権力・信仰与正当性』(1994)、『聖賢与聖徒』(2001)、『後現代主義与史学研究:一個批判性的探討』(2006)、『従理学到倫理学:清末民初道徳意識的転化』(2013)、『皇帝・儒生与孔廟』(2014)、『儒教的聖域』(2015)、『再現伝統中国的思想』(2020)等があり、いずれも台湾繁体字版と中国簡体字版がある。また、英文の著作としては、Philosophy, Philology, and Politics in Eighteenth-century China がイギリス・ケンブリッジ大学出版社から出版されている(1995)。英語・日本語・韓国語に翻訳された著作も多数。

中純夫(なか すみお)
1958年、大阪府生まれ。京都大学文学部(中国哲学史)卒業、同大学院文学研究科(中国哲学史)修士課程修了、同博士後期課程学修退学。博士(文学)。富山大学教養部講師、同助教授、富山大学人文学部助教授、京都府立大学文学部助教授を経て、現在同教授。専門は中国近世思想史、朝鮮近世思想史。著書に『朝鮮の陽明学――初期江華学派の研究――』(汲古書院、2013)、訳注に中純夫編『朱子語類 巻14訳注』、『朱子語類 巻15訳注』、『朱子語類 巻16(上)訳注』、『朱子語類 巻16(下)~17訳注』(いずれも共訳、汲古書院、2013、2015、2018、2020)がある。
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