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異文化交流文学史 16世紀前後の日本と東アジア 上製
小峯和明 編
出版社:文学通信
出版年:2026年02月
コード:   690p   ISBN/ISSN 9784867661178
 
価格 14,300円
  <東京店在庫有り>
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文学における異文化交流とは何か、その探求に挑む。

文学において〈〝異〟なるもの〉とは何か、〈〝異〟なるもの〉とどう出会い、葛藤し克服していったのか、あるいはなしえなかったのか。それらがいかなる文学創造や享受、再生をもたらしたのか。
異文化交流文学論のあらたな起点となる書。

取り上げるテーマは、中国、朝鮮半島、日本、琉球、ベトナムという、文字通りの東アジアに広範に及び、時代も一六世紀前後を焦点としつつも古代から一九、二〇世紀にもわたる、多彩で問題提起に満ちた論考の集合体。
全体は、
   Ⅰ 文学と歴史のあいだ
   Ⅱ 外交と学芸と文学
   Ⅲ 交易、交通の文学
   Ⅳ 宗教の文学
   Ⅴ 戦争の文学
の五部に分かれる。

歴史事象として史学からのみとらえられがちな異文化交流の問題を、文学の問題として位置づけ直したり読み換えたりする、表現史としての試みをおこないつつ、「異文化交流文学史」の基本的な方法論を提起する。各論としては、外交や漂流、拉致者の異文化交流、あるいは内外の異文化に及ぶコレクションをめぐる交流等々、書籍類を焦点に検証したり、経済や交易、物流などの流通の問題を異文化交流として定位し、文学面からとらえようとする。また、東アジアの宗教としての仏教、道教、神道、キリシタン等々について異文化交流の面から文学としての課題を検討を加えるほか、蒙古襲来や壬辰倭乱、薩摩の琉球侵略等々、東アジア世界で勃発した対外戦争や侵略などを焦点に文学の課題として検討も行う。

既存の時代別、ジャンル別、誕生・隆盛・衰退といった定番の予定調和的な文学史観に依存せず、『源氏物語』に象徴される古典として権威化した、カノンとしての文学作品にのみ依拠しない。一般には文学と認知されていない諸作品や諸資料、あるいは歴史史料とされているものも逆に文学として読み換える、そうした融通性やダイナミズムからあらたな文学史を指向する。言葉や文字による表現史、あるいは絵画や造型、その他種々のメディアと複合させ、輻輳させた文学史観、言い換えれば、「何でもありの文学史」を基軸にする。

執筆は、阿部龍一、荒木浩、伊藤聡、李暁源、位田絵美、宇野瑞木、大木康、大西和彦、岡美穂子、金英順、木村淳也、金文京、グエン・ティ・オワイン、河野貴美子、高陽、小林ふみ子、小峯和明、崔英花、佐伯真一、佐野愛子、鈴木彰、関周一、染谷智幸、高津孝、千本英史、趙恩馤、陳小法、ツベタナ・クリステワ、出口久徳、德竹由明、原克昭、ハルオ・シラネ、樋口大祐、平沢卓也、ファム・レ・フイ、松居竜五、松浦史明、松本真輔、水口幹記、宮腰直人、目黒将史、屋良健一郎、横山學。


目次:
はじめに―異文化交流文学史・〈異〉なるものをもとめて(小峯和明)
 一、異文化交流文学とは/二、本書の構成と各論の概要

序 章 一六世紀前後の日本と東アジアの〈異文化交流文学史〉(小峯和明)
 一、問題の所在/二、全体の構想/三、「東アジア」はどこからどこまでか?/四、具体例から―倭寇・キリシタン・壬辰倭乱の三極―歴史・地図・言語資料から文学への編み換え・読み換えへ/五、往く人、来る人―〈幻想の異文化交流文学史〉へ


Ⅰ 文学と歴史のあいだ

文之玄昌「鉄炮記」と重陽節―「一種子」の「生〻無窮」をめぐる表現構造(鈴木 彰)
 一、はじめに―文芸としての「鉄炮記」/二、「鉄炮記」の枠組み―「一種子」の「生〻無窮」/三、「鉄炮記」と重陽節/四、重陽節と「馬射」/五、重陽節をめぐる趣向/六、おわりに
一七世紀末の東アジア海域交流と筆談―朝鮮人金泰璜らの安南漂流とその後(崔 英花)
 一、はじめに/二、漂流の顚末―一六八七年、朝鮮人金泰璜の安南漂流/三、調査と陳情―一六八七~一六八八年金泰璜と安南官吏、清文士の間の筆談/四、報告と交渉―一六八八年~一六八九年清の商人陳乾、朱漢源による朝鮮の役人との筆談/五、強弁と忠告―一六九一年陳乾の弟陳坤と済州役人との筆談/六、おわりに
「南国山河」と天書祥瑞―ベトナムの独立宣言にみえる異文化コミュニケーション(ファム・レ・フイ)
 一、私撰説話集の漢詩から勅撰国史の漢詩、国民国家の漢詩へ/二、説話の概略/三、「南国山河詩」に関する先行研究と問題提起/四、一〇〇七年の使節と「天書」の演出/五、一〇一〇年の使節と「天書」の演出/六、一〇一二年の使節と「天書」の神の正体/七、李朝における「天書」祥瑞の受容とその活用/八、宋朝の「天書」と李朝の「天書」、李朝の「天書」と杜善、杜善と「南国山河詩」
[コラム] 対外関係を題材にした文学(関 周一)
  1 『太平記』に引用された高麗牒状/2 「高麗国」へ渡った赤松左馬助
『大唐西域記』における二つのセイロン島建国神話―羅刹国(僧伽羅国)と執師子国をめぐる(高 陽)
 一、はじめに/二、『大唐西域記』の建国神話/三、漢訳仏典、『今昔物語集』などとの関連/四、二つの建国神話をつなぐもの/五、日本図に見る「羅刹国」―文学としての地図の世界/六、その後のセイロン島ものがたり―井上靖の短編小説、鄭和の遠征と南方熊楠/七、おわりに
うるまをめぐって(屋良健一郎)
 一、はじめに/二、うるまはどこか/三、うるまをめぐる近代の議論/四、琉球をうるまとする説の登場/五、うるまを台湾とする説/六、おわりに
『袋中上人絵詞伝』小考(千本英史)
 一、はじめに―生いたちと青壮年期/二、描かれない滞琉の様相/三、本土帰還後の足跡/四、奥書・識語の確認/五、敬輔没年の問題
[コラム] 「狄之嶋」の新羅明神―『新羅之記録』成立の背景をめぐって(平沢卓也)
  1 『新羅之記録』と新羅明神信仰/2 松前への新羅明神勧請と『寛永諸家系図伝』/3 もう一つの始祖伝承/4 渡海の守護神


Ⅱ 外交、学芸と文学

早稲田大学図書館所蔵安南関係古典籍からみる日越間の漂流、交流、研究史(河野貴美子)
 一、はじめに/二、日越間の漂流記/三、明清の安南記/四、おわりに
文明と武威―通信使交流と荻生徂徠(李 暁源)(翻訳:松本智也)
 一、はじめに/二、意図された誤読/三、徂徠学派の登場と通信使批判の論理/四、文明と武威―優越意識の二つの層位/五、文明意識と疎通の可能性―結論に代えて
琉球使節の外交と文化―楊文鳳に関わる書籍を中心に(木村淳也)
 一、はじめに/二、琉球使節の文化活動(漢詩・漢文・写字、その他)/三、楊文鳳という人物/四、『琉館筆譚』、『四知堂詩稿』について五、楊文鳳に関連する書の成立意義/六、楊文鳳に対するヤマト世界の反応/七、おわりに
胡元澄の『南翁夢録』にみられる異文化交流(佐野愛子)
 一、はじめに/二、『南翁夢録』の編纂/三、『南翁夢録』に見られる対外戦争/四、北使との交流/五、竹林大士の冥界訪問/六、おわりに
日明医学文化交流の総合的研究―疫病伝播・典籍流通・渡航医師を中心に(陳 小法)
 一、はじめに/二、日本における梅毒の流行/三、渡明医術修業者/四、日本で活躍した中国(系)医者/五、おわりに
桃山期の建築意匠における中国人物故事の登場とその文化的意義
 ―紀州・三船神社本殿の建築装飾彫刻と木食応其をめぐって(宇野瑞木)
 一、はじめに―「語り」を内包する建築彫刻としての中国人物故事の登場/二、建築彫刻における「二十四孝図」の採用とその背景―新たな文化的権威の表象としての明版の中国人物故事/三、三船神社本殿の建築彫刻の主題について(一)―蟇股/四、三船神社本殿の建築彫刻のモティーフ(二)―木鼻、手挟み、脇障子について/五、建築彫刻のモティーフ採択の背景―応其のメディア戦略としての中国人物故事
[コラム] 一六世紀の衝撃―明代詩学の東アジア展開(高津 孝)
  1 はじめに/2 前後七子の復古運動/3 李夢陽/4 詩集自序/5 李卓吾/6 復古主義批判/7 福建の地方文人と琉球/8 最後に
南方熊楠「ロンドン抜書」に筆写された徳川時代初期の文化交流史 ―コックス、アダムス、ロドリゴへの視線(松居竜五)
 一、南方熊楠が筆写した日本に関する欧文文献/二、リチャード・コックスの「日記」について/三、コックス「日記」における日本語の固有名詞/四、熊楠のコックス「日記」理解/五、アダムスの手紙の筆写/六、ロドリゴ『日本見聞録』筆写とキリスト教への視線/七、グローバル・ヒストリーとしての「ロンドン抜書」
フランク・ホーレーの研究軌跡と「宝玲文庫」(横山 學)
 一、学徒ホーレー/二、来日当時の日本研究/三、「宝玲文庫」の変遷/四、晩年の研究
[コラム] 在外絵巻と異文化交流―ビゲロー旧蔵・勝田竹翁筆『曽我物語絵巻』を端緒にして(宮腰直人)
  1 はじめに/2 『曽我物語絵巻』再考/3 ビゲローコレクションへの一視座


Ⅲ 交易、交通の文学

朝鮮時代の経済・商業の様相と文学―朴趾源の『許生伝』を中心に(染谷智幸)
 一、はじめに/二、朴趾源の経済認識/三、朝鮮通信使と交易/四、朝鮮時代の経済と銀/五、野談と商人/六、結語
『於于野談』にみる燕行と交易(金 英順)
 一、はじめに/二、燕行と訳官の実態/三、偶然に得た珍宝の交易/四、倭館から燕行の仲介貿易/五、西域の還魂石の交易/六、おわりに
中国明清時代の商業と文学(大木 康)
 一、商人と文学/二、明という時代と商人/三、新安商人の物語/四、商人と詩文/五、中小商人の場合/六、経済小説として
一五・一六世紀カンボジア史における〝断絶〟と対東アジア交易(松浦史明)
 一、はじめに/二、カンボジア史における〝断絶〟の時代/三、「農業国家」アンコール朝/四、刻文史料にみえる「中国」の展開/五、真臘の朝貢再開と海域世界への接続/六、アンコール朝にとっての東アジア/七、衰退・解体・断絶/八、外部から見た〝衰退期〟のカンボジア/九、カンボジアの東アジアに対する姿勢/一〇、結びにかえて
[コラム] ご禁制の品々から見えること―「長崎旧記類」の記事を中心に(位田絵美)
  1 はじめに/2 『通交一覧』の情報源の一つ/3 「旧記類」の情報―輸入禁止の品々/4 おわりに
[コラム] 舶載品から想像する〈世界〉(小林ふみ子)
  1 はじめに―奇物珍物の会/2 近藤重蔵の場合/3 大田南畝の記録/4 オランウータンの衝撃の広がり/5 好古的探究と舶載品への関心


Ⅳ 宗教の文学

見え隠れする塔としての多宝塔―『法華経』を文学として読む(阿部龍一)
 一、はじめに/二、教理的な『法華経』研究の限界と問題点/三、大乗仏教起源説の変化と文学としての『法華経』/四、文学作品としての『法華経』の物語と仏塔の比喩的意味/五、二仏並坐の場面の読みかえ/六、おわりに
東アジア宗教のなかの吉田神道(伊藤 聡)
 一、問題の所在―中世神道の形成と外来思想/二、吉田兼倶と禅僧/三、吉田神道における道教経典の受容/四、三教一致思想と根本枝葉花実説/五、おわりに―東アジア社会における神道の登場
[コラム] 『若狭彦若狭姫大明神秘密縁起』小考―附・『彦火火出見尊絵巻』欠文復原私案(原 克昭)
  1 在地縁起にみる異文化交流論の可能性―研究史瞥見/2 『若狭彦若狭姫大明神秘密縁起』の構成―「秘密」の企図したもの/3 『彦火火出見尊絵巻』欠文をめぐる復原私案―空白の一行を埋めてみた
後黎朝期ベトナムの中元節行事について(大西和彦)
 一、はじめに/二、 後黎朝期以前のベトナムにおける中元節行事/三、後黎朝前期の中元節行事/四、後黎朝後期の中元節行事/五、おわりに
[コラム] 奝然の「王年代紀」と成尋の「世系」(水口幹記)
  1 遣唐使以後の渡海/2 奝然と成尋/3 「王年代紀」と「世系」/4 渡航記の持つ意味
キリシタンの仏伝と母の死―中世末期のアジアと『釈迦譜』の功罪をめぐって(荒木 浩)
 一、キリシタンのシャカ誕生譚とキリスト/二、ブッダ誕生と母の死―原罪の中のブッダその一/三、ブッダ出家と妻の死―原罪の中のブッダその二/四、袋中『琉球神道記』の仏伝をめぐって/五、『釈迦譜』という仏伝の介在とその功罪
[コラム] 桑姫伝説にまつわる長崎の大友家縁者たち(岡 美穂子)
  1 長崎の豊後町/2 清田(大友)ジュスタと志賀一族/3 大友マセンシア/4 謎の女性清田マダレーナ/5 豊後府内藩主/長崎奉行竹中重義と商人なかや/6 むすびに
[コラム] 韓国における俗講「タン説法」について(趙 恩馤)
  1 安政寺の「タン説法」/2 「タン説法」の種類と構成/3 『沈清孝行錄』の様相/4 「タン説法」の現在


Ⅴ 戦争の文学

対外戦争の歴史叙述(目黒将史)
 一、はじめに/二、歴史叙述という用語をめぐって/三、近代における琉球侵略の歴史叙述/四、「キリシタン征伐」から「鬼退治」へ/五、おわりに
対馬に於ける蒙古襲来の〈記憶〉―蒙古塚等の伝承を巡って(德竹由明)
 一、はじめに/二、対馬の「蒙古塚」について―概括的な言説/三、対馬の「蒙古塚」について―各遺跡に関する具体的言説/四、まとめ
[コラム] 義経渡満説と『鎌倉実記』(佐伯真一)
  1 はじめに/2 義経生存説から渡満説へ/3 『鎌倉実記』と義経渡満説/4 『鎌倉実記』の偽作の方法/5 おわりに
明治期に製作された豆本「朝鮮征伐記」とその周辺(松本真輔)
 一、はじめに/二、「豆本」と「朝鮮征伐記」/三、文禄慶長の役と文学/四、豆本「朝鮮征伐記」の概要/五、豆本「朝鮮征伐記」の内容/六、おわりに
[コラム] 新発見の壬辰倭乱資料―柳成龍旧蔵『大明萬暦二十八年歳次庚子大統暦』(金 文京)
  1 はじめに/2 『大明萬暦二十八年歳次庚子大統暦』について/3 『大統暦』が柳成龍の旧蔵である根拠/4 李舜臣戦死に関する記事/5 『大統暦』が日本に渡った事情/6 おわりに―日本での『懲毖録』及び柳成龍資料
[コラム] 絵入り版本が語る〈歴史〉―『三国志平話』と寛文五年版『源平盛衰記』をめぐって(出口久徳)
  1 はじめに/2 『全相平話五種』について―『三国志平話』を中心に/3 寛文五年版『源平盛衰記』について/4 絵入り版本が語る〈歴史〉とは
『嶺南摭怪』と『今昔物語集』における追放の話型をめぐる比較研究(グエン・ティ・オワイン)
 一、はじめに/二、 島へ追放した話の話型―『嶺南摭怪』「西瓜古伝」と『今昔物語集』巻一六「伊豆国越智直依観音助拾震旦返来語第二」における類似点と相違点について/三、おわりに
[コラム] 『春の城』の四郎おぼえがき(樋口大祐)


終章

[コラム] 日本文化の発展を刺激した一六世紀(シンポジウムのコメント)(ツベタナ・クリステワ)
  1 はじめに/2 日本文化史における文学の役割/3 ヨーロッパ文化との交流/4 一六世紀と文化発展のパターン/5 異文化交流の中身/6 「ボーダーライン」の再解釈/7 東アジア文化の特徴/8 果たして壁のない研究は可能でしょうか
[コラム] 私の異文化交流(ハルオ・シラネ)(翻訳:衣笠正晃))
  1 両親の出会い/2 人種問題と反戦運動/3 日本文学への興味/4 日本語の勉強に夢中/5 「源氏物語」研究へ/6 母校コロンビア大學へ/7 日本古典文学を世界へと結びつける潜在力


あとがき
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