●編著者のことば
本書の題を「共生から敵対へ」とした理由は、所収論文の大部分が対象とする時代は、日中間で「共生」と「敵対」が織り交っていた時期だからである。この二要素が錯雑しながら、次第に「敵対」の要素が勢力を得た歴史を直視し、深い反省の含蓄を持つものと御理解頂きたい。（「序文」より）

●構成
序論―日中関係史と歴史的評価（衞藤瀋吉）
1．日本論
186，70年代における清朝官僚の日本論―李鴻章と郭嵩燾の場合（佐々木揚）
複雑的反応与影響―宋教仁与日本*（Don C. Price）
敵乎？ 友乎？―30年代関于中日関係的一場論争（余子道）*
2．清末新政と日本
中国近代化与日本―論清末新政*（林明徳）
光緒新政と日本（中村哲夫）
清末中日関係中的政治和文化―関于〈黄金十年〉論争的検討（陶徳民）*
3．日本人の中国研究
近代中国学・東洋学の生成とその先駆者藤田豊八―清末と明治学術交流の架け橋（銭 鴎）
狩野直喜の漢学擁護論（Joshua A. Fogel）
近代日中文化交流の一面―王国維と京都の学者（伊原沢周）
4．中国論・台湾論
北一輝与中国革命（黄自進）*
荒尾精と台湾（呉文星）
「支那」再論（齋藤希史）
5．九・一八前後
万宝山事件と韓国言論の対応（閔斗基）
中国東北における釐金廃止・営業税新設政策と日本奉天商工会議所―「満洲事変」前夜の日中経済関係の一側面（西村 成雄）
「直接交渉」問題を巡る日中間の対応（1931～1932年）（鹿錫俊）
6．日本文化論
従挹類、阿留、阿伊努之史跡看一個中日亜美民族文化圏之衰亡（唐徳剛）*
中国留日学生的経歴与見聞（1896－1945年）以回憶録為主体的探討（張玉法）*
7．七・七前後
塘沽停戦協定から盧溝橋事件へ（安井三吉）
“七・七”事変前後的満鉄華北経済調査（解学詩）*
盧溝橋事件後国民政府的戦和抉択（王建朗）*
8．抗戦論
知識分子与抗戦変局（陳三井）*
由法国外交档案看1942-1945年間的中日「合作」（Marianne Bastid-Bruguiere）*
中国戦場与日本世界戦略的演変（1937－1945年）（胡徳坤）*
9．清末日中文化交流
清末留日学生派遣政策の成立（容應萸）
19世紀末中国における日本人顧問―「李鴻章工作」と「張之洞工作」との関連を中心にして（李廷江）
明治日本和晩清婦女的教育*（Joan Judge）
10．汪兆銘政権
中国国民党改組前後東京支部党務糾紛初探（呂芳上）*
日本の対汪兆銘工作（陳鵬仁）
日本与汪精衛（張振鵾）*
11．日中十五年戦争
反省近百年中日関係的歴史教訓（張海鵬）*
中国民族主義在中日関係史的歴史考察（王友仁）*
学問を通しての戦争・戦後責任追及（Bob T. Wakabayashi）
後記（山田辰雄）
＊は中国語論文