中国の砂漠化拡大に歯止めをかけるための基本資料 中国科学院蘭州沙漠研究所が中国の砂漠や沙地に成育している植物の調査を行った成果である『中国沙漠植物志 全3巻』(北京・科学出版社、1985年~1992年)から、特に緑化の効果が大きいと考えられる木本植物に限り訳出する。掲載の植物は総計で45科126属415種37変種2亜種7品種を数え、植物ごとに図版・形態・分布・用途などを記述する。本書は、現在広がりつつある中国の砂漠化土地において、農林牧畜業の発展に役立ち、緑化促進の基礎資料となる貴重なものである。巻末には学名・漢名・和名索引、行政区名や地名・地物索引を付す。●編著者のことば 沙漠やそれに似た状況を示す沙地の拡大を含め、沙漠や沙地以外に種々の荒廃地が存在し、またこれまで顕在化しなかった土地で、新たな荒廃地化が目立っていることを示唆している。いずれにしても、沙漠や沙地を含め、中国には相当な面積の荒廃地が広がり、また広がりつつある。緑化を促進し、こうした状況に歯止めをかけることは人口問題の解決とともに中国の大きな課題の1つである。……1959年から本格的に沙漠や沙地の調査がはじまり、その過程で大量の植物標本が収集された。これが植物志出版のきっかけになっている。調査開始から第1巻の出版までおよそ26年、最初の出版から全巻が揃うまで7年が費やされたが、乾燥地に成育している植物を大々的に収録したものは、中国はもとよりはじめてであり、世界的にもめずらしいであろう。……乾燥、半乾燥地帯の農林牧畜業の発展にとって、また乾燥地緑化の基礎資料として、この中国沙漠植物志が大いに貢献することはまちがいない。(「解説」より)
●構成 解説 1.Pinaceae松科[マツ科]/2.Cupressaceae柏科[ヒノキ科]/3.Ephedraceae麻黄科[マオウ科]/4.Salicaceae楊柳科[ヤナギ科]/5.Juglandaceae胡桃科[クルミ科]/6.Ulmaceae楡科[ニレ科]/7.Moraceae桑科[クワ科]/8.Polygonaceae蓼科[タデ科]/9.Chenopodiaceae藜科[アカザ科]/10.Caryophyllaceae石竹科[ナデシコ科]/11.Ranunculaceae毛莨科[キンポウゲ科]/12.Berberidaceae小檗科[メギ科]/13.Capparidaceae山柑科[フウチョウソウ科]/14.Cruciferae十字花科[アブラナ科]/15.Saxifragaceae虎耳草科[ユキノシタ科]/16.Rosaceae薔薇科[バラ科]/17.Leguminosae豆科[マメ科]/18.Zygophyllaceae蒺藜科[ハマビシ科]/19.Rutaceae芸香科[ミカン科]/20.Simaroubaceae苦木科[ニガキ科]/21.Euphorbiaceae大戟科[トウダイグサ科]/22.Anacardiaceae漆樹科[ウルシ科]/23.Celastraceae衛矛科[ニシキギ科]/24.Aceraceae槭樹科[カエデ科]/25.Sapindaceae無患子科[ムクロジ科]/26.Rhamnaceae鼠李科[クロウメモドキ科]/27.Vitaceae葡萄科[ブドウ科] 28.Tiliaceae椴樹科[シナノキ科]/29.Tamaricaceae檉柳科[ギョリュウ科]/30.Cistaceae半日花科[ハンニチバナ科]/31.Thymelaeaceae瑞香科[ジンチョウゲ科]/32.Elaeagnaceae胡頽子科[グミ科] 33.Primulaceae報春花科[サクラソウ科]/34.Plumbaginaceae白花丹科[イソマツ科]/35.Oleaceae木犀科[モクセイ科]/36.Loganiaceae馬銭科[フジウツギ科]/37.Asclepiadaceae蘿藦科[ガガイモ科]/38.Convolvulaceae旋花科[ヒルガオ科]/39.Verbenaceae馬鞭草科[クマツヅラ科]/40.Labiatae唇形科[シソ科]/41.Solanaceae茄科[ナス科]/42.Rubiaceae茜草科[アカネ科]/43.Caprifoliaceae忍冬科[スイカズラ科]/44.Compositae菊科[キク科]/補遺Scrophulariaceae玄参科[ゴマノハグサ科] 用語集 参考文献 あとがき 付録:日中字形対照表/学名・漢名・和名索引/行政区名や地名・地物索引
■関連書籍:『砂漠考 中国の荒れ地とその緑化修復から』 価格 2,000円+税
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